COLUMN

介護と住まいのコラム

介護の基礎知識 2026.11.02

成年後見制度とは|費用・手続きと、家族は後見人になれるか

「親の認知症が進んで、銀行で手続きができなくなった」「老人ホームの入居の契約を、誰がすればよいのか」「施設から後見人を、と言われた」。こうした場面で出てくるのが成年後見制度です。この記事では、制度のしくみ、法定後見と任意後見の違い、家族は後見人になれるか、手続きと費用、デメリット、そして2026年6月に成立した法改正で変わることを、裁判所や国の資料をもとにまとめました。

担当者から書類の説明を受ける高齢の夫婦のイメージ

この記事の要点

  • 成年後見制度は、判断能力が不十分になった方のお金の管理や契約を、家庭裁判所が選んだ後見人などが支える制度です。
  • 判断能力が落ちてから使う法定後見(後見・保佐・補助)と、元気なうちに契約しておく任意後見があります。
  • 家族も後見人になれますが、選ぶのは家庭裁判所。2025年に親族が選ばれたのは16.4%で、司法書士がいちばん多くなっています。
  • 申立ての費用は収入印紙と切手で1万円ほど(東京家庭裁判所の場合)。専門職が後見人になると、報酬が毎年かかります。
  • いまの制度では原則として途中でやめられませんが、2026年6月に成立した改正法で、必要がなくなったら終えられる形に変わります(施行は2028年12月まで)。

成年後見制度とは|判断能力が不十分な方を、法律の面から支える制度

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった方が、財産の管理や契約で不利益を受けないよう、家庭裁判所が選んだ人(成年後見人など)が本人を支える制度です※1※2。本人に代わって預貯金を管理したり、介護サービスや施設の契約を結んだりします。

2025年12月末に制度を使っている方は259,901人で、2025年の1年間に43,159件の申立てがありました。開始のきっかけになった原因は、認知症が約61%を占めています※3。

どんなときに必要になる?

預金は本人の財産なので、銀行は本人の意思を確かめられないと、家族であっても払い出しに応じないのが原則です。判断能力が落ちた方には、成年後見制度の利用をすすめるのが一般的とされています※15。実際の申立てのきっかけ(動機)は、次のとおりです。

図1成年後見の申立ての主なきっかけ(2025年・複数回答)

預貯金などの管理・解約93.4%

身上保護(介護・生活の手配など)74.2%

介護保険の契約45.7%

不動産の処分36.3%

相続の手続き25.6%

保険金の受け取り17.8%

※最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)」の、終わった事件42,674件に対する割合です※3。棒の右端は100%です。

預貯金の管理や解約がほとんどの事件で挙がっていて、介護保険の契約や、自宅などの不動産の処分、相続の手続きも、きっかけになっています。

法定後見と任意後見の違い

成年後見制度には、判断能力が落ちてから使う「法定後見」と、元気なうちに契約しておく「任意後見」の2つがあります※1。

図2法定後見と任意後見の違い(2026年11月時点)

法定後見

  • 判断能力が落ちてから使う
  • 家族などが家庭裁判所に申し立てる
  • 支える人(後見人など)は家庭裁判所が選ぶ
  • 判断能力の程度で、後見・保佐・補助の3つ
  • 本人のした契約を取り消せる場合がある

任意後見

  • 判断能力があるうちに契約しておく
  • 公証役場で公正証書の契約を結ぶ
  • 支える人と頼む内容を本人が選べる
  • 判断能力が落ちたら、家庭裁判所が任意後見監督人を選んで始まる
  • 本人のした契約を取り消す権限はない

※民法と任意後見契約に関する法律、法務省・日本公証人連合会の資料によります※1※4※5※8。任意後見の始まり方は、2026年の改正法の施行後に変わります(9章)。

任意後見の契約は、すぐには効力が生じず、判断能力が落ちたときに家庭裁判所に申し立てて、任意後見監督人が選ばれてから始まります※5。元気なうちは別の契約でお金の管理などを頼んでおき、判断能力が落ちたら任意後見に切り替える形(移行型)が多く使われています※8。任意後見と、家族信託や銀行の代理人の届出などのほかの備えとの違いは、親のお金の管理でもまとめています。

