COLUMN

介護と住まいのコラム

費用・お金 2026.09.01

介護保険の負担割合|1割・2割・3割はどう決まるのか

毎年7月、市区町村から「介護保険負担割合証」という薄い紙が届きます。そこに書かれた1割・2割・3割という数字が、介護サービスを使うときのご負担を決めています。「去年は1割だったのに、今年から2割になっていた」というご相談も少なくありません。この記事では、割合がどう決まるのか、施設の費用のどの部分に効いてくるのか、そして2割・3割でも負担が青天井にはならない仕組みを、順にご説明します。

この記事の要点

  • 負担割合は前年の所得で決まり、毎年7月に届く「介護保険負担割合証」に記載されます。有効期間は8月1日から翌年7月31日までです。
  • ほとんどの方は1割です。2割・3割になるのは、一定以上の所得がある65歳以上の方に限られます。
  • 割合が効くのは介護サービス費だけです。家賃・食費・管理費は割合と関係なく、金額が3倍になるわけではありません。ここを誤解されている方が多くいらっしゃいます。
  • 負担が重くなっても、高額介護サービス費で月ごとの上限を超えた分は戻ります。2割・3割だからといって、際限なく増えることはありません。

負担割合証は毎年7月に届きます

介護保険負担割合証は、要介護・要支援の認定を受けている方全員に、市区町村から送られてくる書類です。介護保険証(黄色などの紙)とは別のもので、サービスを使うときは2枚セットで提示します

この紙で押さえておきたい3点

  • 届くのは毎年7月ごろ。有効期間は8月1日から翌年7月31日までです
  • 判定に使われるのは前年(1月〜12月)の所得です
  • お手元にないときは、市区町村の介護保険担当課で再交付を受けられます

施設への入居や、新しいサービスを使いはじめるときには、この証の提示を求められます。入居の手続きで慌てないよう、しまい場所を決めておかれるとよいと思います。

1割・2割・3割の分かれ方

まず前提として、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)は、所得にかかわらず全員1割です。割合が分かれるのは65歳以上の方だけです。

図165歳以上の方の負担割合

  1. 1割 大多数の方がここ 下の2割・3割の条件に当てはまらない方は、すべて1割です。実際には、大部分の方がこちらに該当します。
  2. 2割 一定以上の所得がある方 本人の合計所得金額が160万円以上で、かつ世帯の65歳以上の方の年金収入などの合計が一定額を超える場合です。
  3. 3割 現役並みの所得がある方 本人の合計所得金額が220万円以上で、かつ世帯の年金収入などの合計がさらに高い基準を超える場合です。

ここで大切なのは、所得の基準を超えただけでは決まらないという点です。本人の合計所得金額に加えて、世帯にいる65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」という、もうひとつの物差しが併せて見られます。単身の方と、ご夫婦などお二人以上の世帯とで基準額が違うのもこのためです。

「思っていたより1割の方が多い」のはなぜか

合計所得金額は、収入そのものではありません。年金であれば公的年金等控除を差し引いたあとの金額です。たとえば年金収入が280万円あっても、控除を引いた合計所得金額はそれよりかなり下がります。「年金が多いから2割だろう」と思っていた方が1割だった、ということは実際によくあります。正確な判定は市区町村が行いますので、届いた証をご確認ください。

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施設の費用の、どこに効いてくるのか

ここが、最も誤解の多いところです。負担割合が効くのは、介護サービス費の部分だけです。

図2月額のうち、割合が効く部分と効かない部分

割合が効く部分

介護サービス費(施設サービス費、特定施設入居者生活介護の費用、訪問介護やデイサービスの費用)。1割の方が2割になれば、この部分だけが2倍になります。

割合と関係のない部分

家賃・居住費、食費、管理費、おむつ代、理美容代、医療費など。これらは何割の方でも同じ金額です。月額の多くをこちらが占めます。

たとえば介護付き有料老人ホームで、月額のうち介護サービス費のご負担分が2万円だとします。この方が2割になると4万円、3割なら6万円です。家賃や食費が10万円かかっているなら、その部分は変わりません。月額全体が2倍・3倍になるわけではない、というのがここでお伝えしたいことです。

