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特養(特別養護老人ホーム)は、介護が必要になった方が長く暮らせる公的な施設です。入居一時金はかからず、毎月の費用は自己負担1割で多床室なら月9〜10万円、ユニット型個室なら月13〜14万円ほど(要介護3・加算を除く)。さらに所得と預貯金が一定以下の方は食費と居住費が下がり、月4万円前後に収まることもあります。この記事では、令和8年6月改定の単位数※1と2026年8月改定の食費・居住費※2にもとづく料金表と、所得の段階ごとの目安、ケース別の計算例をご説明します。
この記事の要点
目次
結論から書きます。自己負担1割で負担限度額認定を受けていない場合、多床室で月9〜10万円、ユニット型個室で月13〜14万円ほどが目安です。要介護度による差より、部屋のタイプによる差のほうが大きくなります。
1か月の内訳(要介護3・多床室・自己負担1割の例)
合わせて月約95,760円。このほかに、理美容代などの日常生活費がかかります。
ご覧のとおり、金額の8割近くは食費と居住費です(この例では77%)。介護保険が効くのは施設サービス費の部分だけで、食費と居住費は実費になります。
ただし、所得と預貯金が一定以下の方は食費と居住費が大きく下がります(後述)。年金だけで暮らしておられる方の場合、多床室なら月4万円前後に収まることもあります。
特養の毎月の費用は、性格の違う4つを足したものです。
| 費目 | 決まり方 | 保険 |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 単位数 × 1単位の単価 × 自己負担割合(1〜3割) | 効きます(1か月の上限あり) |
| 居住費 | 施設との契約で決まる。部屋のタイプで違う | 効きません(軽減制度あり) |
| 食費 | 施設との契約で決まる | 効きません(軽減制度あり) |
| 日常生活費 | 理美容代や日用品など、使った分 | 効きません |
特養では、かからないお金
施設の配置医師による健康管理は施設のサービスに含まれますが、病院への受診や処方された薬の代金は、医療保険の自己負担として別にかかります。
負担限度額認定を受けていない方(第4段階)・自己負担1割の、1か月の目安です。施設サービス費は令和8年6月改定の単位数※1、食費と居住費は国が定めた基準費用額(2026年8月時点)※2で計算しています。
※表は横にスクロールできます
| 要介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型 個室的多床室 |
ユニット型個室 |
|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 約91,470円 | 約100,950円 | 約118,290円 | 約128,430円 |
| 要介護2 | 約93,570円 | 約103,050円 | 約120,390円 | 約130,530円 |
| 要介護3 | 約95,760円 | 約105,240円 | 約122,640円 | 約132,780円 |
| 要介護4 | 約97,860円 | 約107,340円 | 約124,770円 | 約134,910円 |
| 要介護5 | 約99,930円 | 約109,410円 | 約126,840円 | 約136,980円 |
※1単位10.00円・30日で計算した目安です。加算と日常生活費は含みません。
※特養は原則として要介護3以上の方が対象です。要介護1・2の方は、特例入所が認められた場合の金額です。
部屋のタイプによる差は、ほとんどが居住費の差です。1日あたりの居住費は、多床室915円・従来型個室1,231円・ユニット型個室的多床室1,728円・ユニット型個室2,066円(国の基準費用額)で、30日にすると多床室とユニット型個室で、居住費だけで月34,530円違います。
図1部屋のタイプで、1か月の費用はこれだけ違います
※要介護3・自己負担1割・1単位10.00円・30日・負担限度額認定なしの試算です。バーの長さは金額の比を表しています。新しく建てられた特養はユニット型が中心で、多床室の空きは限られる傾向があります。
| 要介護度 | 多床室 従来型個室 | ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 589単位 | 670単位 |
| 要介護2 | 659単位 | 740単位 |
| 要介護3 | 732単位 | 815単位 |
| 要介護4 | 802単位 | 886単位 |
| 要介護5 | 871単位 | 955単位 |
1単位10.00円・自己負担1割なら、単位数がそのまま1日の円になります(令和8年6月改定)※1。
地域の差と、加算について
特養の費用の8割近くは食費と居住費です。裏を返せば、ここが下がれば負担は大きく変わります。
世帯全員が住民税非課税で、預貯金等が一定以下の方は、市区町村に申請すると負担限度額認定を受けられます。認定されると、食費と居住費の1日あたりの上限が段階ごとに決まります(2026年8月時点)※2。
※表は横にスクロールできます
| 1日あたり(特養) | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | 認定なし (基準費用額) |
|---|---|---|---|---|---|
| 食費 | 300円 | 390円 | 680円 | 1,420円 | 1,545円 |
