COLUMN

介護と住まいのコラム

施設の選び方 2026.08.14

介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違い|どちらを選ぶべきか

「介護付」と「住宅型」。パンフレットを並べても、この2つの違いはなかなか分かりません。しかし両者は、名前が似ているだけで介護サービスの提供の仕組みが根本的に違います。そしてその違いは、入居後の費用に数万円単位で効いてきます。この記事では、選び間違えないための考え方を整理します。

この記事の要点

  • 違いは「介護サービスを誰が提供するか」の一点です。介護付はホームの職員、住宅型は外部の事業者
  • そのため介護費は、介護付が要介護度ごとの定額、住宅型が使った分だけの従量制になります。
  • 「住宅型のほうが安い」は介護度が軽いうちだけ成り立ちます。住宅型は限度額を超えると負担が急に重くなります。
  • 「介護付」と表示できるのは、特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけです。名称ではなく指定の有無で判断してください。

決定的な違いは「介護サービスを誰が提供するか」

結論から言うと、違いはここに尽きます。

図1介護サービスを、誰が提供するか

介護付有料老人ホーム

そのホームの職員が介護を提供します。

  • 介護費は要介護度ごとの定額
  • 職員が常駐し、夜間も含めて対応
  • 都道府県などから「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたホームだけが名乗れます

住宅型有料老人ホーム

外部の事業者と個別に契約して介護を受けます。

  • 介護費は使った分だけの従量制
  • 夜間の体制は施設によって差が大きい
  • 食事・生活支援・見守りはホームが提供します

※この一点の違いから、費用の見通しやすさも、夜間の対応力も、重度化したときの安心感も変わります。建物や食事の見た目で比べる前に、この仕組みの違いを押さえてください。

この一点の違いから、費用の見通しやすさも、夜間の対応力も、重度化したときの安心感も変わってきます。建物や食事の見た目で比べる前に、この仕組みの違いを押さえてください。

介護付有料老人ホームの仕組み

介護付有料老人ホームは、都道府県などから「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたホームです。この指定を受けていなければ、「介護付」と表示することはできません。

介護費が定額になる

介護保険の自己負担は、要介護度に応じた定額です。介護量が増えても、要介護度が変わらない限り介護費は上がりません。費用の見通しが立てやすいことが最大の利点です。

24時間の介護体制

ホームの職員が常駐し、夜間も含めて対応します。人員配置には基準が定められており、それより手厚い体制を敷いているホームもあります。「3対1」「2.5対1」といった表記は、入居者何人に対して介護・看護職員が何人配置されているかを表しています(数字が小さいほど手厚い体制です)。

注意点

介護をあまり使わない自立に近い方の場合、使わなくても定額を払うことになるため、割高に感じられることがあります。

住宅型有料老人ホームの仕組み

住宅型有料老人ホームは、食事や生活支援、見守りをホームが提供し、介護が必要になったら外部の訪問介護やデイサービスを個別に契約して利用するタイプです。

介護費は使った分だけ

介護度が軽いうちは、必要なサービスだけを選んで使えるため費用を抑えられます。使わない介護に払う必要はありません。

区分支給限度額という上限がある

介護保険には要介護度ごとの1か月の利用限度額(区分支給限度基準額)が定められています。この範囲内なら自己負担は1〜3割ですが、超えた分は全額自己負担になります。

ここが住宅型の要注意ポイントです。介護量が増えて限度額を超えると、月々の負担が急に重くなることがあります。

夜間の対応は施設により差が大きい

夜勤者を置いているホームもあれば、緊急通報システムのみのホームもあります。「夜間はどういう体制ですか」を必ず確認してください。

【比較表】2つの違いを一覧で

※表は横にスクロールできます

介護付有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム
介護を提供する人 ホームの職員 外部の事業者(訪問介護など)
介護費の計算 要介護度別の定額 使った分だけの従量制
費用の見通し 立てやすい 介護量で変動する
介護が軽いとき 割高になりやすい 抑えられる
介護が重くなったとき 費用は大きく変わらない 限度額超過で負担増の可能性
ケアプランを作る人 ホームのケアマネジャー 外部の居宅介護支援事業所
夜間の体制 職員が常駐 ホームにより差が大きい
サービスの選択 ホームが提供するものを利用 事業者を選べる(実際は併設が多い)

費用はどこで逆転するのか

ご相談の中で最も多い誤解が、「住宅型のほうが安い」というものです。これは介護度が軽いうちだけ成り立ちます。

関係を単純化すると、次のようになります。

図2関係を単純化すると

  1. 要介護1〜2程度 住宅型のほうが総額を抑えられることが多い
  2. 要介護3〜4あたり 逆転が起こりうる 利用するサービス量によって変わります
  3. 要介護4〜5 介護付のほうが総額で安定しやすい

※あくまで傾向で、金額の目安ではありません。どこで逆転するかは、実際に使うサービスの量と内容によって変わります。入居前に「要介護度が上がったときの費用シミュレーション」を必ず出してもらってください。

