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介護と住まいのコラム

費用・お金 2026.09.26

高額介護合算療養費とは|医療と介護の1年分を合わせて、払い戻しを受ける制度

高額介護合算療養費は、1年間(8月〜翌年7月)に払った医療保険と介護保険の自己負担を合わせて、基準額を超えた分を払い戻してもらえる制度です。入院と介護が重なった年や、施設に入りながら通院が続く年に、負担を軽くしてくれます。この記事では、しくみと基準額、合算できる費用とできない費用、いくら戻るかの計算例、申請の流れをご説明します。

病院と施設のあいだで、1年分の領収書を重ねて確かめる娘さんのイラスト

この記事の要点

  • 医療と介護の自己負担を1年分(8月1日〜翌年7月31日)合わせて、基準額を超えた分が戻ります。
  • 基準額は所得で決まり、75歳以上なら年19万〜212万円です。一般の方は56万円です。
  • 毎月の高額療養費・高額介護サービス費で戻った分を差し引いたあとの額で計算します。施設の食費・居住費や家賃は入りません。
  • 合算できるのは、同じ世帯で、同じ医療保険に入っている方どうしです。
  • 申請が必要です。期限は、7月31日の翌日から2年です。

高額介護合算療養費とは|医療と介護の1年分を合わせる

医療保険と介護保険には、それぞれ1か月ごとの上限があります(医療は高額療養費、介護は高額介護サービス費)。ただ、1か月ずつ見ると上限の内側でも、医療と介護の両方に毎月お金がかかると、1年を通した負担は重くなります。

そこで、医療と介護の自己負担を1年分合わせて、基準額を超えた分を払い戻すのがこの制度です※1。正式には「高額医療・高額介護合算療養費制度」といい、医療保険から戻る分を高額介護合算療養費、介護保険から戻る分を高額医療合算介護サービス費と呼び分けています。

図1払い戻しを受けるまで

  1. 1年分を合わせる 8月1日から翌年7月31日までに、同じ世帯で、同じ医療保険に入っている方が払った医療と介護の自己負担を合計します。
  2. 基準額と比べる 合計が、所得で決まる基準額を超えているかを見ます。
  3. 超えた分を、医療と介護で分けて戻す 超えた額を、医療と介護の自己負担の割合で分け、医療保険と介護保険からそれぞれ払い戻します。

1か月ごとの上限との違い

名前の似た制度が3つあります。違いは、何を、どの期間で見るかです。

図2似た名前の3つの制度

※表は横にスクロールできます

制度見るもの期間
高額療養費医療の自己負担1か月ごと
高額介護サービス費介護保険のサービスの自己負担1か月ごと
高額介護合算療養費医療と介護の自己負担の合計1年(8月〜翌年7月)

※毎月の2つの制度で戻った分を差し引いたあとの額を、1年分合わせるのがこの制度です。

順番としては、まず毎月の高額療養費・高額介護サービス費で戻り、それでも残った1年分の負担が大きいときに、この制度でさらに戻る、という形です。3つは重ねて使えます。

基準額(1年間の上限)|所得で決まる

基準額は、年齢と所得の区分で決まります。親御さんの世代にあたる70歳以上の方の基準額は次のとおりです。75歳以上の方(後期高齢者医療)も、70〜74歳の方も同じ額です※2※3※4。

図370歳以上の方の基準額(1年間・2026年9月時点)

※表は横にスクロールできます

所得の区分基準額(1年)
現役並み所得Ⅲ
課税所得690万円以上
212万円
現役並み所得Ⅱ
課税所得380万円以上
141万円
現役並み所得Ⅰ
課税所得145万円以上
67万円
一般
上と下のどれにもあたらない方
56万円
住民税非課税(区分Ⅱ)
世帯全員が住民税非課税
31万円
住民税非課税(区分Ⅰ)
世帯全員が住民税非課税で、所得がない
19万円
(介護サービスを使った方が世帯に2人以上なら31万円)

※課税所得は、住民税の課税所得です。区分は7月31日(基準日)の時点で決まり、どの区分にあたるかは加入している医療保険の窓口で確かめられます。

70歳未満の方の基準額は、所得に応じて34万〜212万円です。70歳未満の方の医療費は、病院ごと・1か月ごとに21,000円以上払った分だけが合算の対象になります※4。

