COLUMN

介護と住まいのコラム

費用・お金 2026.08.14 2026.09.13

高額介護サービス費とは|対象・上限額・申請方法をわかりやすく解説

介護保険のサービスを使うほど自己負担は増えますが、1か月の負担には上限が設けられています。それが「高額介護サービス費」です。ただし、対象になる費用とならない費用があり、ここを誤解していると「思ったより戻ってこない」ということになります。制度の中身を整理します。

机の上の通帳・硬貨・書類。払い戻しを確かめる娘さんのイラスト

この記事の要点

  • 1か月の介護サービス費の自己負担が上限を超えたら、超えた分が後から払い戻される制度です。窓口での支払いが減るわけではありません。
  • 多くのご家庭が該当するのは月44,400円(課税世帯)または月24,600円(非課税世帯)です。
  • 施設の居住費・食費・おむつ代は対象外です。施設に入っている場合、この制度だけでは負担は大きくは下がりません。
  • 同じ世帯の複数の方の負担を合算して判定できます。請求できる期間は2年です。

高額介護サービス費とは

介護保険のサービスを使うと、費用の1〜3割を自己負担します。この1か月分の自己負担額の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻されるのが高額介護サービス費です。

正式には高額介護サービス費といい、介護予防サービスを使った場合は高額介護予防サービス費と呼びます。窓口や案内では「高額介護費」「高額介護サービス」と短く言われることもありますが、いずれも同じ制度を指しています。

医療保険の「高額療養費制度」の介護版だと考えると分かりやすいでしょう。使いすぎて家計が破綻しないための、いわば安全弁です。

払い戻しは、申請した口座に振り込まれます。窓口での支払いが減るわけではなく、いったん支払ったあとに戻ってくる仕組みです。

対象になる費用・ならない費用

ここが最も誤解されやすい部分です。介護に関わる支出のすべてが対象になるわけではありません。

図1対象になるもの・ならないもの

対象になるもの

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所(ショートステイ)の介護サービス費
  • 訪問看護・訪問リハビリ
  • 施設サービス費(特養・老健・介護医療院)
  • 特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 福祉用具のレンタル料

対象にならないもの

  • 施設の居住費(部屋代)
  • 食費
  • 日常生活費(理美容代、おむつ代など)
  • 福祉用具の購入費
  • 住宅改修費
  • 区分支給限度額を超えて全額自己負担になった分
  • 医療費
電卓と書類を前に費用を確かめるご夫婦のイラスト
費用は「入居のとき」と「毎月」に分けて確かめると、比べやすくなります

施設に入所している場合はどうなるか

「施設に入っているが、高額介護サービス費の対象になるのか」というご質問をよくいただきます。施設サービス費は対象になりますが、居住費と食費は対象外です。月額費用のうちどこまでが戻ってくるのかは、施設の種類によって変わります。

※表は横にスクロールできます

施設の種類 対象になる部分 対象外の部分 負担の下がり方
特別養護老人ホーム(特養) 施設サービス費の自己負担分(1〜3割) 居住費・食費・日常生活費 月額費用に占める施設サービス費の割合が小さく、この制度だけでは下がり幅は限られます。負担限度額認定と合わせて考えるのが基本です
介護老人保健施設(老健) 施設サービス費の自己負担分 居住費・食費・日常生活費 特養と同じ考え方です。リハビリの加算も施設サービス費に含まれます
介護医療院 施設サービス費の自己負担分 居住費・食費・日常生活費 外部の医療機関にかかった医療費は、高額療養費のほうで扱います
介護付き有料老人ホーム 特定施設入居者生活介護の自己負担分 家賃・管理費・食費・上乗せ介護費 月額費用の多くを家賃と管理費が占めるため、戻る額は小さくなりがちです。負担限度額認定は使えません
グループホーム 認知症対応型共同生活介護の自己負担分 家賃・食費・光熱費 介護付き有料老人ホームと同じ考え方です
住宅型有料老人ホーム・サ高住 訪問介護やデイサービスなど、外部サービスの自己負担分 家賃・管理費・食費 在宅と同じ扱いです。介護サービスを多く使う方ほど、この制度が効きます

特養・老健は、もうひとつの制度と合わせて考えます

老健の費用の考え方とリハビリの内容は介護老人保健施設(老健)とはにまとめています。

特養や老健に入居している場合、月額費用の大部分を占めるのは居住費と食費です。これらは高額介護サービス費の対象外なので、この制度だけでは負担は大きくは下がりません。
居住費と食費の軽減には、別の制度(特定入所者介護サービス費/負担限度額認定)を使います。所得と預貯金の状況によっては、こちらのほうが下がり幅は大きくなります。老人ホームの費用相場と内訳と特養(特別養護老人ホーム)とはでも触れていますので、あわせてご確認ください。