| 居住費(多床室) | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 | 915円 |
| 居住費(従来型個室) | 380円 | 480円 | 880円 | 980円 | 1,231円 |
| 居住費(ユニット型個室的多床室) | 550円 | 550円 | 1,370円 | 1,470円 | 1,728円 |
| 居住費(ユニット型個室) | 880円 | 880円 | 1,370円 | 1,470円 | 2,066円 |
段階の目安(預貯金等は単身の場合)
ご夫婦の場合、預貯金等の基準はそれぞれ1,000万円ずつ上がります。年金収入等には、遺族年金や障害年金などの非課税の年金も含まれます。
図2段階によって、1か月の費用はここまで下がります
※要介護3・多床室・自己負担1割・1単位10.00円・30日で、高額介護サービス費で払い戻したあとの金額です。加算と日常生活費は含みません。バーの長さは金額の比を表しています。
ユニット型個室の場合も、要介護3で第3段階①なら月約85,950円、第2段階なら月約53,100円です(認定なしは月約132,780円)。
この認定は申請しなければ受けられません。対象になるかどうかの確かめ方と申請の手順は、負担限度額認定とは|食費・居住費が下がる条件と申請方法にまとめています。
施設サービス費の自己負担には、所得に応じた1か月の上限があります。上限を超えた分は、申請すると高額介護サービス費として払い戻されます※5。
| 所得の区分 | 1か月の上限 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上の方がいる世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満の方がいる世帯 | 93,000円(世帯) |
| 住民税課税世帯(上記以外) | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 住民税非課税で、年金収入等が82.65万円以下の方など | 15,000円(個人) |
| 生活保護を受けている方など | 15,000円(個人) |
この上限の対象は施設サービス費だけで、居住費と食費は含まれません。自己負担1割の方は上限に届かないことも多いのですが、第2段階の方(上限15,000円)や、自己負担2割・3割の方には効いてきます。
たとえば要介護3・多床室の施設サービス費は、自己負担2割なら月約43,920円、3割なら月約65,880円です。課税所得380万円未満の課税世帯なら、上限の44,400円を超えた分が戻ります。負担割合の決まり方は介護保険の負担割合をご覧ください。
ご相談でよくうかがう3つのケースで、1か月の自己負担を計算します(自己負担1割・1単位10.00円・30日。加算と日常生活費は除きます)。
要介護4、年金収入は年80万円ほど、預貯金は300万円の方です。
| 費目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 802円 × 30日 = 24,060円。上限15,000円を超えた分は戻る | 15,000円 |
| 食費 | 390円 × 30日 | 11,700円 |
| 居住費 | 430円 × 30日 | 12,900円 |
| 合計 | 39,600円 |
月4万円弱で、年金(月6万7千円ほど)の範囲に収まる計算です。施設サービス費はいったん24,060円を支払い、上限を超えた9,060円があとから払い戻されます。
要介護3、年金収入は年110万円ほど、預貯金は500万円の方です。
| 費目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 815円 × 30日(上限24,600円の内側) | 24,450円 |
| 食費 | 680円 × 30日 | 20,400円 |
| 居住費 | 1,370円 × 30日 | 41,100円 |
| 合計 | 85,950円 |
認定がなければ月約132,780円なので、月4万7千円ほど下がります。
要介護3、自己負担1割で、負担限度額認定は受けられない方です。
| 費目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 732円 × 30日 | 21,960円 |
| 食費 | 1,545円 × 30日 | 46,350円 |
| 居住費 | 915円 × 30日 | 27,450円 |
| 合計 | 95,760円 |
ここに加算(月4,000〜7,000円前後)と日常生活費を足して、月10〜11万円ほどを見込んでおくと安心です。
「特養の順番を待つあいだ、費用の近い住まいはありますか」
特養は、申し込んでから入居まで時間がかかることがあります。相談員は、ご本人の年金と預貯金をうかがったうえで、無理のない費用で入れる住まいをお探しします。生活保護を受けておられる方のご相談もお受けしています。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
理美容代や日用品、趣味の材料費、電化製品を持ち込む場合の電気代などです。何にいくらかかるかは施設ごとに違い、重要事項説明書に書かれています。月に数千円から1万円ほどを見込んでおくと安心です。
入院している間も、月6日までは「外泊時費用」として1日246単位がかかります※1。自己負担1割なら1日246円ほどです。7日目以降は施設サービス費はかかりませんが、部屋を空けて待ってもらう間の居住費の扱いは施設によって違いますので、契約のときに確かめておくと安心です。
