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介護と住まいのコラム

費用・お金 2026.09.17

介護保険の住宅改修|20万円で何ができるか、申請はいつ出すか

介護保険では、手すりの取付けや段差の解消など6種類の工事に20万円まで使えます※1。自己負担1割の方なら、20万円の工事でご負担は2万円です。転ばないようにする工事は、入院や施設への入居を先に延ばすことにつながります。ただしひとつだけ、外せない決まりがあります——申請は工事を始める前です。この記事では、できる工事と20万円の数え方、そして申請の順番をご説明します。

ご自宅の前で、住宅改修の申請書を見ながら相談する、杖をついたお母様と娘さんのイラスト

この記事の要点

  • 20万円までの工事が対象です。要介護度にかかわらず同じ額で、自己負担1割ならご負担は2万円
  • できるのは手すり・段差の解消・床材の変更・扉の取替え・便器の取替えと、それに付帯する工事の6種類です。
  • 申請は工事を始める前に出します。先に工事をしてしまうと、支給されないことがあります。
  • 要介護度が3段階上がったとき転居したときは、改めて20万円まで使えます。

介護保険の住宅改修とは

要介護認定または要支援認定を受けた方が、いま住んでいるご自宅に手すりを付けたり段差をなくしたりするとき、20万円までの工事費に介護保険が使えます※1。支給されるのは負担割合に応じた分で、1割負担の方なら18万円までです。

20万円の工事をしたときのご負担

  • 1割負担の方:18万円が支給され、ご負担は2万円
  • 2割負担の方:16万円が支給され、ご負担は4万円
  • 3割負担の方:14万円が支給され、ご負担は6万円

負担割合の決まり方は介護保険の負担割合でご覧いただけます。

図120万円の工事をしたときの、ご自身のご負担

1割負担の方20,000円

20万円の工事のうち、180,000円が支給されます

2割負担の方40,000円

20万円の工事のうち、160,000円が支給されます

3割負担の方60,000円

20万円の工事のうち、140,000円が支給されます

支給限度基準額の20万円は、要支援1から要介護5まで同じ額です。20万円を超えた分は全額のご負担になります。

この制度のよいところは、要介護度が軽い方ほど手をつけやすいことです。要支援1の方でも20万円。デイサービスや訪問介護のように毎月の枠を分け合うものではなく、住宅改修は別枠ですから、ほかのサービスを減らす必要もありません。

できる工事は6種類

対象になる工事は、国が6つに定めています※2

※表は横にスクロールできます

工事の種類具体的にできること
1 手すりの取付け廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒を防ぐ手すりを付けます。取り付けのための壁の下地の補強も含みます
2 段差の解消居室、廊下、トイレ、浴室、玄関などの段差をなくします。敷居を低くする、スロープを付ける、浴室の床をかさ上げする、といった工事です
3 滑りの防止・移動の円滑化のための床材の変更浴室の床を滑りにくいものに替える、居室の畳をフローリングやビニル系の床材に替える、といった工事です
4 引き戸等への扉の取替え開き戸を引き戸や折れ戸、アコーディオンカーテンに替えます。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含みます
5 洋式便器等への便器の取替え和式便器を洋式便器に替えます。便器の位置や向きを変える工事も含みます
6 上の5つに付帯して必要になる工事手すりを付けるための壁の補強、床材を替えるための下地の補修、便器を替えるための給排水設備の工事、スロープを設けるための転落防止柵など

ご相談でいちばん多いのは手すりです。廊下、トイレ、浴室、玄関、そして玄関から道路までの通路。屋外の工事も対象になります。

工事を伴わないものは、福祉用具のほうです

据え置き型の手すりや、浴室に置くすのこ、持ち運びできるスロープのように工事をしないものは、住宅改修ではなく福祉用具の貸与・購入にあたります。どちらで対応するかは、お住まいの状況を見たうえでケアマネジャーが判断します。「工事をしないで済むなら、そのほうが早くて安い」という場合も少なくありません。

20万円の数え方

20万円には、覚えておいていただきたい数え方があります。

20万円の3つの決まり

  • 要介護度にかかわらず定額:要支援1でも要介護5でも20万円です
  • 使い切らなくてよい:残額は持ち越せます。手すりで5万円使ったら、残り15万円を後日に使えます
  • 要介護度が変わっても枠は変わらない:要支援から要介護になっても、同じ20万円の枠で数えます

