「サ高住は安いと聞いたのですが」というご質問を、よくいただきます。たしかに月々の負担は抑えやすいのですが、サ高住は老人ホームとは仕組みそのものが違います。いちばん大きな違いは、介護を提供する場所ではなく、住まいであるという点です。この記事では、一般型と介護型の分かれ道、費用の内訳、そして「介護が重くなったときに住み続けられるのか」という最も多いご心配について、順にご説明します。
この記事の要点
目次
サービス付き高齢者向け住宅は、2011年に「高齢者住まい法」にもとづいて設けられた登録制度です。都道府県などに登録された住宅で、名前のとおり「サービスが付いた住宅」にあたります。制度の開始から十数年で数を大きく増やし、いまでは首都圏のどの区市にも複数あるのが一般的です。
登録を受けるには、いくつかの基準を満たす必要があります。主なものは次のとおりです。
図1サ高住として登録されるための主な基準
ここで押さえておきたいのは、必ず付くのは安否確認と生活相談だけという点です。食事の提供や介護は、住宅ごとに「付いている場合もある」もので、制度上の必須ではありません。パンフレットに食事や介護の記載があっても、それが住宅そのもののサービスなのか、併設の別事業所のサービスなのかで、費用も使い勝手も変わってきます。
サ高住を見比べるとき、私たちが最初に確かめるのがこの区分です。同じ「サ高住」でも、暮らし方がかなり違います。
図2一般型と介護型は、介護の受け方が違います
一般型
住宅と介護が切り離されています。ご入居後もこれまでどおり、外部の訪問介護やデイサービスと個別に契約して利用します。使った分だけの費用になるため、介護が軽いうちは負担を抑えやすい形です。数のうえでは、こちらが大多数を占めます。
介護型
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた住宅です。住まいの職員が介護を行い、費用は要介護度に応じた月額の定額になります。介護付有料老人ホームに近い形で、24時間の体制が組まれています。全体のなかでは少数です。
見学の申し込みをする前に、「こちらは介護型ですか、一般型ですか」とひとことお尋ねになると、話が早く進みます。介護型を探しておられる場合、候補はかなり絞られますので、はじめから条件に入れておくほうが効率的です。
パンフレットの「24時間スタッフ常駐」の読み方
一般型でも「24時間スタッフ常駐」と書かれていることがあります。この場合の常駐は、多くが安否確認と緊急時の対応にあたる職員を指しています。夜間に介助を受けられるという意味とは限りません。夜間にトイレの介助が必要な方は、「夜間に居室へ入って介助していただけますか」「その費用は別途かかりますか」という形でお尋ねになると、答えがはっきりします。
サ高住は多くが賃貸借契約のため、費用の考え方も賃貸住宅に近くなります。有料老人ホームのような数百万円規模の入居一時金は、原則としてありません。
図3サ高住でかかるお金
入居のときに
敷金として家賃の2〜3か月分が目安です。退去時に原状回復の費用を差し引いて返ってきます。介護型では、前払金の形をとる住宅もあります。
毎月かかるもの
家賃、管理費(共用部分の維持や水道光熱の一部)、生活支援サービス費(安否確認と生活相談)、食費。首都圏では合計で月13万〜20万円台のあたりが多く見られます。
介護の費用は別に
一般型では、使った介護サービスの自己負担が上に乗ります。介護型では、要介護度に応じた定額が月額に含まれます。ここが一般型と介護型で最も変わる部分です。
一般型で気をつけておきたいのは、介護が重くなるほど、月々の合計が読みにくくなることです。訪問介護を1日3回に増やせばその分が加算され、介護保険で使える量の上限(区分支給限度基準額)を超えた分は全額自己負担になります。「家賃は安いはずが、合計では介護付有料老人ホームと変わらなかった」というお話は、実際にうかがいます。
いまのご状況でおおよそいくらになるかは、費用シミュレーションで確かめられます。施設タイプごとの相場は老人ホームの費用相場と内訳にまとめました。
一般型のサ高住と住宅型有料老人ホームは、暮らしてみると似ています。どちらも住まいと介護が切り離されており、外部のサービスを組み合わせて使う点は同じです。違いは、主に制度と契約の側にあります。
図4一般型サ高住と住宅型有料老人ホームの主な違い
一般型サ高住
根拠は高齢者住まい法で、都道府県などへの登録制です。契約は多くが賃貸借契約で、借地借家法の保護を受けます。居室は原則25㎡以上と広めで、台所や浴室が各戸に付いていることが多くあります。
住宅型有料老人ホーム
根拠は老人福祉法で、都道府県への届出制です。契約は利用権方式が中心です。居室は18㎡前後が多く、食事や生活支援があらかじめ組み込まれているぶん、手のかかる方にも対応しやすい造りです。
どちらが良いというものではなく、ご本人がどこまでご自身でできるかで、住み心地が変わります。ご自分で炊事や洗濯をなさりたい方には、設備の整ったサ高住が合いやすく、身の回りのことに手助けが要る方には、はじめから支援が組み込まれた住宅型のほうが暮らしやすいことが多くあります。住宅型と介護付の違いは介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いで詳しくご説明しています。
サ高住を調べておられる方から、「特養とどう違うのか」を最もよくうかがいます。この2つは、費用も入りやすさも、そもそもの成り立ちが違います。
