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介護保険では、手すりの取付けや段差の解消など6種類の工事に20万円まで使えます※1。自己負担1割の方なら、20万円の工事でご負担は2万円です。転ばないようにする工事は、入院や施設への入居を先に延ばすことにつながります。ただしひとつだけ、外せない決まりがあります——申請は工事を始める前です。この記事では、できる工事と20万円の数え方、そして申請の順番をご説明します。
この記事の要点
目次
要介護認定または要支援認定を受けた方が、いま住んでいるご自宅に手すりを付けたり段差をなくしたりするとき、20万円までの工事費に介護保険が使えます※1。支給されるのは負担割合に応じた分で、1割負担の方なら18万円までです。
20万円の工事をしたときのご負担
負担割合の決まり方は介護保険の負担割合でご覧いただけます。
図120万円の工事をしたときの、ご自身のご負担
支給限度基準額の20万円は、要支援1から要介護5まで同じ額です。20万円を超えた分は全額のご負担になります。
この制度のよいところは、要介護度が軽い方ほど手をつけやすいことです。要支援1の方でも20万円。デイサービスや訪問介護のように毎月の枠を分け合うものではなく、住宅改修は別枠ですから、ほかのサービスを減らす必要もありません。
対象になる工事は、国が6つに定めています※2。
※表は横にスクロールできます
| 工事の種類 | 具体的にできること |
|---|---|
| 1 手すりの取付け | 廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒を防ぐ手すりを付けます。取り付けのための壁の下地の補強も含みます |
| 2 段差の解消 | 居室、廊下、トイレ、浴室、玄関などの段差をなくします。敷居を低くする、スロープを付ける、浴室の床をかさ上げする、といった工事です |
| 3 滑りの防止・移動の円滑化のための床材の変更 | 浴室の床を滑りにくいものに替える、居室の畳をフローリングやビニル系の床材に替える、といった工事です |
| 4 引き戸等への扉の取替え | 開き戸を引き戸や折れ戸、アコーディオンカーテンに替えます。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含みます |
| 5 洋式便器等への便器の取替え | 和式便器を洋式便器に替えます。便器の位置や向きを変える工事も含みます |
| 6 上の5つに付帯して必要になる工事 | 手すりを付けるための壁の補強、床材を替えるための下地の補修、便器を替えるための給排水設備の工事、スロープを設けるための転落防止柵など |
ご相談でいちばん多いのは手すりです。廊下、トイレ、浴室、玄関、そして玄関から道路までの通路。屋外の工事も対象になります。
工事を伴わないものは、福祉用具のほうです
据え置き型の手すりや、浴室に置くすのこ、持ち運びできるスロープのように工事をしないものは、住宅改修ではなく福祉用具の貸与・購入にあたります。どちらで対応するかは、お住まいの状況を見たうえでケアマネジャーが判断します。「工事をしないで済むなら、そのほうが早くて安い」という場合も少なくありません。
20万円には、覚えておいていただきたい数え方があります。
20万円の3つの決まり
つまり「ひとり生涯20万円」が基本です。要支援のときに使った分は、要介護になったあとの残りから差し引かれます。
ここでよくいただくご質問が「一度に使ったほうが得ですか」というものです。そういうことはありません。合計が20万円に達するまで、何回に分けても構いません。むしろ、いま困っているところから順に手をつけて、体の状態が変わったときに残りを使うほうが、無駄になりにくいと感じています。
生涯20万円が基本ですが、例外が2つあります※1。
最初に住宅改修をしたときと比べて、次の段階が3段階以上上がった場合、1回に限り、改めて20万円まで使えます。
※表は横にスクロールできます
| 介護の必要の程度 | 要介護等状態区分 |
|---|---|
| 第六段階 | 要介護5 |
| 第五段階 | 要介護4 |
| 第四段階 | 要介護3 |
| 第三段階 | 要介護2 |
| 第二段階 | 要支援2 または 要介護1 |
| 第一段階 | 要支援1 |
※たとえば要介護1(第二段階)のときに改修した方が要介護4(第五段階)になれば、3段階上がったことになり、改めて20万円が使えます。
住宅改修費はいま住んでいる住宅について支給されるものです。そのため引っ越した場合は、新しいお住まいについて改めて20万円まで使えます。回数の制限はありません。
お子さまのお住まいの近くへ引っ越される、いわゆる呼び寄せをお考えの方は、この点も知っておかれるとよいと思います(遠距離介護)。
この制度でいちばん大事なところです。住宅改修費は、工事を始める前に申請します※1。
図2申請から支給までの順番
②を飛ばして先に工事をすると、支給されないことがあります。入院中の方が退院に間に合わせるために先に着工する場合など、やむを得ない事情があるときは例外として扱われます。
なぜ事前申請なのかというと、市区町村が「その工事が保険給付として適当かどうか」を先に確かめる仕組みだからです。工事が終わってから「対象外でした」と分かるのを避けるための順番、とお考えください。