どこで逆転するかは、実際に使うサービスの量と内容によって変わります。だからこそ、入居前に「要介護度が上がったときの費用シミュレーション」を必ず出してもらってください。

住宅型を検討するなら、この一言を

要介護5になった場合、月々の総額はいくらになりますか」——これを聞くだけで、そのホームの誠実さも分かります。きちんと試算を出してくれるホームは信頼できます。逆に「人によります」で終わる場合は、慎重に考えたほうがよいでしょう。

どちらが向いているか、一緒に整理します

今の要介護度、将来の見通し、ご予算。この3つを伺えば、どちらのタイプが合うかはかなり絞り込めます。「住まいる」の相談員が何度でも無料でご相談を承ります。

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どちらを選ぶべきか|4つの判断軸

図34つの判断軸

※表は横にスクロールできます

判断軸 介護付が向いているのは 住宅型も選択肢になるのは
① 今の要介護度と、その先の見通し すでに要介護3以上、または進行性の病気で重度化が見込まれる 自立〜要介護2程度で、しばらく状態が安定しそう
② 費用の変動に耐えられるか 年金と資産に余裕がなく、月々の支出をきっちり見通したい 想定外に費用が膨らんでも対応できる余力がある
③ 夜間の不安があるか 夜間の見守りや対応が必要(職員が常駐します) 夜間体制を個別に確認したうえで判断する
④ 使い慣れたサービスを続けたいか 長く付き合ったケアマネジャーや訪問介護事業者を継続したい

※④について、実際には併設事業所の利用が前提になっているホームも多いため、事前の確認が必要です。それぞれの詳しい考え方は、この下で順にご説明します。

① 今の要介護度と、その先の見通し

すでに要介護3以上、あるいは進行性の病気で重度化が見込まれるなら、介護付が有力です。自立〜要介護2程度で、しばらく状態が安定しそうなら住宅型も選択肢になります。

② 費用の変動に耐えられるか

年金と資産に余裕がなく、月々の支出をきっちり見通したい場合は介護付が安心です。住宅型は、想定外に費用が膨らんだときに立ち行かなくなるリスクがあります。

③ 夜間の不安があるか

夜間の見守りや対応が必要なら、職員が常駐する介護付が基本です。住宅型を選ぶ場合は、夜間体制を個別に確認してください。

④ 使い慣れたサービスを続けたいか

長く付き合ってきたケアマネジャーや訪問介護事業者を継続したい場合、住宅型ならそれが可能なことがあります。ただし実際には併設事業所の利用が前提になっているホームも多いため、事前に確認が必要です。

見学で確認する質問

図4見学のときに、そのまま読み上げられる6つの質問

  • こちらは介護付ですか、住宅型ですか 介護付の場合は「特定施設の指定はいつ受けられましたか」まで
  • 人員配置は何対何ですか。夜勤帯は入居者何名に何名ですか 介護付への質問
  • 介護サービスは、どの事業者を利用することになりますか。外部の事業者を自分で選べますか 住宅型への質問
  • 夜間はどういう体制ですか。職員は常駐していますか 住宅型への質問
  • 要介護3の方が実際に支払っている月額の総額はいくらですか。要介護5の場合もお願いします
  • どういう状態になったら退去をお願いすることになりますか

見学時の総合的な確認項目は老人ホーム見学のチェックリストにまとめています。

知っておきたい注意点

「介護付」と名乗れるのは指定を受けた施設だけ

特定施設入居者生活介護の指定を受けていないホームが「介護付」と表示することは認められていません。「介護が付いている」という一般的な意味で使われた言葉と混同しないよう、指定の有無を直接確認してください。

住宅型では、サービスの使い方に注意

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、併設の事業者からサービスを受ける形が一般的です。それ自体は効率的な仕組みですが、必要以上のサービスが組まれていないかは確認する価値があります。ケアプランの内容に納得できない場合は、ケアマネジャーに説明を求めてください。

サービス付き高齢者向け住宅との関係

サ高住も、特定施設の指定を受けた「介護型」と、外部サービスを利用する「一般型」に分かれます。仕組みとしては、介護付/住宅型と同じ対比構造です。名称ではなく、指定の有無で判断してください。施設種別の全体像は老人ホームの種類と違いを一覧で解説をご覧ください。

まとめ

介護付と住宅型の違いは、介護費が「定額」か「従量制」か。ここさえ押さえれば、判断は難しくありません。

そして選ぶ基準は、今の状態ではなく2年後の状態です。介護は重度化していくことが多く、入居後に住み替えが必要になればご本人の負担は非常に大きくなります。「今は住宅型で足りるが、重くなったらどうなるか」——この問いに施設が明確に答えられるかどうかが、決め手になります。

迷われたときは、状態とご予算を伺ったうえで一緒に整理します。どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。

出典・参考

※本記事の制度・費用に関する記載は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。介護報酬や区分支給限度基準額は改定により変わります。実際の費用は各施設の重要事項説明書および見積書でご確認ください。

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