施設タイプごとの月額の内訳は老人ホームの費用相場と内訳に、いまのご状況での見込み額は費用シミュレーションでご確認いただけます。

上限があるので、青天井にはなりません

2割・3割と聞くと不安になりますが、介護保険には1か月あたりのご負担の上限が設けられています。上限を超えて支払った分は、あとから戻ってきます。

負担を抑える3つの仕組み

  • 高額介護サービス費:1か月の介護サービス費の自己負担が、所得区分ごとの上限額を超えた分が払い戻されます。詳しくは高額介護サービス費とはをご覧ください
  • 高額医療・高額介護合算療養費1年間の医療費と介護費を合わせた負担が重いときに戻る仕組みです
  • 負担限度額認定特別養護老人ホームや老健などで、所得に応じて食費・居住費が軽くなります(有料老人ホームやグループホームは対象外です)

高額介護サービス費は、はじめて上限を超えたときに市区町村から申請の案内が届き、一度手続きをすれば以降は自動的に振り込まれるのが一般的です。案内が届いていないか、郵便物をご確認ください。

「2割になったので、施設は難しいでしょうか」

割合が上がっても、月額全体への影響は思ったほど大きくないことがほとんどです。相談員は、ご本人の年金・預貯金と負担割合をうかがったうえで、無理のない予算の範囲で候補をお出しします。使える公的な制度も、あわせてご案内します。ご相談は何度でも無料です。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

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割合が変わるとき

負担割合は、次のようなときに変わることがあります。

割合が変わりやすい場面

  • 毎年8月:前年の所得で判定し直されます。いちばん多いのがこのタイミングです
  • 不動産を売却した翌年:売却益が所得に加わるため、一時的に2割・3割となることがあります
  • 世帯の構成が変わったとき:ご家族の転出入や、配偶者がお亡くなりになった場合など、世帯の合計額が変わることで判定が動きます
  • 65歳になったとき:それまで1割だった方が、所得によっては2割・3割となります

とくに2つ目は、ご相談で実際にうかがう例です。ご実家を売却して施設の費用にあてた翌年、負担割合が上がって驚かれる、という流れです。売却をお考えの場合は、翌年度の負担割合が上がる可能性を見込んでおかれると、資金の計画が立てやすくなります。

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よくあるご質問

負担割合証が見当たりません

市区町村の介護保険担当課で再交付を受けられます。ご本人以外が窓口へ行かれる場合は、委任状などが必要になることがありますので、事前にお電話でご確認ください。

2割になりました。前の割合に戻せますか

所得にもとづく判定のため、申請で変更できるものではありません。ただし、判定のもとになった所得の内容に誤りがある場合は、住民税の申告を修正することで結果が変わる可能性があります。心当たりがあれば、市区町村にご相談ください。

施設に入ると、割合は変わりますか

入居そのもので変わることはありません。ただし、施設の所在地の市区町村へ住民票を移した場合、住所地特例という仕組みが働き、保険者(保険を運営する市区町村)は元のままとなる場合があります。判定の考え方は変わりません。

夫婦で割合が違うことはありますか

あります。判定はお一人ずつ行われるため、ご主人が2割、奥さまが1割ということは珍しくありません。世帯の合計額を見る部分があるため、まったく別々というわけでもない、という少し複雑な仕組みです。

2割だと、入れる施設は限られますか

施設の側が負担割合で受け入れを判断することはありません。あくまで月々のお支払いの問題です。ご予算に収まるかどうかで候補を組み立てていく形になります。

まとめ

介護保険の負担割合は、前年の所得にもとづいて毎年8月に決まり、7月ごろ届く負担割合証に記載されています。40歳から64歳の方は全員1割、65歳以上の方は所得によって1割・2割・3割に分かれます。

そして、割合が効くのは介護サービス費の部分だけです。家賃や食費は変わりませんので、月額全体が倍になることはありません。さらに高額介護サービス費という上限の仕組みもあります。

「2割になったので施設は難しいかもしれない」とお感じになったら、実際の金額を出してみてからでも遅くありません。数字にすると、思ったほどの差ではないことが多くあります。

この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。負担割合の判定基準および上限額は制度改正により変わることがあり、実際の判定は市区町村が行います。ご自身の割合は、お手元の介護保険負担割合証、またはお住まいの市区町村の介護保険担当課にてご確認ください。

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