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新幹線や飛行機の距離に親御さんがいらっしゃる。電話では「大丈夫」と言うけれど、帰省するたびに冷蔵庫の中身や家の様子が気になる。そうしたご相談を、私たちは数多くお受けしています。遠距離の介護は、そばにいられないぶん「誰が、何を、どこまで担うか」をあらかじめ決めておけるかで、かかる負担が大きく変わります。この記事では、離れて暮らしながら支えるための組み立て方を、順にご説明します。
この記事の要点
目次
遠距離介護の出発点は、親御さんがお住まいの地域の地域包括支援センターです。ご自身がお住まいの地域ではなく、親御さんの地域である点にご注意ください。市区町村の役所に電話し、「〇〇に住む親のことで」とお伝えになれば、担当のセンターを教えてもらえます。
最初の電話で、必ず伝えておきたいこと
センターは無料で相談に乗ってくれる公的な窓口で、要介護認定の申請の代行もしています。介護が始まる前の「まだ元気だけれど心配」という段階でも、相談して構いません。
遠距離介護でご負担が重くなりやすいのは、帰省したときに全部を片づけようとするときです。作業を仕分けると、続けやすくなります。
図1役割を3つに仕分ける
離れていてもできること
ケアマネジャーとの連絡、書類の手続き、費用の管理、施設や病院の情報集め、家族間の調整。ここはご自身が引き受けやすい部分です。電話とメールで進められます。
現地の方にお願いすること
日々の見守り、買い物、通院の付き添い。ヘルパー、デイサービス、配食、ご近所の方や民生委員など、地域の手を組み合わせます。
帰省したときにすること
ご本人と顔を合わせて話すこと、家の様子を見ること、関係者に挨拶すること。作業ではなく、確認と関係づくりに使うと実りが大きくなります。
とくに1つ目は見落とされがちです。ケアマネジャーとのやりとりや、市区町村への申請書類は、離れていても十分に担えます。ここを引き受けることが、現地のご親族やご近所の負担を軽くすることにもつながります。
毎日の様子を知る手立てを、いくつか重ねておくと安心です。ひとつに頼ると、それが途切れたときに分からなくなります。
組み合わせやすい見守りの手立て
あわせて、情報を1か所にまとめておくことをおすすめしています。かかりつけ医と連絡先、お薬手帳の写し、保険証の番号、加入している保険、通帳や印鑑のありか、ケアマネジャーの名前と電話番号。ご家族で共有できる場所に置いておくと、急なときに動けます。この整理の仕方は親の介護が突然始まったらにも書いています。
ご本人は「大丈夫」とおっしゃることがほとんどです。言葉ではなく、家の様子から分かることがあります。
図2帰省したときに、さりげなく見ておきたいところ
気になることがあれば、ご本人に確かめるより先に、ケアマネジャーや地域包括支援センターにお伝えください。ご家族から指摘されると身構えてしまう方も、第三者からの話であれば受け入れやすいことがあります。
そして、帰省と帰省のあいだの日々をどうするか。異変に気づく手立てと、気づいたあとに動ける手立ては別のものです。後者をひとつ用意しておくと、離れていても構えが変わります。
遠距離介護で意外に重くのしかかるのが、交通費と時間です。使える仕組みを知っておくと、続けやすくなります。
知っておきたい制度
介護休業は「介護に専念するための休み」と受け取られがちですが、本来は介護の体制を整えるための期間という位置づけです。ケアマネジャーとの面談、施設の見学、書類の手続きといった、まとまった時間が要ることに充てるのが現実的です。
遠距離介護が続くと、必ず一度は考える分かれ道です。どちらが正しいというものではありません。
図3それぞれに、良い面と負担があります
地元で続ける
住み慣れた家と、なじみの人間関係が保たれます。かかりつけ医も続けられます。一方で、急なときにすぐ駆けつけられず、帰省の負担は続きます。地域の支えがどれだけあるかで、続けやすさが変わります。
呼び寄せる
近くで見守れ、通院にも付き添えます。ただし、環境が変わることがご本人の負担になることがあります。とくに認知症のある方は、慣れた場所を離れることで症状が進むように見える場合があります。
