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毎年7月、市区町村から「介護保険負担割合証」という薄い紙が届きます。そこに書かれた1割・2割・3割という数字が、介護サービスを使うときのご負担を決めています。「去年は1割だったのに、今年から2割になっていた」というご相談も少なくありません。この記事では、割合がどう決まるのか、施設の費用のどの部分に効いてくるのか、そして2割・3割でも負担が青天井にはならない仕組みを、順にご説明します。

この記事の要点

介護保険負担割合証は、要介護・要支援の認定を受けている方全員に、市区町村から送られてくる書類です。介護保険証(黄色などの紙)とは別のもので、サービスを使うときは2枚セットで提示します。介護保険証との違いや、なくしたときの再交付は、介護保険証とはでまとめています。
この紙で押さえておきたい3点
証には、介護保険証と同じ被保険者番号やお名前のほかに、「利用者負担の割合」と「適用期間」が書かれています。見ておきたいのはこの2つの欄です。要介護・要支援の認定をはじめて受けたときは、認定の結果とあわせて届くのが一般的です。
施設への入居や、新しいサービスを使いはじめるときには、この証の提示を求められます。入居の手続きで慌てないよう、保管場所を決めておかれるとよいと思います。

まず前提として、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)は、特定疾病による要介護認定を受けて介護保険サービスを利用する場合、所得にかかわらず自己負担は1割です。割合が分かれるのは65歳以上の方だけです。
図165歳以上の方の負担割合
ここで大切なのは、所得の基準を超えただけでは決まらないという点です。本人の合計所得金額に加えて、世帯にいる65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」という、もうひとつの物差しが併せて見られます。単身の方と、ご夫婦などお二人以上の世帯とで基準額が違うのもこのためです。
市区町村が使っている基準を、表にまとめました※1。本人の合計所得金額と、同じ世帯にいる65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」の両方が、表の額に届いているかを見ます。
| 割合 | 本人の 合計所得金額 |
年金収入+その他 (1人) |
年金収入+その他 (2人以上) |
|---|---|---|---|
| 3割 | 220万円以上 | 340万円以上 | 463万円以上 |
| 2割 | 160万円以上 | 280万円以上 | 346万円以上 |
どちらにも当てはまらない方は1割です。住民税が非課税の方、生活保護を受けている方、40〜64歳の方も1割です。2割の行は、3割に当てはまらない方が対象です。
表の「年金収入+その他」は、同じ世帯にいる65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」で、「1人」「2人以上」は、同じ世帯にいる65歳以上の方の人数です。「合計所得金額」は、収入から公的年金等控除や必要経費などを差し引いた額で、土地や建物を売ったときの特別控除は差し引いて判定します。「その他の合計所得金額」は、合計所得金額から年金の分を除いた額です※2。
収入が年金だけで、65歳以上の方がおひとりの世帯なら、目安は次のとおりです※3。
年金収入だけ・おひとりの世帯の目安(年額)
年金の額は、税金や保険料が引かれる前の額で見ます。遺族年金や障害年金のように税金がかからない年金は、ここに含めません。ご夫婦ともに65歳以上の世帯では、表の「2人以上の世帯」の欄で、おふたりの年金収入などを合わせて判定します。
「思っていたより1割の方が多い」のはなぜか
合計所得金額は、収入そのものではありません。年金であれば、公的年金等控除などを差し引いたあとの金額です。たとえば年金収入が280万円の方の合計所得金額は、判定のうえでは160万円になります。「年金が多いから2割だろう」と思っていた方が、年金収入が280万円に届かず1割だった、ということは実際によくあります。正確な判定は市区町村が行いますので、届いた証をご確認ください。
ここが、最も誤解の多いところです。負担割合が効くのは、介護サービス費の部分だけです。
図2月額のうち、割合が効く部分と効かない部分
割合が効く部分
介護サービス費(施設サービス費、特定施設入居者生活介護の費用、訪問介護やデイサービスの費用)。1割の方が2割になれば、この部分だけが2倍になります。
割合と関係のない部分
家賃・居住費、食費、管理費、おむつ代、理美容代、医療費など。これらは何割の方でも同じ金額です。月額の多くをこちらが占めます。
たとえば介護付き有料老人ホームで、月額のうち介護サービス費のご負担分が2万円だとします。この方が2割になると4万円、3割なら6万円です。家賃や食費が10万円かかっているなら、その部分は変わりません。月額全体が2倍・3倍になるわけではない、というのがここでお伝えしたいことです。
