COLUMN

介護と住まいのコラム

施設の選び方 2026.08.26 2026.09.08

老健(介護老人保健施設)とは|費用・入所条件・リハビリと、「3か月で退所」は本当か

退院を控えたご家族から、「老健をすすめられたのですが、3か月で退所しなければならないと聞きました」というご相談をよくいただきます。老健は、病院と自宅の間をつなぐ施設です。医師が常勤し、リハビリの体制が整っている一方で、長く住み続ける場所としては設計されていません。この記事では、老健の役割と費用、よく言われる3か月という区切りの実際、そして老健にいる間にしておきたいことを、順にご説明します。

病院から自宅へ、職員に付き添われて杖で歩くお父様のイラスト

この記事の要点

  • 老健は在宅へ戻ることを目指す施設です。医師が常勤し、理学療法士などのリハビリ職が配置されている点が、特養や有料老人ホームとの大きな違いです。
  • 「3か月で必ず退所しなければならない」わけではありません。おおむね3か月ごとに継続の要否を判定する仕組みで、状態によっては延長されます。ただし、終のすみかとして想定されてはいません。
  • 費用は月8万〜17万円ほどが目安です。介護保険の施設のため、所得に応じて食費・居住費が軽くなる仕組みが使えます。
  • 老健にいる期間は、次の住まいを探すための貴重な時間にあたります。入所した時点から動きはじめると、退所の時期に慌てずに済みます。

老健は「帰るための施設」|リハビリで在宅復帰を目指す

介護老人保健施設(略して老健)は、介護保険法にもとづく公的な施設です。役割は、病院での治療を終えた方が、自宅へ戻れる状態まで力を取り戻すこと。そのため、暮らしの支援だけでなく、医療とリハビリが組み込まれています。

図1老健にそろっているもの

  • 医師が常勤している

    日中は施設内に医師がいます。持病の管理や、体調が変わったときの判断をその場で受けられるのは、有料老人ホームにはない特徴です。

  • リハビリの専門職がいる

    理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかが配置されています。入所直後の3か月は、リハビリが手厚く受けられる期間にあたります。

  • 看護職員が手厚い

    特養と比べて看護職員の配置が厚く、医療的な管理を受けやすい体制です。夜間の体制は施設によって異なります。

入所できるのは原則として要介護1以上の方で、病状が安定していることが条件です。要支援の方や、入院での治療が必要な方は対象になりません。

「3か月で退所しなければならない」は本当か

ご相談で最も多いご心配がこれです。結論から申し上げると、3か月で自動的に退所となる決まりはありません。実際には、次のような仕組みで動いています。

図2入所が続くかどうかは、判定会議で決まります

  1. 入所時 在宅へ戻るための計画を立てる リハビリの目標と、退所の見通しを含む計画がつくられます。
  2. おおむね3か月ごと 入所を続けるかどうかの判定 医師・看護・リハビリ・介護の職員が集まり、ご本人の状態と自宅の状況を見て話し合います。
  3. 判定の結果 延長・退所のいずれか リハビリを続ける必要があると判断されれば、そのまま入所が続きます。目標に達した場合や、在宅での受け入れが整った場合は退所となります。

つまり「3か月」は退所の期限ではなく、見直しの間隔です。実際に半年、1年と過ごされる方もいらっしゃいます。

それでも、長期の住まいとしては考えにくい理由

制度上は延長できても、老健はあくまで在宅復帰を目指す施設です。近年は在宅へ戻った実績が施設の評価に結びつく仕組みになっており、施設としても在宅復帰に力を入れています。そのため、目標に達した時点で退所をご相談される流れは自然に生じます。「いつまで」ではなく「次にどこへ」を早めに考えておくのが、この施設との付き合い方になります。

