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介護にかかるお金には、軽くしたり、払い戻しを受けたりできる公的な制度がいくつもあります。ただ、ほとんどが申請しないと受けられず、窓口や時期もばらばらです。この記事では、制度を4つに分けて整理し、いまの状況から使える制度が分かる早見表と、1年のうちいつ何を申請するかをまとめました。くわしい内容は、それぞれの記事でご説明しています。
この記事の要点
目次
制度の名前は似ていて、並べて見ると区別がつきにくいものです。何を軽くする制度かで4つに分けると、どれが自分に関係するかを見分けやすくなります。
図1介護費用を抑える制度の4つの分け方
自己負担の割合
介護保険のサービスは、費用の1〜3割を払います。割合は所得で決まります。
月と年の上限(払い戻し)
1か月の介護の自己負担、1年間の医療と介護の自己負担に上限があり、超えた分が戻ります。
施設の食費・居住費
特養・老健などの食費と居住費は保険が効きませんが、所得と預貯金によって負担が下がります。
税金(控除)
施設や医療系のサービスに払った費用の一部は、確定申告で税金が軽くなります。
このほかに、住まいの改修や、所得が特に低い方のための軽減、生活保護の介護扶助があります(そのほかの軽減)。
図2こんなときに、使える制度
※表は横にスクロールできます
| こんなとき | 使える制度と窓口 |
|---|---|
| 介護サービスの自己負担が1か月で上限を超えた | 高額介護サービス費(市区町村) |
| 特養・老健・ショートステイの食費と居住費が重い(住民税非課税) | 負担限度額認定(市区町村) |
| 入院と介護が重なった年があった | 高額介護合算療養費(加入している医療保険) |
| 特養・老健・介護医療院や、訪問看護などに払った | 医療費控除(確定申告) |
| 要介護認定を受けていて、税金がかかっている | 障害者控除(市区町村で認定を受けて、確定申告) |
| 住民税非課税で、とくに暮らしが苦しい | 社会福祉法人等による利用者負担の軽減(市区町村) |
| 手すりを付けたい、段差をなくしたい | 介護保険の住宅改修(ケアマネジャー・市区町村) |
| 生活保護を受けている | 介護扶助(福祉事務所) |
※どの制度も、条件にあたるかどうかは窓口で確かめられます。担当のケアマネジャーがいれば、まず相談してみるのが早道です。
介護保険のサービスを使ったときの自己負担は、所得によって1割・2割・3割のどれかです※1。どれにあたるかは、毎年7月ごろに市区町村から届く負担割合証に書かれていて、8月から1年間その割合が使われます。
割合そのものを自分で下げる手続きはありませんが、2割・3割の方も、月の上限(次の節)は同じように使えます。判定の基準や、所得が変わったときの扱いは介護保険の負担割合の記事にまとめています。
介護保険のサービスの自己負担には、1か月ごとの上限があります。上限を超えて払った分は、申請すると払い戻されます※1。上限は世帯の所得で決まり、住民税がかかっている一般的な世帯なら月44,400円です。
施設のサービス費も対象ですが、食費・居住費や、有料老人ホームの家賃などは入りません。所得区分ごとの上限額や申請の方法は、高額介護サービス費とはをご覧ください。
特養・老健・介護医療院と、ショートステイの食費と居住費は、介護保険が効かず、施設の費用の大きな部分を占めます。住民税非課税の世帯で、預貯金が一定の額以下の方は、負担限度額認定を受けると、この2つが下がります※1。
下がり幅が大きく、施設によっては月の支払いが半分近くになることもあります。有料老人ホーム・サ高住・グループホームでは使えません。段階ごとの金額や預貯金の条件は、負担限度額認定とはにまとめています。
医療と介護の両方にお金がかかった年は、1年分(8月〜翌年7月)の自己負担を合わせて、基準額を超えた分が戻ります※1。これが高額介護合算療養費です。
基準額は所得で決まり、75歳以上なら年19万〜212万円、一般の方は56万円です。毎月の上限で戻った分を差し引いたあとの額で計算するので、月の上限と重ねて使えます。対象になる費用や計算例は、高額介護合算療養費とはをご覧ください。
特養・老健・介護医療院に払った施設サービス費・食費・居住費の自己負担は、確定申告の医療費控除の対象です。特養は2分の1、老健と介護医療院は全額が対象になります※2。訪問看護などの医療系のサービスも対象です。いっぽう、介護付き有料老人ホームやグループホームに払う費用は対象になりません。施設ごとの違いや計算例は、老人ホームの医療費控除にまとめています。
また、65歳以上で要介護認定を受けている方は、市区町村から「障害者控除対象者認定書」を受けると、所得税の障害者控除(27万円。特別障害者にあたる方は40万円)の対象になることがあります※3。認定の基準は市区町村によって違うので、窓口で聞いてみてください。