つまり「ひとり生涯20万円」が基本です。要支援のときに使った分は、要介護になったあとの残りから差し引かれます。

ここでよくいただくご質問が「一度に使ったほうが得ですか」というものです。そういうことはありません。合計が20万円に達するまで、何回に分けても構いません。むしろ、いま困っているところから順に手をつけて、体の状態が変わったときに残りを使うほうが、無駄になりにくいと感じています。

もう一度20万円が使える、2つの場合

生涯20万円が基本ですが、例外が2つあります※1

①「介護の必要の程度」が3段階以上上がったとき

最初に住宅改修をしたときと比べて、次の段階が3段階以上上がった場合、1回に限り、改めて20万円まで使えます。

※表は横にスクロールできます

介護の必要の程度要介護等状態区分
第六段階要介護5
第五段階要介護4
第四段階要介護3
第三段階要介護2
第二段階要支援2 または 要介護1
第一段階要支援1

※たとえば要介護1(第二段階)のときに改修した方が要介護4(第五段階)になれば、3段階上がったことになり、改めて20万円が使えます。

②転居したとき

住宅改修費はいま住んでいる住宅について支給されるものです。そのため引っ越した場合は、新しいお住まいについて改めて20万円まで使えます。回数の制限はありません。

お子さまのお住まいの近くへ引っ越される、いわゆる呼び寄せをお考えの方は、この点も知っておかれるとよいと思います(遠距離介護)。

申請の順番|工事を始める前に出す

この制度でいちばん大事なところです。住宅改修費は、工事を始める前に申請します※1

図2申請から支給までの順番

  1. ケアマネジャーに相談する どこに、どんな工事が要るかを一緒に考えます。福祉用具で足りるかどうかも、ここで分かれます。
  2. 事前の申請書類を市区町村に出す 申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費の見積書、改修後の予定が分かる写真や図を出します。 市区町村が、保険の対象になるかを確認して知らせてくれます
  3. 工事をする 確認の結果を受け取ってから着工します。
  4. 工事のあとの書類を出す 領収証、工事費内訳書、改修前と改修後の写真(撮影日が分かるもの)を出します。 市区町村が確認して、住宅改修費が支給されます

②を飛ばして先に工事をすると、支給されないことがあります。入院中の方が退院に間に合わせるために先に着工する場合など、やむを得ない事情があるときは例外として扱われます。

なぜ事前申請なのかというと、市区町村が「その工事が保険給付として適当かどうか」を先に確かめる仕組みだからです。工事が終わってから「対象外でした」と分かるのを避けるための順番、とお考えください。

介護のやることリスト|8つの段階

いま何をすべきか、次に何をするかが分かります

やることを見る

必要な書類

市区町村によって様式は違いますが、出すものはおおむね共通しています。

工事の前に出すもの

  • 支給申請書:工事の種類、場所、規模を書きます
  • 住宅改修が必要な理由書:ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員が作ります
  • 工事費の見積書:材料費・施工費・諸経費が分かれているもの
  • 改修後の予定が分かるもの:写真または簡単な図

工事のあとに出すもの

  • 領収証:工事費内訳書を添えます
  • 完成後の状態が分かる写真:場所ごとに、改修前と改修後の両方。撮影日が分かるものが原則です
  • 住宅の所有者の承諾書:お住まいの所有者がご本人と違う場合

理由書の作成に、別途の費用はかかりません。ケアマネジャーが作る場合、これは居宅介護支援の一環として行うものと決められています※1。「理由書代」を求められることはありません。

写真は、工事の前に撮っておくことだけ気をつけてください。工事が終わってからでは、改修前の写真が撮れなくなります。

支払い方|償還払いと受領委任払い

支払い方には2つあります。

2つの支払い方

  • 償還払い:いったん工事費の全額を事業者に払い、あとから市区町村に申請して保険の分(1〜3割を除いた額)を受け取ります。これが原則の形です
  • 受領委任払い:窓口ではご自身の負担分(20万円の工事なら1割負担で2万円)だけを払い、残りは市区町村が事業者に直接払います

受領委任払いを使えるかどうかは市区町村ごとに違い、登録された事業者に限られることもあります。手元のお金の準備が難しい場合は、申請の前に窓口でお尋ねください。

対象にならないもの

住宅改修費の対象にならない例

  • 新築:住宅の新築は住宅改修にあたりません
  • 増築:新しく部屋を設ける工事は対象外です。ただし廊下を広げるのに合わせて手すりを付ける場合、その手すりの分は対象になります
  • 工事を伴わない設計だけの費用:工事をしない場合の設計・積算のみの費用は対象外です
  • お住まいでない住宅の工事:介護保険被保険者証に書かれた住所の住宅が対象です
  • 入院中・施設入居中の方:ご自宅に戻られることが前提です。退院・退所の予定が立ってからの申請になります

