デイサービスを使いたい、介護ベッドを借りたい、施設に入りたい——。介護保険のサービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。手続きそのものは決して難しくありませんが、はじめての方には流れが見えにくいものです。この記事では、申請から認定までの道のりを順を追って解説します。
この記事の要点
目次
要介護認定とは、介護がどのくらい必要な状態かを市区町村が判定する手続きです。認定を受けると「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかの区分が決まり、その区分に応じて介護保険サービスを1〜3割の自己負担で利用できるようになります。
訪問介護もデイサービスも、福祉用具のレンタルも、特別養護老人ホームへの入居も、すべてこの認定が出発点です。「まだそこまでではない」と思っていても、早めに申請しておいて損はありません。認定を受けたからといって、サービスを使わなければならないわけではないからです。
図1申請できるのはどんな方か
65歳以上の方
(第1号被保険者)
原因を問わず、介護が必要な状態であれば申請できます。
40〜64歳の方
(第2号被保険者)
末期がん・初老期の認知症・脳血管疾患など、国が定める16種類の「特定疾病」が原因である場合に申請できます。
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口です。地域包括支援センターでも受け付けている自治体が多く、そちらのほうが相談しながら進められるため、はじめての方にはおすすめです。
申請はご本人やご家族のほか、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、介護保険施設などが代行することもできます。遠方に住んでいてなかなか帰省できない、といった場合にも道はありますので、まずは親御さんがお住まいの地域の地域包括支援センターにご相談ください。
地域包括支援センターとは
市区町村が設置する、高齢者のための総合相談窓口です。おおむね中学校区に1か所の割合で置かれており、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどが無料で相談に応じてくれます。「何から始めればいいか分からない」という段階で最初に頼るべき場所です。名称は「高齢者あんしんセンター」など自治体によって異なります。
図2窓口に行く前の持ち物チェック
特に忘れやすいのが主治医の情報です。市区町村がこの主治医に「主治医意見書」の作成を依頼するため、申請書に記入が必要になります。かかりつけ医がいない場合は、窓口で相談すれば対応方法を案内してもらえます。
図3申請から認定までの流れ
結果を待たずにサービスを使うこともできます
認定の効力は申請日にさかのぼって発生します。そのため、急ぎの場合は「暫定ケアプラン」を作成して、結果が出る前からサービスを利用することが可能です。ただし、想定より軽い区分になった場合は超過分が自己負担となるため、必ずケアマネジャーと相談しながら進めてください。
認定調査では、心身の状況に関する74項目の基本調査と、数値化しきれない事情を書き留める特記事項の聞き取りが行われます。麻痺や関節の動き、寝返りや歩行、食事や排せつ、金銭管理、そして認知機能や行動面まで、生活全般が対象です。
調査当日、ご本人は普段より「できる」と答えてしまいがちです。他人の前ではしっかりされる方も多く、実態より軽く判定されてしまうことは珍しくありません。可能な限りご家族が立ち会い、日常の様子を補足してください。
調査は限られた時間で行われます。次のような点を、具体的なエピソードとともにメモしておくと確実に伝わります。
図4調査の前に書き出しておきたい「困りごとメモ」
※具体的なエピソードを添えると確実に伝わります。ご本人の前では言いにくい内容は、メモを調査員に渡す、別室で伝えるといった方法があります。
ご本人の前では言いにくい内容は、メモを調査員に渡す、別室で伝えるなどの方法があります。調査員に率直に相談して構いません。
認定が出たあと、住まいをどうするかで迷ったら
要介護認定の結果を踏まえて、在宅で続けるのか、施設を考えるのか。「住まいる」の相談員が、ご本人とご家族の状況を伺いながら何度でも無料で一緒に考えます。
※表は横にスクロールできます
| 区分 | 心身の状態の目安 |
|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自分でできるが、掃除など一部に見守りや手助けが必要。介護予防が中心。 |
| 要支援2 | 立ち上がりや歩行が不安定で、身の回りのことに部分的な支援が必要。 |
| 要介護1 | 立ち上がり・歩行が不安定で、排せつや入浴に一部介助が必要。認知機能の低下がみられることも。 |
| 要介護2 | 歩行や起き上がりが自力では困難。排せつ・入浴に介助が必要。 |
| 要介護3 | 立ち上がりや歩行が自力ではできない。排せつ・入浴・着替えに全面的な介助が必要。 |
| 要介護4 | 日常生活全般に全面的な介助が必要。意思疎通が難しい場合もある。 |
| 要介護5 | ほぼ寝たきりで、生活全般に常時の介護が必要。意思疎通が困難なことが多い。 |
※あくまで一般的な目安です。実際の判定は認定調査と主治医意見書にもとづき、介護認定審査会が行います。
※区分ごとに、介護保険で利用できる1か月あたりの上限額(区分支給限度基準額)が定められています。上限を超えた分は全額自己負担となります。
認定区分によって、次の相談先が変わります。
図5認定区分によって、次の相談先が変わります
要支援1・2 だったら
地域包括支援センターで、介護予防ケアプランを作成してもらいます。
要介護1〜5 だったら
居宅介護支援事業所のケアマネジャーと契約し、ケアプランを作成してもらいます。ケアプランの作成費用に自己負担はありません。
ケアマネジャーは、その後の介護生活で最も長く付き合うパートナーになります。市区町村から事業所の一覧をもらえますので、相性が合わないと感じたら変更できることも覚えておいてください。
要介護認定には有効期間があり、期間満了前に更新申請が必要です。新規の認定は原則6か月(状態により3〜12か月の範囲で設定)、更新の場合はより長い期間が設定されることがあります。更新の案内は市区町村から届きますが、うっかり切らしてしまうとサービスが使えなくなるため、被保険者証の有効期限は必ず控えておきましょう。
「思ったより軽い区分だった」というときには、2つの方法があります。
図6納得できないときの2つの方法
区分変更申請
心身の状態が変化した場合、有効期間の途中でも改めて認定を申請できます。実務上はこちらを使うことが多く、ケアマネジャーに相談するのが近道です。
審査請求(不服申立て)
認定結果そのものに納得できない場合、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。結果を知った日の翌日から一定期間内という期限があるため、早めの相談が必要です。
要介護認定の申請、認定調査、主治医意見書の作成にかかる費用はすべて無料です。
できます。ただし、状態が安定していない時期に調査を受けると実態と異なる判定になることがあるため、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談し、タイミングを見計らうのが確実です。退院後の生活を組み立てるうえでも、MSWは頼りになる存在です。
よくあるご相談です。「介護認定」という言葉に抵抗を感じる方には、「使える制度があるか確認するだけ」「手すりを付けるのに必要な手続き」といった伝え方が受け入れられやすい傾向があります。かかりつけ医から勧めてもらうと、すんなり納得されることも少なくありません。
いいえ。認定を受けても、サービスを利用するかどうかは自由です。「いざというときすぐ使える状態にしておく」ために、早めに申請しておく方も多くいらっしゃいます。
この記事の監修者
東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。
出典・参考
※本記事の制度に関する記載は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。申請方法・必要書類・有効期間などの運用は市区町村によって異なる場合があります。実際のお手続きの際は、お住まいの市区町村の窓口または地域包括支援センターにご確認ください。
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