社会福祉法人などが運営する特養・デイサービス・訪問介護・ショートステイなどでは、所得が低く、とくに暮らしが苦しい方の利用者負担を、原則として4分の1軽くする制度があります※4。住民税非課税の世帯で、年間の収入が単身で150万円以下、預貯金が単身で350万円以下などの条件があり、市区町村が認定します。実施している法人のサービスに限られるので、市区町村の窓口で確かめてみてください。
手すりの取り付けや段差の解消などの工事は、20万円までを介護保険の対象にでき、自己負担は1〜3割です※1。工事を始める前に申請が必要です。くわしくは介護保険の住宅改修をご覧ください。
生活保護を受けている方は、介護保険のサービスの自己負担が、介護扶助でまかなわれます。施設に入るときも、生活保護を受けながら入れる住まいがあります。福祉事務所の担当のケースワーカーに相談できます。
世帯分離は、全体を確かめてから
住民票の世帯を分ける「世帯分離」で、住民税非課税の世帯として扱われ、高額介護サービス費や負担限度額認定の区分が下がることがあります。ただし、国民健康保険料が変わったり、高額介護合算療養費で夫婦の分を合わせられなくなったりすることもあります。1つの制度だけを見て決めず、市区町村の窓口で全体を確かめてから決めると安心です。
制度ごとに、切り替わる時期と申請の時期が違います。1年の流れで並べると、次のようになります。
図31年の流れ(目安)
使える制度を見込んだ金額で、住まいを探せます
「制度を使うと、月いくらになりますか」「この予算で入れる住まいはありますか」——住まいるの相談員は、年金や預貯金、使える制度の見通しをうかがったうえで、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の住まいを一緒にお探しします。生活保護を受けておられる方のご相談もお受けしています。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
まず、介護保険の負担割合証で1〜3割のどれかを確かめます。施設に入っている方や、ショートステイをよく使う方で、住民税が非課税なら、負担限度額認定がいちばん大きく効きます。介護サービスの自己負担が月に上限を超えていれば高額介護サービス費、医療費もかかった年は高額介護合算療養費、年が明けたら医療費控除、という順で見ていくと抜けが少なくなります。
ほとんどの制度は、申請が必要です。高額介護サービス費は、はじめて対象になったときに申請すると、2回目からは自動で振り込まれる市区町村が多くなっています。負担限度額認定は、毎年の更新の申請が必要です。医療費控除は、ご自分で確定申告をしてはじめて受けられます。
あります。介護付き有料老人ホームの介護費(1〜3割の部分)は、高額介護サービス費と高額介護合算療養費の対象です。いっぽう、負担限度額認定は有料老人ホームでは使えず、ホームに払う費用は医療費控除の対象にもなりません。訪問診療や薬代は、どこに住んでいても医療費控除の対象です。
住民票の世帯を分けると、住民税が非課税の世帯として扱われ、高額介護サービス費や負担限度額認定の区分が下がることがあります。ただし、国民健康保険料や、ほかの制度の扱いが変わることもあります。1つの制度だけを見て決めず、市区町村の窓口で全体を確かめてから決めると安心です。
雇用保険に入っている方は、介護休業をとったときに、休んだ期間の給料の一部を介護休業給付金として受け取れることがあります。条件は勤務先の人事の窓口か、ハローワークで確かめられます。
介護保険の制度は、お住まいの市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターで相談できます。担当のケアマネジャーがいれば、まず聞いてみるのが早道です。医療費控除などの税金のことは、税務署で相談できます。
介護費用を抑える制度は、自己負担の割合、月と年の上限、施設の食費と居住費、税金の4つに分けると整理できます。施設に入っていて住民税が非課税なら負担限度額認定、医療費もかかった年は高額介護合算療養費、年が明けたら医療費控除——と、場面ごとに使える制度が決まっています。
ほとんどの制度は、申請しないと受けられません。まずは早見表で当てはまりそうなものを探し、市区町村の窓口や担当のケアマネジャーに確かめてみてください。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事の内容は、2026年9月時点の法令・制度にもとづく一般的な説明です。所得区分や金額、申請の時期は、市区町村や加入している医療保険によって異なることがあります。実際のお手続きの際は、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
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