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老人ホームや介護施設に払うお金の一部は、確定申告の医療費控除の対象になります。ただし、対象になるかどうか、どこまでが対象かは施設の種類で大きく違います。特養は2分の1、老健と介護医療院は全額が対象で、介護付き有料老人ホームやグループホームの費用は対象外です。この記事では、施設ごとの違いと、ショートステイ・おむつ代の扱い、計算例、申告の手順をご説明します。
この記事の要点
目次
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に払った医療費が一定の額を超えたとき、所得から差し引いて、税金を軽くする仕組みです※1。自分の分だけでなく、生計を一にする家族の分も合わせられます。
図1医療費控除の額の出し方
施設に入っていると、1年で払うお金は大きくなります。施設の費用の一部を医療費に数えられるかどうかで、10万円を超えるかどうか、控除がいくらになるかが大きく変わります。
介護保険の施設(特養・老健・介護医療院)に払う施設サービス費・食費・居住費の自己負担は、医療費控除の対象になります。違うのは、対象になる割合です※2。
図2介護保険施設ごとの対象(2026年9月時点)
※表は横にスクロールできます
| 施設 | 医療費控除の対象 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 施設サービス費・食費・居住費の自己負担の2分の1 |
| 介護老人保健施設(老健) | 施設サービス費・食費・居住費の自己負担の全額 |
| 介護医療院 | 施設サービス費・食費・居住費の自己負担の全額 |
※どの施設も、理美容代などの日常生活費と、特別なサービスの費用は対象外です。老健と介護医療院の個室などの料金は、診療や治療のためにやむを得ず使った場合に限り対象です。介護療養型医療施設は、2024年3月31日で廃止されました。
特養が2分の1なのは、施設サービスのうち療養上の世話にあたる部分を、半分とみなすと決められているためです。老健と介護医療院は、医師のもとで療養やリハビリを行う施設なので、全額が対象になります。
対象になる金額は、施設が出す領収書に書かれています※2。ご自分で2分の1を計算しなくても、領収書の「医療費控除の対象額」を拾えば足ります。
有料老人ホームやグループホームは、介護保険では「施設」ではなく、住まいで介護サービスを受ける扱いです。そのため、医療費控除の考え方も変わります※3。
図3住まいの種類ごとの扱い
※表は横にスクロールできます
| 住まい | 医療費控除の扱い |
|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム | 介護費を含めて、ホームに払う費用は対象外 |
| グループホーム | ホームに払う費用は対象外 |
| 住宅型有料老人ホーム・サ高住 | 家賃・管理費・食費は対象外。外から来る訪問看護などの医療系のサービスは対象(在宅のサービスの場合と同じ扱い) |
| どこに住んでいても | 診察・薬代・訪問診療・歯科の治療費は対象。おむつ代は、証明があれば対象(おむつ代を入れるには) |
有料老人ホームは月々の費用が大きいぶん、「医療費控除で戻るはず」と考えやすいところです。実際には、ホームに払う費用そのものは対象になりません。そのかわり、ホームに来てもらう訪問診療や、訪問看護、薬代の領収書は、1年分をまとめておくと控除に使えます。
ご自宅(住宅型有料老人ホーム・サ高住を含む)で使う介護保険のサービスは、医療系か、福祉系かで扱いが分かれます※3。
図4在宅のサービスとショートステイの扱い
※表は横にスクロールできます
| 扱い | 主なサービス |
|---|---|
| 対象(医療系) | 訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・通所リハビリ(デイケア)・老健などのショートステイ(短期入所療養介護) |
| 医療系と同じ月に使えば対象(福祉系) | 訪問介護(生活援助が中心のものを除く)・訪問入浴・デイサービス・特養などのショートステイ(短期入所生活介護)・小規模多機能型居宅介護 |
| 対象外 | 生活援助が中心の訪問介護・福祉用具のレンタル |
※「同じ月に使う」とは、その月のケアプラン(サービス利用票)に医療系のサービスが入っていることです。