所得区分ごとの上限額

上限額は所得に応じて段階的に設定されています。おおよその目安は次のとおりです。

図2所得区分ごとの、1か月の上限額

課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上)の方がいる世帯140,100円(世帯)

課税所得380万円〜690万円未満(年収約770万〜1,160万円)の方がいる世帯93,000円(世帯)

市町村民税課税世帯(上記以外)44,400円(世帯)

多くのご家庭が該当します

市町村民税非課税世帯24,600円(世帯)

市町村民税非課税で、年金収入等が82.65万円以下の方など24,600円(世帯)/15,000円(個人)

バーは世帯の上限額(24,600円)を表しています

生活保護を受給している方など15,000円(個人)

※2026年9月時点の一般的な目安です。バーの長さは金額の比を表しています。区分の名称や金額は制度改正により変わることがあります。ご自身がどの区分にあたるか、上限額がいくらかは、必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

多くのご家庭が該当するのは「市町村民税課税世帯」の月44,400円、または「非課税世帯」の月24,600円です。この金額を超えて介護サービス費を払っている月があれば、払い戻しの対象になります。

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いま上限のどのあたりを使っていますか

月額を試算してみる

「所得区分」と「負担割合」は別のものです

ここは混同されやすいところです。負担割合(1割・2割・3割)は、サービスを使うたびに窓口でお支払いになる割合のこと。いっぽうこの記事の所得区分は、1か月に支払う総額の上限を決めるものです。どちらも所得をもとに判定されますが、区分の分かれ方はそれぞれ別に定められています。
そのため、負担割合が2割の方でも、上限額は44,400円という区分になることがあります。負担割合が上がっても、1か月の合計はこの上限で止まります。ご自身の負担割合は、毎年7月ごろ届く「介護保険負担割合証」に記載されています。くわしくは介護保険の負担割合|1割・2割・3割はどう決まるのかをご覧ください。

世帯で合算できる

上限額のうち「世帯」と書かれているものは、同じ世帯にいる複数の方の自己負担を合算して判定します。

たとえばご夫婦がそろって介護サービスを利用している場合、お二人の自己負担を合計して上限額と比べます。一人ひとりでは上限に届かなくても、合算すると超えることがあるため、見落とさないよう注意してください。

「世帯を分ければ上限が下がる」と聞いたのですが

ご相談でよくうかがうお話です。たしかに世帯を分けると世帯の課税状況が変わり、上限額の区分が下がる場合はあります。ただし、影響が及ぶのは介護保険だけではありません。国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料、医療費の自己負担限度額、税の扶養控除など、広い範囲に同時に効いてきます。下がるものと上がるものの両方があり、世帯全体で見ると持ち出しが増える例も珍しくありません。
また、世帯分離は実際に生計を別にしていることが前提の届出です。お考えになる場合は、「世帯を分けると、全部でいくら変わるか」を市区町村の窓口で確かめてからご判断いただくのが確実です。介護保険と国民健康保険は担当課が分かれていることが多いので、両方でお尋ねください。判断に迷われるときは、お住まいの地域包括支援センターでも相談に乗ってもらえます。

費用の相談も、住まいの相談とあわせてどうぞ

「この制度は使えますか」「どこに申請すればよいですか」といったご質問も承ります。東急線沿線で介護の現場を経験してきた相談員が、何度でも無料でお手伝いします。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

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申請の方法

この制度は償還払いといって、いったん窓口でお支払いになったあと、上限を超えた分が戻ってくる仕組みです。サービスを使うその場で安くなるわけではないため、払い過ぎていることに気づかないまま過ごしてしまうことがあります。流れは次のとおりです。

図3申請から払い戻しまでの流れ

  1. 市区町村から申請書が届く 市区町村は介護保険の給付記録を持っているため、対象になった方には申請書が郵送されるのが一般的です。届かない場合は介護保険担当窓口へお問い合わせください。
  2. 振込口座などを記入して返送する 多くの自治体では、この初回の手続きで済みます。
  3. 2回目以降は、自動で振り込まれることが多い 運用は自治体によって異なります。 毎月の申請が要らない自治体が多い

※払い戻しを請求できる期間は、サービスを利用した月の翌月1日から2年です。過去に申請し忘れた分がないか、一度ご確認ください。

多くの場合、市区町村から案内が届く

市区町村は介護保険の給付記録を持っているため、対象になった方には申請書が郵送されるのが一般的です。届いた申請書に振込口座などを記入して返送します。

一度申請すれば、以降は自動で振り込まれることが多い

多くの自治体では、初回の申請で口座を登録すれば、その後は対象になるたびに自動で振り込まれ、毎月申請しなくて済みます。ただし運用は自治体によって異なるため、届いた案内でご確認ください。