どんな世帯が対象になりやすいか

一般の区分(56万円)だと、医療と介護を合わせて月に4万7千円ほど払い続けて、ようやく届く額です。いっぽう住民税非課税の世帯は基準額が31万円(または19万円)と低く、施設に入りながら通院や入院が続くと、対象になることが少なくありません。

合算できる費用、できない費用

合算できるのは、保険が使われた医療と介護の自己負担(1〜3割の部分)だけです。老人ホームにかかるお金の多くは、ここに入りません※1※4。

図4合算できるもの・できないもの

合算できる

  • 病院・診療所・薬局で払った自己負担
  • 介護保険のサービスの自己負担(在宅のサービス・施設のサービス費・介護付き有料老人ホームの介護費)
  • 高額療養費・高額介護サービス費で戻った分を差し引いた残り

合算できない

  • 入院中の食事代、差額ベッド代
  • 特養・老健・ショートステイの食費・居住費
  • 有料老人ホーム・サ高住の家賃・管理費・食費、上乗せ介護費
  • 介護保険の枠を超えて全額自己負担にした分、おむつ代などの日用品

特養や老健の食費・居住費は、この制度の対象外ですが、所得や預貯金が一定以下なら負担限度額認定で下がります。施設のお金は、制度ごとに受け持つ部分が分かれています。

いくら戻るか|3つの計算例

計算の考え方を示すための例です。医療・介護の金額は、どちらも毎月の高額療養費・高額介護サービス費で戻った分を差し引いたあとの1年分です。

図51年分の自己負担と基準額

例1 ご夫婦・住民税非課税合計35万円(基準額31万円)

4万円戻る

例2 一般・入院のあった年合計59.8万円(基準額56万円)

3.8万円戻る

例3 一般・入院のなかった年合計36.8万円(基準額56万円)

基準額に届かないので、戻りません

例1:ご夫婦とも75歳以上・住民税非課税(区分Ⅱ・基準額31万円)

  • 介護:夫が特養に入所。介護保険の自己負担が1年で18万円(食費・居住費は入れない)
  • 医療:夫の入院と妻の通院で、1年で17万円
  • 合計35万円-基準額31万円=4万円が戻ります。医療保険から約1.9万円、介護保険から約2.1万円に分かれて振り込まれます。

例2:75歳以上・一般(基準額56万円)で、介護付き有料老人ホームに入居

  • 介護:ホームの介護費の自己負担(1割)が月2.4万円ほどで、1年で28.8万円。家賃・管理費・食費は入れません
  • 医療:入院した月があり、1年で31万円
  • 合計59.8万円-基準額56万円=3.8万円が戻ります(医療保険から約2万円、介護保険から約1.8万円)。

例3:例2と同じ方で、入院のなかった年

医療が1年で8万円なら、合計は36.8万円で基準額の56万円に届かず、戻りません。一般の区分では、入院などで医療費がかさんだ年に対象になることが多い、と覚えておくと見当がつけやすくなります。

申請の流れと期限

申請するのは、7月31日(基準日)に加入している医療保険の窓口です。75歳以上の方なら、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口になります※5。

図6申請から振り込みまで

  1. 7月31日で1年分が締まる 前の年の8月1日からの1年分が、計算の対象になります。
  2. お知らせが届く(届かないこともある) 後期高齢者医療や国民健康保険では、対象になりそうな世帯に申請の案内が届くことがあります。東京都の後期高齢者医療では、毎年3月ごろに送るとしています※5。
  3. 医療保険の窓口に申請する 会社の健康保険などに入っている場合は、先に市区町村の介護保険の窓口で自己負担額証明書をもらい、それを添えて申請します。
  4. 医療と介護から、それぞれ振り込まれる 申請から支給までには数か月かかります(東京都の後期高齢者医療では3〜5か月程度)※5。

申請の期限は2年です

申請できるのは、基準日(7月31日)の翌日から2年のあいだです※6。お知らせが届かなかった年の分も、期限内なら申請できます。医療と介護の両方にお金がかかった年があれば、窓口に一度問い合わせてみてください。