ショートステイは、泊まる先で扱いが分かれます。老健などに泊まる短期入所療養介護は、それだけで対象です。特養などに泊まる短期入所生活介護は、同じ月に訪問看護やデイケアを使っているときに限り対象になります。どちらの場合も、事業所の領収書に対象の金額が書かれています。
おむつ代は、病気やけがでおおむね6か月以上寝たきりで、医師の治療を受けている方の分が、医療費控除の対象になります※4。そのために、医師に「おむつ使用証明書」を書いてもらいます。
証明書のかわりに、要介護認定のときの主治医意見書の内容を市区町村が確かめた書類を使うこともできます。2024年分以後の申告では、主治医意見書の写しも使えるようになりました(どちらも、認定の期間などに条件があります)※4。市区町村の介護保険の窓口で相談できます。
なお、特養・老健・介護医療院では、おむつ代は施設サービス費に含まれていて、別には請求されません。別に払うことが多いのは、有料老人ホームやご自宅の場合です。
母親が特養(要介護3・多床室・自己負担1割・負担限度額認定なし)に入所し、費用を子が払っている例です(特養の費用と同じ前提)。
図5控除額と、軽くなる税金の目安
※考え方を示すための例です。戻る税金は、申告する方の所得と税率で変わります。高額介護サービス費で戻った分があれば、その2分の1を差し引きます。
ご自分の場合の目安は、下のシミュレーションで出せます。同じ費用でも、施設の種類で戻る税金がどれだけ違うかを並べて見られます。
シミュレーションいくら戻るか、施設の種類ごとに比べる
施設に払う月々の費用を入れると、特養・老健・有料老人ホームのそれぞれで、1年で軽くなる税金の目安を並べて出します。はじめは、上の計算例と同じ数字が入っています。
介護サービス費の自己負担・食費・居住費の合計です。理美容代などの日常生活費は含めません。
円
か月
病院・薬局・訪問診療・歯科の自己負担や、証明のあるおむつ代など。住宅型有料老人ホームやサ高住で使った訪問看護などの対象額も、ここに足します。保険などで戻った分は引いておきます。
円
特養は戻った額の2分の1、老健・介護医療院は全額を差し引いて計算します。
円
入れると、10万円のかわりに所得の5%を引いて計算します。年金だけの方は、年金の額から公的年金等控除を引いた額です。
万円
1年で軽くなる税金の目安
特養(特別養護老人ホーム)
施設の費用の2分の1が対象
約10.2万円
所得税 約5.2万円+住民税 約5万円
控除額 504,560円(医療費 604,560円 − 10万円)
老健・介護医療院
施設の費用の全額が対象
約21.8万円
所得税 約11万円+住民税 約10.8万円
控除額 1,079,120円(医療費 1,179,120円 − 10万円)
有料老人ホーム・グループホーム・サ高住
ホームに払う費用は対象外
0円
所得税 0円+住民税 0円
医療費 30,000円が 10万円を超えないので、控除はありません
この条件では、1年で軽くなる税金の目安は、特養なら約10.2万円、老健・介護医療院なら約21.8万円、有料老人ホーム・グループホーム・サ高住なら0円です。
※この計算には JavaScript を使います。数字を変えても結果が変わらないときは、上の図5の考え方で計算できます。
※目安です。所得税は復興特別所得税(2.1%)を含み、住民税は10%で計算しています。住民税は、申告した翌年の6月から減ります。
※戻るのは、その年にかかった税金の範囲までです。所得税・住民税がかかっていない方は、控除を受けても戻る税金はありません。
※施設の領収書に「医療費控除の対象額」が書かれていれば、そちらが正確です。正確な額は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで出せます。
※入力した数字は、どこにも送られません。このページの中だけで計算しています。
同じ施設の費用でも、誰が申告するかで戻る額が変わります。所得税や住民税がかかっていない方が申告しても、戻る税金はありません。控除を受けられるのは実際に払った方なので、次の節の条件にあてはまるかを確かめてみてください。
医療費控除は、生計を一にする親族のために払った医療費も対象です※1。施設に入っていて一緒に住んでいなくても、次のような場合は生計を一にしていると扱われます※5。
そのうえで、実際に払ったのが子であること(子の口座から施設に払っている、など)が必要です。親御さんの口座から引き落とされている分は、親御さんの医療費控除になります。