特養に支払った施設サービス費・居住費・食費の自己負担額の2分の1が、医療費控除の対象になります※6。日常生活費は対象外です。対象となる金額は、施設の領収書に書かれています。
たとえば認定なし・多床室・要介護3なら、1年間の支払いはおよそ115万円で、その半分の57万円ほどが控除の対象になります。高額介護サービス費で払い戻しを受けた場合は、その2分の1を差し引いて計算します。医療費控除は年末調整では受けられず、確定申告が必要です。
特養と、介護付き有料老人ホームを、費用の面で並べました。
※表は横にスクロールできます
| 項目 | 特養 | 介護付き有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 入居時の費用 | かからない | 0円から数千万円まで、プランによる |
| 月額の目安 | 約8〜15万円 | 約20〜40万円 |
| 介護の費用 | 要介護度と部屋のタイプで決まる定額(1〜3割) | 要介護度で決まる定額(1〜3割)。手厚い人員体制の上乗せ介護費がある場合も |
| 所得による軽減 | 負担限度額認定で食費と居住費が下がる | 食費と居住費は軽減の対象外 |
| 入居できる方 | 原則として要介護3以上 | 自立や要支援から入れるホームもある |
| 入居までの期間 | 地域によっては待機が長い | 空きがあれば、比較的早く入れる |
※月額の目安は老人ホームの費用相場と内訳の一覧表と同じ条件のものです。地域・施設・所得によって異なります。
費用を比べれば特養のほうが抑えやすい一方で、入居できる方の条件と、入居までにかかる時間には違いがあります。「特養の順番を待ちながら、民間のホームも候補に入れておく」という進め方をされる方も少なくありません。特養の条件と申し込みの流れは特養(特別養護老人ホーム)の入居条件で、年金の範囲で入れる住まいの探し方は年金だけで入れる老人ホームでご説明しています。
自己負担1割で負担限度額認定を受けていない場合、多床室で月9〜10万円、ユニット型個室で月13〜14万円ほどが目安です(要介護3・加算と日常生活費を除く)。内訳は施設サービス費(介護保険の自己負担)、居住費、食費で、金額の8割近くを食費と居住費が占めます。所得と預貯金が一定以下の方は、負担限度額認定で食費と居住費が下がります。
入れることが多いです。世帯全員が住民税非課税で、年金収入等が82.65万円以下、預貯金等が650万円以下(単身の場合)の方は負担限度額認定の第2段階にあたり、多床室なら施設サービス費・食費・居住費を合わせて月4万円前後になります(高額介護サービス費で払い戻したあとの額)。ユニット型個室でも月5万円台です。日常生活費は別にかかります。年金だけでは足りないときは、多床室を選ぶ、負担限度額認定と高額介護サービス費をそろえて申請する、という順で見直します。
かかりません。特養には有料老人ホームのような入居一時金(前払金)はなく、毎月の費用だけです。申し込みにも費用はかかりません。
負担限度額認定を受けていない場合、月3万7千円ほど違います(要介護3・自己負担1割)。差の大半は居住費で、1日あたり多床室915円、ユニット型個室2,066円(国の基準費用額)です。施設サービス費も、ユニット型のほうが1日80単位ほど高くなります。
かかりません。特養では、おむつに関わる費用は施設サービス費に含まれていて、おむつ代やおむつカバー代、その洗濯代を別に受け取ることはできないと国が定めています。理美容代や日用品などの日常生活費は、別にかかります。
施設サービス費、居住費、食費の自己負担額の2分の1が対象になります。日常生活費は対象外です。対象となる金額は施設の領収書に記載されています。医療費控除は年末調整では受けられないため、確定申告が必要です。
入れます。生活保護を受けている方は負担限度額認定の第1段階にあたり、食費と居住費の上限がもっとも低く設定されています。介護保険の自己負担は介護扶助でまかなわれます。費用の扱いは、お住まいの地域の福祉事務所の担当者(ケースワーカー)とご相談のうえで決まります。
特養の費用は、自己負担1割・認定なしで多床室なら月9〜10万円、ユニット型個室なら月13〜14万円ほどです。入居一時金はかからず、おむつ代も施設サービス費に含まれています。
金額の8割近くは食費と居住費なので、負担限度額認定を受けられるかどうかで負担がまるで変わります。年金だけで暮らしておられる方でも、段階によっては月4万円前後に収まります。申請しなければ受けられない制度なので、入居を考えはじめたら、先に確かめておかれることをおすすめします。
そして特養は、申し込んでから入居まで時間がかかることもあります。私たちは、特養の順番を待ちながら、ほかの住まいも並べて考えたいというご相談を多くいただいています。どうするか決まっていない段階で構いません。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事の金額は、令和8年6月改定の単位数と、2026年8月時点の食費・居住費の基準費用額と負担限度額をもとに、1単位10.00円・自己負担1割・30日で試算した目安です。加算と日常生活費は含めていません。食費と居住費は施設との契約で決まるため、記載の額と異なることがあります。実際のご負担は、入居を検討している施設の重要事項説明書でご確認ください。
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