施設タイプごとの月額の内訳は老人ホームの費用相場と内訳に、いまのご状況での見込み額は費用シミュレーションでご確認いただけます。
2割・3割と聞くと不安になりますが、介護保険には1か月あたりのご負担の上限が設けられています。上限を超えて支払った分は、あとから戻ってきます。
負担を抑える3つの仕組み
このほかの制度も含めた一覧は介護費用を抑える制度一覧にまとめています。
高額介護サービス費は、はじめて上限を超えたときに市区町村から申請の案内が届き、多くの自治体では初回の申請後は自動で振り込まれますが、運用は自治体によって異なります。案内が届いていないか、郵便物をご確認ください。
「2割になったので、施設は難しいでしょうか」
割合が上がっても、月額全体への影響は思ったほど大きくないことがほとんどです。相談員は、ご本人の年金・預貯金と負担割合をうかがったうえで、無理のない予算の範囲で候補をお出しします。使える公的な制度も、あわせてご案内します。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
負担割合は、次のようなときに変わることがあります。変わったときは、市区町村から新しい負担割合証が届きます。
割合が変わりやすい場面
とくに2つ目は、ご相談で実際にうかがう例です。ご実家を売却して施設の費用にあてた翌年、負担割合が上がって驚かれる、という流れです。売却をお考えの場合は、翌年度の負担割合が上がる可能性を見込んでおかれると、資金の計画が立てやすくなります。
「2割の対象が広がる」という話は、まだ決まっていません
2割になる方の範囲を広げるかどうかは、国の審議会(社会保障審議会の介護保険部会)で検討が続いています※4。2026年10月の時点では決まっておらず、基準は上の表のままです。決まったときは、この記事でお知らせします。
なお、2026年8月に変わったのは、特養やショートステイの食費・部屋代の上限(負担限度額)です。負担割合とは別の制度で、くわしくは負担限度額認定とはにまとめています。
市区町村の介護保険担当課で再交付を受けられます。ご本人以外が窓口へ行かれる場合は、委任状などが必要になることがありますので、事前にお電話でご確認ください。
所得にもとづく判定のため、申請で変更できるものではありません。ただし、判定のもとになった所得の内容に誤りがある場合は、住民税の申告を修正することで結果が変わる可能性があります。心当たりがあれば、市区町村にご相談ください。
入居そのもので変わることはありません。ただし、施設の所在地の市区町村へ住民票を移した場合、住所地特例という仕組みが働き、保険者(保険を運営する市区町村)は元のままとなる場合があります。判定の考え方は変わりません。
あります。判定はお一人ずつ行われるため、ご主人が2割、奥さまが1割ということは珍しくありません。世帯の合計額を見る部分があるため、まったく別々というわけでもない、という少し複雑な仕組みです。
施設の側が負担割合で受け入れを判断することはありません。あくまで月々のお支払いの問題です。ご予算に収まるかどうかで候補を組み立てていく形になります。
65歳以上の方がおひとりの世帯で、収入が年金だけなら、年金収入(税金などが引かれる前の額)が280万円以上で2割、約343万円以上で3割が目安です。ご夫婦ともに65歳以上の世帯では、おふたりの年金収入などを合わせて判定し、合計が346万円以上で2割、463万円以上で3割になります(あわせて、ご本人の合計所得金額も見ます)。
2026年10月の時点では決まっていません。2割になる方の範囲を広げるかどうかは、国の審議会で検討が続いています。いまの負担割合は、お手元の負担割合証に書かれた割合のままです。決まったときは、この記事でお知らせします。
介護保険の負担割合は、前年の所得にもとづいて毎年8月に決まり、7月ごろ届く負担割合証に記載されています。40歳から64歳の方は、特定疾病で要介護認定を受けてサービスを使う場合に1割、65歳以上の方は所得によって1割・2割・3割に分かれます。収入が年金だけでおひとりの世帯なら、年金収入280万円未満が1割の目安です。
そして、割合が効くのは介護サービス費の部分だけです。家賃や食費は変わりませんので、月額全体が倍になることはありません。さらに高額介護サービス費という上限の仕組みもあります。
「2割になったので施設は難しいかもしれない」とお感じになったら、実際の金額を出してみてからでも遅くありません。数字にすると、思ったほどの差ではないことが多くあります。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年10月時点の情報にもとづく一般的な説明です。負担割合の判定基準および上限額は制度改正により変わることがあり、実際の判定は市区町村が行います。ご自身の割合は、お手元の介護保険負担割合証、またはお住まいの市区町村の介護保険担当課にてご確認ください。
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