施設に入っている方が確かめておきたいこと

  • 「世帯」は住民票の世帯です:親御さんが施設に住民票を移すと、ご夫婦でも別の世帯になり、2人分を合わせられなくなることがあります
  • 同じ医療保険どうしだけ合算できます:75歳以上の方(後期高齢者医療)と、74歳以下の家族(国民健康保険や会社の健康保険)の分は、同じ世帯でも別々に計算します
  • 途中で医療保険が変わった年:75歳の誕生日で後期高齢者医療に移った年などは、前の保険の自己負担額証明書が必要になることがあります
  • 領収書は捨てずにとっておく:自己負担の額は保険の側で計算しますが、金額を確かめたいときや、確定申告の医療費控除にも使います

住民票を移すかどうか(世帯を分けるかどうか)は、この制度だけでなく、高額介護サービス費や負担限度額認定の区分にも関わります。1つの制度だけを見て決めず、市区町村の窓口で全体を確かめてから決めると安心です。

施設や医療系の介護サービスに払ったお金の一部は、確定申告の医療費控除の対象にもなります。こちらは税金が戻る制度で、この制度と両方使えます。ほかの制度とあわせた全体は、介護費用を抑える制度の一覧にまとめています。

戻ってくるお金も見込んだうえで、住まいを探せます

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よくあるご質問

申請しないと、払い戻しは受けられませんか

受けられません。対象になりそうな世帯には、医療保険からお知らせが届くことが多いのですが、届いたあとも申請は必要です。お知らせが届かないこともあるので、医療と介護の両方にお金がかかった年は、加入している医療保険の窓口に問い合わせてみてください。申請できるのは、計算期間の終わり(7月31日)の翌日から2年のあいだです。

老人ホームの費用は、合算の対象になりますか

介護保険のサービスの自己負担(1〜3割の部分)だけが対象です。有料老人ホームの家賃・管理費・食費や、特養・老健の食費・居住費は入りません。特養などの食費・居住費は、所得によって負担限度額認定で軽くなることがあります。

夫婦で、加入している医療保険が違います。合算できますか

同じ世帯でも、加入している医療保険が違う方の分は合算できません。たとえば夫が75歳以上で後期高齢者医療、妻が74歳以下で国民健康保険なら、それぞれ別に計算します。

親と同居していますが、子の医療費も合わせられますか

お子さんが会社の健康保険に入っている場合は、親御さんとは医療保険が違うので合わせられません。合算できるのは、同じ世帯で、同じ医療保険に入っている方どうしです。

高額介護サービス費を受けていても、対象になりますか

なります。毎月の高額療養費や高額介護サービス費で戻った分を差し引いたあとの自己負担で、1年分を計算します。そのうえで基準額を超えていれば、その分がさらに戻ります。超えた額が500円以下のときは支給されません。

亡くなった親の分も、申請できますか

申請できます。相続人の方が申請する形になります。必要な書類は医療保険によって違うので、加入していた医療保険の窓口に確かめてみてください。

いつ、どのように振り込まれますか

医療保険の分と介護保険の分が、それぞれの窓口から振り込まれます。東京都の後期高齢者医療では、申請から支給までに3〜5か月程度かかるとしています。

まとめ

高額介護合算療養費は、医療と介護の自己負担を1年分(8月〜翌年7月)合わせて、基準額を超えた分を払い戻す制度です。基準額は所得で決まり、75歳以上なら年19万〜212万円、一般の方は56万円です。

合算できるのは保険が使われた自己負担だけで、施設の食費・居住費や家賃は入りません。同じ世帯で、同じ医療保険に入っている方どうしで合わせます。

申請が必要で、期限は基準日の翌日から2年です。入院と介護が重なった年があれば、医療保険の窓口に一度問い合わせてみてください。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

※本記事の基準額は、2026年9月時点の法令にもとづいています。計算例は考え方を示すためのもので、実際の支給額は医療保険と介護保険の窓口で計算されます。お知らせの時期や申請の方法は、加入している医療保険によって異なります。

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