対象になる工事と対象外の工事を同時に行った場合は、対象の部分だけを取り出して費用を計算します。見積書の段階で分けてもらっておくと、後の手続きがなめらかです。

ご夫婦のどちらも要介護のとき

ひとつの住宅に、認定を受けた方が2人おられることがあります。この場合、支給限度額はお一人ずつ管理されますので、それぞれが20万円まで申請できます※1

ただし、同じ住宅で同時に工事をするときは、お一人ずつに意味のある範囲を分けて申請します。たとえばそれぞれの居室の床材を替えるのであれば、お二人がそれぞれ申請できます。共用の廊下の床材を替える場合は、どちらか一方の申請になります。

自宅で続けるか、住み替えるか——迷っておられませんか

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実際にご相談された方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

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よくあるご質問

介護保険の住宅改修は、いくらまで使えますか

20万円までの工事が対象です。要介護度にかかわらず定額で、要支援1から要介護5まで同じ額です。20万円の工事をした場合、自己負担1割の方なら18万円が支給され、ご負担は2万円になります。2割負担の方は4万円、3割負担の方は6万円です。20万円を超えた分は全額自己負担になります。

20万円は、一度に使い切らないといけませんか

使い切る必要はありません。20万円は残額を持ち越せます。たとえば最初に手すりで5万円を使った場合、残り15万円を後日の段差解消などに使えます。要介護度が変わっても、20万円という枠そのものは変わりません。

工事が終わってから申請できますか

原則として、工事を始める前に申請します。市区町村は事前に出された書類で保険給付の対象になるかどうかを確認し、その結果をお知らせします。この順番を踏まないと支給されないことがありますので、見積もりができた時点で担当のケアマネジャーにご相談ください。入院中の方が退院に間に合わせるために先に着工する場合など、やむを得ない事情があるときは例外として扱われます。

手すりを1本付けるだけでも使えますか

使えます。工事の大きさに下限はありません。手すり1本の取付けでも、対象となる6種類の工事にあたれば住宅改修費の支給を受けられます。手すりを付けるための壁の下地の補強も、同じ工事に含めて対象になります。

もう一度20万円が使えるのは、どんなときですか

2つあります。1つは、最初に住宅改修を行ったときと比べて「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がったときで、この場合は1回に限り、改めて20万円まで使えます。もう1つは転居したときで、新しいお住まいについて改めて20万円まで使えます。

賃貸住宅でも使えますか

使えます。ただし住宅の所有者がご本人と違う場合は、所有者の承諾書が必要です。大家さんや管理会社に工事の内容を説明し、書面で承諾をいただいてから進めます。退去時の原状回復をどうするかも、あわせて話し合っておかれると安心です。

要支援でも使えますか

使えます。要支援1・2の方は介護予防住宅改修費という名前になりますが、20万円という額も対象の工事も同じです。要介護の方の住宅改修費と同じ枠で管理されますので、要支援のときに使った分は、要介護になったあとの残額から差し引かれます。

まとめ

介護保険の住宅改修は、6種類の工事に20万円まで。自己負担1割の方ならご負担は2万円です。要介護度にかかわらず同じ額で、毎月のサービスの枠とは別枠ですから、ほかを減らす必要もありません。

覚えていただきたいのは順番です。ケアマネジャーに相談し、工事を始める前に申請し、確認の結果を受け取ってから着工する。写真は工事の前に撮っておく。この順番さえ守れば、手続きでつまずくことはほとんどありません。

要介護度が3段階上がったときと、転居したときは、改めて20万円が使えます。いま全部を使い切る必要はありませんので、困っているところから順に手をつけていかれるとよいと思います。

手すり1本で、転倒が1回減ることがあります。その1回が、入院や住み替えの分かれ目になることもあります。迷われたときは、担当のケアマネジャーか、私たち住まいるにお声がけください。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

  • ※1 厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(平成12年3月8日老企第42号)。支給限度基準額20万円、3段階上昇時と転居時の再支給、事前申請と必要書類、理由書の作成費用、複数の被保険者がいる場合の扱い
  • ※2 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(住宅改修の種類と申請の流れ)。工事の種類は「厚生大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類」(平成11年厚生省告示第95号)によります

※本記事は2026年9月時点の制度にもとづいています。様式や受領委任払いの取り扱いは市区町村によって異なります。実際の申請にあたっては、お住まいの市区町村の窓口または担当のケアマネジャーにご確認ください。

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