病院の前で、車いすのお父様を職員が押し、娘さんが付き添っているイラスト
老健は、退院のあと自宅に戻るまでのリハビリの場です

特養・病院・有料老人ホームとの違い

図3老健と、特養・病院・有料老人ホームの違い

  • 老健

    医師が常勤し、リハビリ職がいます。役割は在宅復帰で、入所の継続はおおむね3か月ごとに判定されます。費用は比較的抑えられます。

  • 特別養護老人ホーム

    終身にわたるお住まいです。原則として要介護3以上が対象で、入所は必要性の高い順に決まります。医師は非常勤が一般的です。

  • 病院

    治療の場です。病状が落ち着くと退院となります。老健は病状が安定した方が対象で、積極的な治療は行いません。

  • 有料老人ホーム

    長く住むことを前提とした生活の場です。期間の区切りはありませんが、医療とリハビリの厚みは施設ごとに差があります。

4つを分ける軸は、治療の場か生活の場かと、期間に区切りがあるかの2つです。老健は生活の場でありながら期間の区切りがある点で、ほかの3つと性格が異なります。

種類ごとの条件や費用を並べて比べたい場合は、老人ホーム・高齢者向け住宅の種類と違いをご覧ください。特養については特養(特別養護老人ホーム)とはにまとめています。

費用シミュレーション|かんたん1分・無料

払える月額から、逆算してみませんか

費用を試算してみる

費用の目安と、軽くする仕組み

老健は介護保険の施設のため、有料老人ホームより費用を抑えやすいのが特徴です。入居一時金はありません。

図4老健で毎月かかるもの

  • 施設サービス費

    要介護度と施設の体制に応じて決まります。ご負担は1〜3割です。割合の決まり方は所得によります。

  • 居住費と食費

    お部屋のタイプ(多床室・従来型個室・ユニット型)で変わります。所得が低い方は、申請により軽くなります。

  • その他

    日用品費や理美容代は自己負担です。一方、お薬や医療の費用、おむつ代は施設の負担に含まれます。この点が有料老人ホームと大きく異なります。

施設サービス費の自己負担は所得によって1割から3割まで分かれます(介護保険の負担割合)。合計の目安は月8万〜17万円ほどです。多床室で所得の低い方であれば下限に近く、ユニット型の個室であれば上限側になります。

費用が負担になる場合は、負担限度額認定という仕組みがあります。所得と預貯金の状況が要件を満たせば、食費と居住費が軽くなります。お住まいの市区町村の窓口で申請できますので、入所が決まった段階でお尋ねになるとよいと思います。介護保険の自己負担が高くなったときに戻る高額介護サービス費もあわせてご確認ください。

入所の申し込み方法

書類とペンと電卓のイメージ

申し込みは、施設へ直接行います。特養のように自治体がとりまとめる方式ではありません。

申し込みの流れ

  • 入院中の場合:病院の医療ソーシャルワーカーが候補を挙げ、手続きを進めてくれることがほとんどです。まずは相談してみてください。
  • 在宅の場合:ご担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターが入口になります。
  • 提出するもの:申込書、介護保険証、主治医の診療情報提供書などです。施設の相談員が状態を確認し、受け入れの可否が決まります。

入院からそのまま老健へ移る場合の進め方は、入院中に退院を迫られたらで詳しくご説明しています。

入所前に確かめておきたいこと

図5申し込みの前に聞いておきたい5つ

  • いま服用しているお薬は続けられますか 最も見落とされやすい点です。老健では薬代が施設の負担になるため、高額なお薬を使っている方は受け入れが難しい場合があります。お薬手帳を持参してご相談ください。
  • かかりつけ医への通院は続けられますか 老健では施設の医師が診るのが基本です。外部の医療機関の受診には制限があり、専門的な治療が必要な場合は事前の確認が要ります。
  • リハビリは週に何回、何分ですか 施設によって差があります。個別のリハビリか、集団での体操が中心かまで聞いておくと、実際の姿が見えます。
  • お部屋は多床室ですか、個室ですか 費用が大きく変わります。多床室しか空きがない場合、個室へ移れる見込みもあわせてうかがっておきます。
  • 退所のご相談は、どのくらい前にありますか 次の住まいを探す時間を確保するために、ぜひ確かめておきたい点です。「1か月前」なのか「2〜3か月前」なのかで、動き方が変わります。

老健にいる間に、次の住まいを一緒に探せます

「退所を相談されたけれど、次が決まっていない」というご相談は、決して珍しくありません。相談員は、入所中の面会にあわせて見学の段取りを組むこともできます。老健にいらっしゃる間が、いちばん落ち着いて探せる時期です。ご相談は何度でも無料です。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

無料でご相談する

老健にいる間にしておきたいこと

リハビリの計画書と聴診器のイメージ

老健で過ごす期間は、次の一手を落ち着いて準備できる時間でもあります。私たちがご案内しているのは、次の3つです。

図6入所中に進めておくと、退所のときに慌てません

  1. 入所してすぐ 自宅へ戻れそうかを見極める 段差や手すり、ご家族の介護時間。リハビリの目標とあわせて、施設の相談員と話しておきます。
  2. 1〜2か月目 特養の申し込みを済ませておく 特養は入所まで時間がかかります。候補になりそうなら、待つ間も申し込んでおけるため、早めに動くほど選択肢が残ります。
  3. 2〜3か月目 民間施設も並べて見ておく 在宅が難しく、特養も間に合わない場合の受け皿です。面会に合わせて見学を組むと、負担が少なく進みます。

費用の見通しを先に立てておくと、候補を絞りやすくなります。費用シミュレーションでおおよその金額を確かめられます。ご自宅での介護を続けるかどうか迷われている場合は、親の介護が突然始まったらもあわせてご覧ください。

介護のやることリスト|8つの段階

入居までの流れと、次にすることが分かります

やることを見る

民間施設を並べて見ておく段階では、老人ホームの紹介会社を使う手もあります。退所の時期と予算を先に伝えておけば、その条件で受け入れているホームだけを探してもらえるので、面会の合間でも進められます。「住まいる」では費用をいただいていません(紹介会社の選び方)。

