「親の年金は月十数万円。この範囲で入れる施設はありますか」——費用に関するご相談で最も多い質問です。結論から申し上げると、選択肢はあります。ただし、探し方と使える制度を知っているかどうかで結果が大きく変わります。この記事では、年金の範囲で暮らすための現実的な進め方を整理します。
この記事の要点
目次
年金の範囲で暮らせる施設はあります。ただし、そこにたどりつくには次の3つが揃っている必要があります。
図1そこにたどりつくための3つの条件
入居条件を満たしている
要介護度など、対象施設の入居条件を満たしていること。
軽減制度を申請している
使える軽減制度を、きちんと申請していること。
立地・居室に妥協ができる
立地や居室タイプについて、ある程度の妥協ができること。
※この3つのどれかが欠けていると「年金だけでは無理」という結論になりがちです。
逆に言えば、この3つのどれかが欠けていると「年金だけでは無理」という結論になりがちです。特に2番目の軽減制度は、申請しなければ受けられません。知らないまま高い費用を払い続けている方は少なくありません。
施設を探し始める前に、確認しておきたいのは次の4点です。
図2施設を探し始める前に、この4点を確認
「毎月払える額」の計算式
月の年金手取り額 +(預貯金 ÷ 想定入居期間 ÷ 12)
これが、無理なく払える月額費用の上限です。想定入居期間は長めに見ておくと安全です。
ご家族が負担する前提で計算しないことをおすすめします。介護は何年続くか分からないため、ご家族の生活が先に立ち行かなくなるリスクがあります。
費用面では最有力の選択肢です。入居時の一時金が不要で、所得に応じた軽減制度も使えます。多床室であれば月10万円前後に収まるケースもあります。
ただし原則として要介護3以上が条件で、地域によっては入居まで時間がかかります。くわしくは特別養護老人ホームの入居条件と申し込み方法をご覧ください。
比較的低額な福祉施設で、所得に応じて費用が決まる仕組みがあります。自立に近い段階から利用できる「一般型」と、介護サービスが付いた「介護型」があります。要介護度が低く特養の対象にならない段階での選択肢として有効です。数が限られるため、早めに市区町村の窓口で情報を集めてください。
認知症の診断があり要支援2以上であれば候補になります。特養ほどではありませんが、有料老人ホームより費用は抑えめです。原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。
民間施設でも、都心から離れた立地であれば月10万円台の物件があります。ただし介護サービスは外部契約が基本のため、介護量が増えると費用が上がっていく点に注意が必要です。仕組みの違いは介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いで解説しています。
ここが最も重要な部分です。いずれも自動では適用されません。
図3申請しないと使えない4つの制度
特定入所者介護サービス費
(負担限度額認定)
所得と預貯金が一定額以下の方の居住費と食費が軽減されます。対象は特養・老健・介護医療院・ショートステイ。有料老人ホームやサ高住は対象外です。
高額介護サービス費
1か月の介護サービス費の自己負担が所得区分ごとの上限を超えた場合、超過分が払い戻されます。
社会福祉法人等による
利用者負担軽減制度
低所得で生計が困難な方について、社会福祉法人が運営する施設のサービス費・食費・居住費が軽減されます。あまり知られていない制度です。
高額医療・高額介護
合算療養費
1年間の医療費と介護費の自己負担を合算し、上限を超えた分が払い戻されます。持病があり通院が多い方には効果が大きい制度です。
※どれも自動では適用されません。公的施設を検討するなら、真っ先に市区町村の窓口でご確認ください。
所得と預貯金が一定額以下の方について、施設の居住費と食費が軽減される制度です。対象は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、ショートステイ。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は対象外です。
この制度が使えるかどうかで、特養の月額費用は大きく変わります。公的施設を検討するなら、真っ先に市区町村の窓口で確認してください。
1か月の介護サービス費の自己負担が所得区分ごとの上限を超えた場合、超過分が払い戻されます。くわしくは高額介護サービス費とはをご覧ください。
低所得で生計が困難な方について、社会福祉法人が運営する施設のサービス費・食費・居住費が軽減される制度です。実施している法人と、対象になる要件が市区町村ごとに定められています。あまり知られていない制度なので、窓口で「対象になりませんか」と尋ねてみる価値があります。
1年間の医療費と介護費の自己負担を合算し、上限を超えた分が払い戻されます。持病があり通院が多い方には効果が大きい制度です。
予算から逆算した施設探し、ご相談ください
「月○万円までなら出せます」という前提で、どんな選択肢があるかをご提案します。使える制度の確認先もあわせてご案内します。「住まいる」のご相談は何度でも無料です。
費用は重要ですが、安さだけで決めると次のような問題が起きやすくなります。
見学時の確認項目は老人ホーム見学のチェックリストにまとめています。
図4現実的な進め方
年金の範囲で入れる施設は、あります。鍵になるのは、軽減制度を漏れなく申請することと、立地や居室について現実的な妥協点を持つことです。
そして忘れないでいただきたいのは、預貯金を使うことは失敗ではないということ。資産を守るために在宅介護を続けてご家族が倒れてしまえば、その後の選択肢はもっと狭まります。
「この予算だと何が可能ですか」というご相談から承ります。どうぞお気軽にお声がけください。
この記事の監修者
東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。
出典・参考
※本記事の制度・費用に関する記載は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。軽減制度の要件や実施状況は市区町村により異なります。実際のお手続きの際は、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
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