「認知症と診断されたので、グループホームをすすめられました」。ケアマネジャーや病院からそうご案内を受けて、お調べになる方が多い住まいです。グループホームは、認知症のある方が9人以下の少人数で、職員と一緒に暮らすところ。ふつうの家に近い生活を続けられるのが最大の特徴です。一方で、お住まいの市区町村にしか申し込めないという、他の施設にはない条件があります。この記事では、暮らしの実際、費用、そして入居前に確かめておきたいことをご説明します。
この記事の要点
グループホームの正式な名前は「認知症対応型共同生活介護」です。介護保険の地域密着型サービスのひとつで、認知症のある方が少人数で共同生活を送るための住まいにあたります。
図1グループホームの3つの特徴
9人以下で暮らす
1つの単位(ユニット)は5〜9人と定められています。1つの建物に置けるのは原則2ユニットまでで、大きな施設にはなりません。顔ぶれが変わらないため、なじみの関係が保たれます。
職員と一緒に家事をする
食事の下ごしらえ、洗濯物たたみ、買い物。できることを一緒に続けるのが基本の考え方です。「してもらう」のではなく「一緒にする」ところが、他の施設と大きく違います。
住宅街の中にある
一戸建てを改装した建物や、小さな共同住宅が多く、外から見ると住宅と見分けがつかないこともあります。地域とのつながりを保ちやすい造りです。
居室は個室で、リビングと台所、浴室は共用です。この「共用の場で顔を合わせる時間が長い」という造りが、認知症の方の穏やかさにつながることが多いとされています。
グループホームには、他の施設にはない条件があります。順にご説明します。
3つの条件
3つ目が、実務ではいちばん引っかかりやすい条件です。地域密着型サービスはその市区町村にお住まいの方のためのものという位置づけのため、原則として区市をまたいだ申し込みができません。
遠方のご家族が呼び寄せたいとき
「実家の母を、こちらの区のグループホームに」というご希望は、そのままでは通らないことがほとんどです。この場合、先に住民票を移してから申し込むという順番になります。転居してすぐの申し込みは、自治体によって扱いが分かれますので、事前にお住まいの区市の介護保険担当課へお尋ねになるのが確実です。私たちにご相談いただければ、進め方も含めてご案内します。
実際の過ごし方は、施設によってかなり違います。ひとつの例をご紹介します。
図2ある日のすごし方(例)
大切なのは、ご本人がその場になじめそうかどうかです。にぎやかな場が苦手な方には、共用の時間が長いことが負担になることもあります。見学のときは、リビングで過ごしている方々の様子をしばらくご覧になってみてください。
図3グループホームでかかるお金
入居のときに
0円から数十万円と幅があります。敷金や保証金という名目が多く、有料老人ホームのような数百万円規模の一時金はほとんどありません。
毎月かかるもの
家賃、食費、光熱水費、そして介護サービス費のご負担分。首都圏では合計月12万〜18万円ほどが目安です。
別にかかるもの
おむつ代、医療費、理美容代など。おむつ代が施設負担にならない点は、特別養護老人ホームとの違いのひとつです。
介護サービス費のご負担分は、要介護度に応じた定額です。使った量では変わりません。ご負担が高くなったときに戻る高額介護サービス費は、グループホームでも対象になります。
費用の面で、ひとつご注意いただきたいこと
特別養護老人ホームや老健では、所得に応じて食費・居住費が軽くなる負担限度額認定証という仕組みが使えます。グループホームは、この仕組みの対象外です。年金だけで賄えるかどうかを見るときは、この点を含めてお考えいただくと安心です。年金だけで入れる老人ホームはある?もあわせてご覧ください。
図4認知症の方の住まいとして比べると
グループホーム
9人以下の少人数で、家事を一緒にしながら暮らします。認知症のケアに特化しており、なじみの関係が保たれます。一方で、医療体制や重度化への対応は施設ごとに差があります。
介護付有料老人ホーム
規模が大きく、看護職員の配置や設備が整っていることが多い形です。認知症の方専用のフロアを設けている施設もあります。費用は高めになる傾向があります。
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上が対象で、費用は抑えられますが順番を待つことになります。グループホームは要支援2から入居でき、比較的早く入れることが多いため、認知症が軽いうちからの住まいとして選ばれることがよくあります。
症状の段階ごとにどの施設が候補になるかは、認知症でも入れる老人ホームの選び方で整理しています。種類全体の比較は老人ホームの種類と違いを一覧で解説をご覧ください。
申し込みは、施設へ直接行います。特別養護老人ホームのように自治体がとりまとめる方式ではありません。
申し込みから入居まで
1つの施設あたり最大18人と小規模なため、空きが出る回数そのものが少ないのが実情です。複数の施設に申し込んでおかれる方が多くいらっしゃいます。
お住まいの区市に、どんなグループホームがあるか
グループホームは数が限られ、空きの出方も読みにくい住まいです。相談員は、地域のグループホームがどの状態の方まで受け入れているか、いま空きがあるかを日ごろから把握しています。「住民票を移すところから」というご相談も含めて、進め方をご案内します。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
図5見学でうかがいたい6つ
見学全般で見ておきたい点は、老人ホーム見学のチェックリストにまとめています。
入居には医師の診断が必要です。かかりつけ医にご相談いただくか、もの忘れ外来を受診する形になります。どこにかかればよいか分からない場合は、地域包括支援センターで紹介を受けられます。
要介護5でも住み続けている方はいらっしゃいます。ただし、寝たきりに近い状態になると、少人数の職員配置では支えきれず住み替えとなる場合があります。施設ごとに考え方が大きく分かれるところですので、入居前の確認が効いてきます。
一定期間は家賃を払って部屋を確保できるのが一般的ですが、期間は施設によって異なります。「3か月まで」「入院が長引く場合は退居のご相談」など、契約書に書かれていますので、退去要件とあわせて確かめておかれると安心です。
短期のご利用を受け入れている施設があります。共同生活が合うかどうかは実際に過ごしてみないと分かりにくいので、可能であればお試しになることをおすすめします。
住民票を移していただければ可能です。ただし、環境が大きく変わることが認知症の方の負担になる場合もあります。移すことの利点と負担を、両方お考えいただけるとよいと思います。
グループホームは、認知症のある方が9人以下で、職員と一緒に家事をしながら暮らす住まいです。なじみの関係が続き、生活の力を保ちやすいのが大きな特徴です。
気をつけたいのは、お住まいの市区町村にしか申し込めないこと、そして重度化したときの対応が施設ごとに違うことの2点です。この2つを先に確かめておけば、あとから慌てずに済みます。
数が限られ、空きの出方も読みにくい住まいですので、お考えの段階でお声がけいただければ、地域の状況からご案内します。
この記事の監修者
東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。入居の要件、重度化したときの対応、費用は施設および市区町村によって異なります。掲載の費用はあくまで首都圏の目安であり、金額をお約束するものではありません。実際のご検討にあたっては、各施設の重要事項説明書と、お住まいの市区町村の介護保険担当課にご確認ください。
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