図5サ高住と特養の主な違い
サ高住
民間が運営する住宅です。要支援・自立の方から入れ、申し込めば空室があるかぎり比較的すぐに入居できます。そのぶん費用はご自身の負担が中心で、月額は十数万円から。介護は外部の事業所と個別に契約します(介護型を除く)。
特養
公的施設で、原則要介護3以上の方が対象です。所得に応じた軽減があり月額は数万円台からと安いぶん、希望者が多く待機が生じます。介護は施設の職員が提供し、看取りまで対応する施設も多くあります。
そのため、選ぶ順序としては「特養に申し込めるか」を先に確かめるのが現実的です。要介護3以上で、費用を抑えることが最優先であれば、特養に申し込みながら待機期間の住まいとしてサ高住を使う、という組み立てもできます。
要介護1・2の方や、まだお元気で先々に備えたいという方は、特養の対象になりません。その場合はサ高住か住宅型・介護付有料老人ホームから選ぶことになります。費用を抑えたい場合の選択肢は、年金だけで入れる老人ホームはある?で整理しています。
これまでのご相談から見えてきた傾向を整理すると、次のようになります。
サ高住が合いやすい方
一般型では慎重に確かめたい方
後者に当てはまる場合、一般型が対応できないという意味ではありません。ただ、費用と体制の両面で確かめておく項目が増えます。介護型のサ高住や介護付有料老人ホームも並べて見比べておくと、判断しやすくなります。
一般型で足りるのか、迷われたときは
「いまの状態なら一般型で大丈夫か」「介護型まで考えたほうがよいか」。この見極めは、パンフレットだけでは難しいところです。相談員は、地域のサ高住がどの状態の方まで受け入れているかを日ごろから把握しています。ご本人の状態をうかがったうえで、無理のない候補をお出しします。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
ご相談のなかで最も多いご心配が、これです。結論から申し上げると、住宅によって大きく分かれます。介護型であれば、要介護度が上がっても住み続けられる形が整っています。一般型では、次の3つのどれに当たるかを確かめておくことになります。
図6一般型で介護が重くなったときの3つのケース
どのケースになるかを左右するのが、契約書に書かれた退去要件です。「常時の介護が必要になったとき」「他の入居者との共同生活が困難になったとき」といった条項が入っていることがあり、この書きぶりで見通しが変わります。重要事項説明書とあわせて、契約の前に目を通しておかれると安心です。
見学のときに、そのまま口に出せる聞き方
「要介護4になっても住み続けられますか」
「これまでに、介護が重くなって移られた方はいらっしゃいますか」
「その場合、どちらへ移られることが多いですか」
——3つ目までうかがえると、実際の運用が見えてきます。数字ではなく実例でお答えいただけると、より確かです。
図7サ高住の見学で確かめたいこと
見学全般で見ておきたい点は、老人ホーム見学のチェックリストに25項目でまとめています。あわせてお使いください。
入れます。多くのサ高住は60歳以上、または要支援・要介護の認定を受けている方を対象としています。自立の状態から入居できるのは、老人ホームと比べたときの大きな特徴です。
2人でお住まいになれる住戸を用意しているサ高住は、比較的多くあります。居室が原則25㎡以上と広めであることも、ご夫婦での入居に向いている理由です。ただし、お二人の要介護度が異なる場合は、それぞれに必要な体制が整うかを確かめておかれるとよいと思います。
症状の程度によります。ご自身のお部屋が分かり、生活のリズムが保たれている段階であれば、受け入れているサ高住は少なくありません。一方、外出して戻れないことがある、夜間の対応が必要といった段階では、対応できる住宅は限られてきます。認知症でも入れる老人ホームの選び方で症状別に整理しています。
賃貸借契約であれば、敷金から原状回復の費用を差し引いた分が返還されます。前払金を預けている場合は、契約書に書かれた償却の期間と割合にしたがって、残りが返ってきます。この計算方法は契約書に必ず書かれていますので、ご契約の前に確かめておかれると安心です。
受け入れているサ高住はあります。家賃が住宅扶助の範囲に収まるかが目安になり、地域によって上限額が異なります。担当のケースワーカーにご相談のうえで進める形になります。
サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認と生活相談が付いた高齢者向けの賃貸住宅です。居室が広く、これまでの暮らし方を続けやすい一方、介護は自動的には付いてきません。
選ぶうえでの分かれ道は一般型か介護型か、そして介護が重くなったときに住み続けられるかの2点です。この2つを入居前に確かめておくと、あとから住み替えを急ぐ場面を減らせます。
「いまの状態ならどちらが合うか」は、ご本人の状態と地域の住宅の顔ぶれによって変わります。迷われたときは、候補を一緒に見比べるところからお手伝いします。
この記事の監修者
東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。設備・サービス・費用・退去要件は住宅ごとに異なります。掲載の費用はあくまで首都圏の目安であり、金額をお約束するものではありません。実際のご契約にあたっては、各住宅の契約書と重要事項説明書をご確認ください。
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