案内が届かない場合は窓口へ

住所の変更直後などで案内が届かないことがあります。心当たりがあれば、市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせてください。

時効は2年

払い戻しを請求できる期間には期限があり、サービスを利用した月の翌月1日から2年とされています。過去に申請し忘れた分がないか、一度確認しておくとよいでしょう。

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入居までの流れと、次にすることが分かります

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似た名前の制度との違い

紛らわしい制度がいくつかあります。整理しておきます。

※表は横にスクロールできます

制度 何が軽くなるか ポイント
高額介護予防サービス費 介護予防サービスの自己負担 月ごとに判定。あとから払い戻し。要支援の方が利用した場合に適用
特定入所者介護サービス費
(負担限度額認定)
施設の居住費と食費 所得と預貯金の要件あり。特養・老健・介護医療院・ショートステイが対象
高額医療・高額介護合算療養費 1年分の医療費と介護費の合計 8月〜翌年7月で判定。医療と介護の両方が重い方向け
高額療養費制度 医療費の自己負担 医療保険の制度。介護費は対象外

よくあるご質問

施設に入っていても対象になりますか

なります。特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの介護サービス費部分は対象です。ただし前述のとおり、居住費・食費・日常生活費は対象外です。

デイサービスの食事代は対象ですか

対象外です。食費は自己負担のままとなります。

区分支給限度額を超えて使った分はどうなりますか

限度額を超えた分は全額自己負担となり、高額介護サービス費の対象にもなりません。住宅型有料老人ホームなど、外部サービスを従量制で使うタイプの施設では特に注意が必要です。いま上限のどのあたりを使っているかは、在宅介護の費用シミュレーションで確かめられます。

申請に費用はかかりますか

かかりません。

どのくらいで振り込まれますか

自治体によりますが、サービス利用月から数か月後になるのが一般的です。給付記録の確定を待つ必要があるためです。

本人が亡くなったあとでも、申請できますか

できます。お亡くなりになる前のご利用分について、相続人の方が申請して払い戻しを受けられます。手続きには、相続人であることが分かる戸籍などの書類が必要です。請求できる期間は同じく2年ですので、心当たりがあれば早めに市区町村の窓口へご相談ください。相続の整理を進めるなかで、未申請の分が見つかることは実際にあります。

負担割合が2割になりました。上限額も上がりますか

負担割合と上限額は、別々に決まります。負担割合が上がると1回ごとの窓口負担は増えますが、1か月の合計は上限額で止まります。上限額の区分は世帯の課税状況などで決まるため、負担割合が2割になったからといって、それだけで上限額が上がるわけではありません。

高額医療合算介護サービス費とは、これとは別の制度ですか

別の制度です。高額介護サービス費が1か月ごとの介護費を見るのに対し、こちらは1年分(8月〜翌年7月)の医療費と介護費の合計を見て、上限を超えた分を払い戻します。正式には「高額医療・高額介護合算療養費制度」といい、介護保険から支給される分を高額医療合算介護サービス費、医療保険から支給される分を高額介護合算療養費と呼び分けています。医療も介護も重い方は、月ごとの高額介護サービス費を受けたうえで、さらにこちらの対象になることがあります。

まとめ

高額介護サービス費は、介護サービスの自己負担にかかる月々の上限を定めた制度です。多くの世帯では月44,400円、非課税世帯では月24,600円が目安になります。

ただし、居住費・食費・日常生活費は対象外。施設入居中の負担を下げたい場合は、負担限度額認定など別の制度とあわせて確認する必要があります。医療費もあわせて重いときは高額医療・高額介護合算療養費という仕組みもあります(介護保険から支給される分は高額医療合算介護サービス費といいます)。

そして最も大切なのは、申請しなければ受け取れないということ。案内が届いていないか、過去に申請漏れがないか、一度市区町村の窓口で確認してみてください。

この制度を使ったうえで、月々いくらまでなら無理なくお支払いになれるか。そこがはっきりすると、住まいの候補も絞りやすくなります。年金の範囲で探す方法は年金だけで入れる老人ホームはある?に、費用を抑えられる公的施設については特養(特別養護老人ホーム)とはにまとめました。

探すところからお手伝いを頼みたい場合は、紹介会社という選択肢もあります。ご利用が無料である理由と、最初の一本の電話で確かめておきたいことを老人ホーム紹介会社の選び方|無料の理由と確認したい5つのことにまとめています。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

※本記事の制度・金額に関する記載は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な説明です。所得区分の名称・上限額・申請の運用は制度改正や自治体により異なります。実際のお手続きの際は、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

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