市区町村によって様式は違いますが、出すものはおおむね共通しています。
工事の前に出すもの
工事のあとに出すもの
理由書の作成に、別途の費用はかかりません。ケアマネジャーが作る場合、これは居宅介護支援の一環として行うものと決められています※1。「理由書代」を求められることはありません。
写真は、工事の前に撮っておくことだけ気をつけてください。工事が終わってからでは、改修前の写真が撮れなくなります。
支払い方には2つあります。
2つの支払い方
受領委任払いを使えるかどうかは市区町村ごとに違い、登録された事業者に限られることもあります。手元のお金の準備が難しい場合は、申請の前に窓口でお尋ねください。
住宅改修費の対象にならない例
対象になる工事と対象外の工事を同時に行った場合は、対象の部分だけを取り出して費用を計算します。見積書の段階で分けてもらっておくと、後の手続きがなめらかです。
ひとつの住宅に、認定を受けた方が2人おられることがあります。この場合、支給限度額はお一人ずつ管理されますので、それぞれが20万円まで申請できます※1。
ただし、同じ住宅で同時に工事をするときは、お一人ずつに意味のある範囲を分けて申請します。たとえばそれぞれの居室の床材を替えるのであれば、お二人がそれぞれ申請できます。共用の廊下の床材を替える場合は、どちらか一方の申請になります。
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住宅改修で続けられるご家庭もあれば、住み替えのほうが結果的に楽になるご家庭もあります。住まいるの相談員は、どちらもお手伝いしてきました。ご相談は無料で、何度でもうかがいます。
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20万円までの工事が対象です。要介護度にかかわらず定額で、要支援1から要介護5まで同じ額です。20万円の工事をした場合、自己負担1割の方なら18万円が支給され、ご負担は2万円になります。2割負担の方は4万円、3割負担の方は6万円です。20万円を超えた分は全額自己負担になります。
使い切る必要はありません。20万円は残額を持ち越せます。たとえば最初に手すりで5万円を使った場合、残り15万円を後日の段差解消などに使えます。要介護度が変わっても、20万円という枠そのものは変わりません。
原則として、工事を始める前に申請します。市区町村は事前に出された書類で保険給付の対象になるかどうかを確認し、その結果をお知らせします。この順番を踏まないと支給されないことがありますので、見積もりができた時点で担当のケアマネジャーにご相談ください。入院中の方が退院に間に合わせるために先に着工する場合など、やむを得ない事情があるときは例外として扱われます。
使えます。工事の大きさに下限はありません。手すり1本の取付けでも、対象となる6種類の工事にあたれば住宅改修費の支給を受けられます。手すりを付けるための壁の下地の補強も、同じ工事に含めて対象になります。
2つあります。1つは、最初に住宅改修を行ったときと比べて「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がったときで、この場合は1回に限り、改めて20万円まで使えます。もう1つは転居したときで、新しいお住まいについて改めて20万円まで使えます。
使えます。ただし住宅の所有者がご本人と違う場合は、所有者の承諾書が必要です。大家さんや管理会社に工事の内容を説明し、書面で承諾をいただいてから進めます。退去時の原状回復をどうするかも、あわせて話し合っておかれると安心です。
使えます。要支援1・2の方は介護予防住宅改修費という名前になりますが、20万円という額も対象の工事も同じです。要介護の方の住宅改修費と同じ枠で管理されますので、要支援のときに使った分は、要介護になったあとの残額から差し引かれます。
介護保険の住宅改修は、6種類の工事に20万円まで。自己負担1割の方ならご負担は2万円です。要介護度にかかわらず同じ額で、毎月のサービスの枠とは別枠ですから、ほかを減らす必要もありません。
覚えていただきたいのは順番です。ケアマネジャーに相談し、工事を始める前に申請し、確認の結果を受け取ってから着工する。写真は工事の前に撮っておく。この順番さえ守れば、手続きでつまずくことはほとんどありません。
要介護度が3段階上がったときと、転居したときは、改めて20万円が使えます。いま全部を使い切る必要はありませんので、困っているところから順に手をつけていかれるとよいと思います。
手すり1本で、転倒が1回減ることがあります。その1回が、入院や住み替えの分かれ目になることもあります。迷われたときは、担当のケアマネジャーか、私たち住まいるにお声がけください。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年9月時点の制度にもとづいています。様式や受領委任払いの取り扱いは市区町村によって異なります。実際の申請にあたっては、お住まいの市区町村の窓口または担当のケアマネジャーにご確認ください。
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