兄弟姉妹で分けて払っている場合
医療費控除を受けられるのは、実際に払った方です。同じ費用を2人が申告することはできないので、誰がどの分を払ったかを分かるようにしておくと、申告のときに迷いません。
図6申告までの流れ
申告し忘れた年の分も、払った年の翌年1月1日から5年以内なら、あとから還付の申告ができます※6。施設に入って数年たってから知った場合も、さかのぼって確かめてみる価値があります。
医療費控除のほかにも、医療と介護の自己負担を1年分合わせて払い戻す高額介護合算療養費など、費用を抑える制度があります。全体は介護費用を抑える制度の一覧にまとめています。
65歳以上で、市区町村から「障害者控除対象者認定書」を受けた方は、障害者手帳がなくても、所得税の障害者控除の対象になります。控除額は27万円、特別障害者にあたる方は40万円です※7。
要介護認定を受けていることが、認定の目安になることが多いのですが、基準は市区町村によって違います。親御さんを扶養に入れている方や、親御さんご本人に税金がかかっている場合は、医療費控除と一緒に市区町村の窓口で聞いてみてください。
戻ってくるお金も見込んだうえで、住まいを探せます
特養と有料老人ホームでは、医療費控除の扱いが違います。住まいるの相談員は、月々の費用だけでなく、こうした制度の違いも踏まえて、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の住まいをご一緒に比べます。ケアマネジャーの資格を持つ相談員が在籍しています。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
介護付き有料老人ホームは、介護費を含めてホームに払う費用が対象外です。ただし、診察や薬代、訪問診療の費用は、どこに住んでいても医療費控除の対象です。住宅型有料老人ホームやサ高住で、外から来る訪問看護などを使った分も対象になります。
老健などに泊まる「短期入所療養介護」は対象です。特養などに泊まる「短期入所生活介護」は、訪問看護などの医療系のサービスを同じ月のケアプランで使っている場合に限り対象になります。どちらも、対象になる金額は領収書に書かれています。
特養・老健・介護医療院の領収書には、医療費控除の対象になる金額を書くことになっています。見当たらないときは、施設の事務の方に聞いてみてください。対象の金額を書いた証明を出してもらえることがあります。
親御さんと生計を一にしていて、実際に子が払っている場合は、子の医療費控除の対象になります。離れて暮らしていても、ふだんから生活費や療養費を送っていれば、生計を一にしていると扱われます。
医療費控除は、払った税金の一部が戻る仕組みです。親御さんに所得税や住民税がかかっていなければ、控除を受けても戻る税金はありません。所得税がかかっている方なら、控除額に税率をかけた分が戻ります。
払った年の翌年1月1日から5年間、還付を受けるための申告ができます。去年までの分に申告し忘れがあっても、5年以内なら間に合います。
医療費から差し引いて計算します。特養の場合は、戻った額の2分の1を差し引きます。施設の費用の2分の1が対象になっているのに合わせた扱いです。
受けられません。医療費控除は、ご自分で確定申告をすることが必要です。会社員の方も、医療費控除の明細書をつけて申告します。スマートフォンやパソコンから出すこともできます。
老人ホーム・介護施設の費用が医療費控除の対象になるかは、施設の種類で決まります。特養は施設サービス費・食費・居住費の自己負担の2分の1、老健と介護医療院は全額が対象です。介護付き有料老人ホームとグループホームの費用は対象外ですが、診察・薬代・訪問診療などは、どこに住んでいても対象です。
対象の金額は施設の領収書に書かれています。離れて暮らす親の分でも、生計を一にしていて子が払っていれば、子が申告できます。申告し忘れた年の分も、5年以内なら間に合います。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事の内容は、2026年9月時点の国税庁の情報(タックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令等)にもとづいています。個別の申告の内容は、お近くの税務署や税理士にご確認ください。計算例は考え方を示すためのものです。
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