私たちの実感として、判断を分けるのはご本人の認知機能と、地域とのつながりの強さです。ご近所やご親族が日常的に関わっておられるなら、地元で続けるほうが穏やかに過ごせることが多くあります。逆に、地域とのつながりが薄く、ひとりで過ごす時間が長いのであれば、呼び寄せの利点が大きくなります。
呼び寄せる場合の、手続き上の注意
住民票を移すと、介護保険の保険者(保険を運営する市区町村)が変わります。ただし施設に入居して住民票を移す場合は、住所地特例という仕組みにより、もとの市区町村が保険者のままとなることがあります。要介護認定は引き継げますので、認定を取り直す必要はありません。転出・転入の手続きの際に、介護保険の窓口にもお立ち寄りください。
「実家は遠いのですが、相談できますか」
住まいるがお探しできるのは1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の施設ですが、ご相談そのものは、どちらにお住まいの方からでもお受けしています。呼び寄せをお考えの場合はもちろん、地元で続ける場合の組み立て方についても、経験からご案内できることがあります。まずはお話をお聞かせください。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
呼び寄せを決めた場合も、実家の近くで探す場合も、判断のもとになるのは面会にどれくらい通えるかです。
ご入居後、ご家族が施設に足を運ぶ機会は思いのほか多くあります。体調の変化の相談、契約の手続き、季節の衣類の入れ替え、そして日々の面会。月に1回がやっとという距離だと、施設との関係が薄くなりがちです。反対に、片道1時間以内であれば、様子の変化に気づきやすく、施設の職員とも顔なじみになれます。
通える頻度から逆算する
ご本人が転居に気が進まないご様子のときは、親が施設入居を拒否したらで、伝え方をご説明しています。
遠距離介護で最も多いご相談のひとつです。いま何にどれだけ時間と費用がかかっているかを書き出して共有するところから始めてみてください。実務を担っていない側からは、負担の大きさが見えにくいためです。役割分担は「同じだけやる」ではなく、「できることを分ける」形にすると話がまとまりやすくなります。
「まだ人の世話にはならない」というお気持ちは自然なものです。認定は受けてもサービスを使う義務はなく、使いたくなったときにすぐ使える備えだとお伝えすると、受け入れられることがあります。地域包括支援センターの職員から説明してもらうのも有効です。
ご入居のあとの実家をどうするかは、多くのご家族が直面する問題です。売却して費用にあてる、賃貸に出す、そのまま維持する。それぞれ税や費用の面で違いがありますので、税理士や不動産の専門家にご相談ください。売却された翌年は、介護保険の負担割合が上がる場合がありますので、介護保険の負担割合もあわせてご覧ください。
まずは搬送先の病院を確認し、可能な範囲で向かってください。到着までの間にできることとして、病院の医療ソーシャルワーカーに電話でつないでもらう方法があります。退院後の相談は、この方が窓口になります。詳しくは入院中に退院を迫られたらをご覧ください。
遠距離介護は、そばにいられないぶん仕組みで支える介護です。まずは親御さんの地域の地域包括支援センターに連絡し、「離れて住んでいる」と伝えるところから始まります。
そのうえで、離れていてもできること(連絡・手続き・費用・情報集め)はご自身が引き受け、日々の見守りは地域の手を組み合わせる。帰省は作業ではなく確認と関係づくりに使う。この形にすると、長く続けやすくなります。
呼び寄せるか地元で続けるかに、正解はありません。ご本人の認知機能と、地域とのつながりの強さを手がかりに、ご家族で話し合ってみてください。迷われたときは、私たちもご一緒に考えます。
この記事の監修者
東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。見守りサービスや配食などの実施状況、費用は市区町村によって異なります。介護休業・介護休暇の取得要件は、勤務先の就業規則とあわせてご確認ください。航空各社の割引制度は、各社の案内をご確認ください。
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