よくあるご質問

老健の1か月の費用はいくらですか

合計の目安は月8万〜17万円ほどで、入居一時金はありません。多床室で所得の低い方であれば下限に近く、ユニット型の個室であれば上限側になります。内訳は施設サービス費(ご負担は所得に応じて1〜3割)、居住費、食費、日用品費などです。お薬や医療の費用、おむつ代は施設の負担に含まれるため、有料老人ホームとはこの点が異なります。所得と預貯金が要件を満たせば、負担限度額認定で食費と居住費が軽くなります。

老健はどんな人が入れますか

病院での治療を終えて、自宅へ戻れる状態まで力を取り戻したい方が対象です。医師が常勤し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかが配置されているため、リハビリと医療的な管理を受けながら過ごせます。看護職員の配置も特養より厚く、持病のある方でも体制を確保しやすい施設です。一方で、長く住み続ける場所としては設計されていません。

老健に入れる条件は何ですか

原則として要介護1以上であることと、病状が安定していることの2つです。要支援の方や、入院での治療が必要な方は対象になりません。申し込みは施設へ直接行います。特養のように自治体がとりまとめる方式ではありません。入院中であれば病院の医療ソーシャルワーカーが、ご自宅からであればケアマネジャーか地域包括支援センターが入口になります。提出するのは申込書、介護保険証、主治医の診療情報提供書などです。

特養と老健の違いは何ですか

目的が違います。老健は自宅へ戻るための施設で、リハビリと医療が組み込まれており、入所の継続はおおむね3か月ごとに判定されます。特養は終身にわたるお住まいで、期間の区切りはありません。入所の条件も異なり、老健は原則として要介護1以上、特養は原則として要介護3以上です。申し込み先も、老健は施設へ直接、特養は自治体がとりまとめます。医師は、老健が常勤、特養は非常勤が一般的です。

要介護1でも入れますか

入れます。老健の対象は要介護1以上です。ただし、実際にはリハビリの必要性が高い方が優先される傾向があり、施設によって受け入れの状況は異なります。

認知症があっても入所できますか

受け入れている老健は多くあります。ただし、夜間に落ち着かない、外に出て戻れないといった症状がある場合は、対応できる施設が限られてきます。認知症でも入れる老人ホームの選び方で症状別に整理しています。

胃ろうやたんの吸引が必要ですが、入れますか

医師と看護職員が配置されているため、有料老人ホームよりも受け入れられる可能性は高くなります。ただし、夜間の看護体制によって対応の幅が変わりますので、個別の確認が必要です。医療的ケアが必要でも入れる老人ホームもご覧ください。

いったん退所して、また入所できますか

できます。ご自宅での生活が難しくなったときに、再び入所される方もいらっしゃいます。ただし空きの状況によりますので、そのつどの申し込みとなります。

特養の空きを待つ間、老健にいることはできますか

そうした形で過ごされる方は実際に多くいらっしゃいます。ただ、老健の判定で退所となる時期と、特養の順番が回ってくる時期は必ずしも合いません。その間をつなぐ住まいを、あらかじめ考えておくと安心です。

老健の正式名称は何ですか

介護老人保健施設です。介護保険法にもとづく施設で、書類では正式名称、会話や現場では「老健(ろうけん)」と略して呼ばれます。同じものを指しています。

老健では、どんなリハビリを受けられますか

老健には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職の配置が義務づけられており、個別のリハビリと、集団での機能訓練が行われます。回数や1回あたりの時間は施設によって差がありますので、見学のときに「週に何回、1回何分か」「担当は誰か」を確かめておくと、入所後の見通しが立ちます。

まとめ

介護老人保健施設は、病院と自宅の間をつなぐ施設です。医師が常勤し、リハビリの体制が整っている一方で、長く住み続ける場所としては設計されていません。

「3か月で退所しなければならない」というのは正確ではなく、おおむね3か月ごとに継続の要否を判定する仕組みです。状態によっては延長されます。ただ、施設の役割が在宅復帰である以上、次の行き先は早めに考えておくほうが落ち着いて進められます。

老健にいらっしゃる間は、次の住まいを探すのに最も適した時期です。退所のご相談を受けてからでは時間が足りないことも多いので、入所が決まった時点でお声がけいただければ、並行してお探しします。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

  • 厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(省令)
  • 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(介護保健施設サービス費・在宅復帰在宅療養支援等指標)
  • 厚生労働省「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」
  • 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html)

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な説明です。入所の判定、リハビリの内容、夜間の体制、費用は施設ごとに異なります。掲載の費用はあくまで目安であり、金額をお約束するものではありません。実際のご検討にあたっては、各施設および市区町村の窓口にご確認ください。

ご相談無料

お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。

電話でのお問い合わせは

フリーダイヤル 0120-658-109

受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)

1分でカンタン!

無料相談フォーム

ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ

担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。

ページの先頭へ