後見・保佐・補助の3つの違い

法定後見は、本人の判断能力の程度によって、後見・保佐・補助の3つに分かれます※1※4。

※表は横にスクロールできます

後見保佐補助
対象になる方判断能力が欠けているのが通常の状態判断能力が著しく不十分判断能力が不十分
支える人成年後見人保佐人補助人
代わりに契約できる範囲財産に関するすべての法律行為家庭裁判所が認めた特定の行為家庭裁判所が認めた特定の行為
同意が要る・取り消せる行為日用品の買い物などを除く行為を取り消せる借金・保証、不動産の売買、相続など、法律で決まった重要な行為家庭裁判所が認めた特定の行為
本人の同意要らない代わりに契約する権限を付けるときに必要申立てそのものに必要
利用者(2025年末)180,828人58,162人18,078人

※民法第7条〜第17条・第859条ほか、法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※1※3※4。任意後見の利用者は2,833人です。

どの類型になるかは、医師が書く診断書(成年後見制度用)などをもとに、家庭裁判所が判断します※6。利用者の約7割は後見で、日用品の買い物などを除き、本人のした契約を後から取り消すこともできます※3※4。

後見人ができること・仕事に含まれないこと

後見人などの仕事は、大きく「財産の管理」と「身上保護(暮らしや介護の手配)」の2つです。本人の意思を尊重し、心身の状態や暮らしの状況に配慮しながら行うことが、法律で定められています※1※4。

契約書とペン、印鑑が置かれたクリップボードのイメージ

図3後見人ができること・仕事に含まれないこと

できること

  • 預貯金の管理、年金の受け取り、生活費や施設の利用料の支払い
  • 介護サービスや老人ホームの入居の契約
  • 入院の手続きと医療費の支払い
  • 遺産分割などの相続の手続き
  • 自宅の売却など(住まいの売却は家庭裁判所の許可が要る)

仕事に含まれないこと

  • 食事の世話や、実際の介護
  • 入院・入所のときの身元保証や身元引受
  • 手術などの医療行為への同意
  • 結婚や養子縁組、遺言など、本人だけができること

※法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、民法、国の研究班のガイドライン、東京家庭裁判所の手引によります※1※4※6※10。保佐人・補助人は、家庭裁判所が認めた範囲で仕事をします。

後見人は、就任すると本人の財産を調べて1か月以内に財産目録を作り、その後も原則として年1回、家庭裁判所に財産や暮らしの状況を報告します※4※6。本人が住んでいた家(入院や施設への入所中で、戻って住むはずの家も含みます)を売ったり、貸したり、取り壊したりするには、家庭裁判所の許可が要ります※4※6。

身元保証と医療行為への同意は、仕事に含まれません

国の研究班のガイドラインは、成年後見人などが手術などの医療行為に同意することは仕事に含まれているとは言えないとし、専門職などの第三者の後見人が本人の保証人になることは一般的に適切でないとしています※10。そのため、施設によっては、後見人とは別に身元引受人を求められることがあります。身元保証人がいないときの備え方は、老人ホームの身元保証人がいないときでまとめています。

家族は後見人になれる?|選ぶのは家庭裁判所

家族も後見人になれます。特別な資格は要らず、なれないのは未成年者や破産した人、本人に対して裁判をしたことがある人とその配偶者・直系の血族などに限られます※4。ただし、後見人を選ぶのは家庭裁判所で、申立てのときに家族を候補者に書いても、必ず選ばれるとは限りません。誰が選ばれたかについて、不服を申し立てることもできません※2※6。

図4選ばれた成年後見人などと、本人との関係(2025年)

司法書士11,966件

全体の28.0%

弁護士8,903件

全体の20.8%

社会福祉士7,280件

全体の17.0%

親族7,014件

全体の16.4%

行政書士2,235件

全体の5.2%

社会福祉協議会1,615件

全体の3.8%

市民後見人390件

全体の0.9%

※最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※3。全体(42,732件)に対する割合は、件数から住まいるが計算しました。このほか、法人などが選ばれています。棒の右端は司法書士の件数です。

2025年に親族が選ばれたのは16.4%で、親族以外の司法書士・弁護士・社会福祉士などが多くを占めています。申立書に親族が候補者として書かれていたのは19.7%でした※3。制度が始まった2000年度には、親族が選ばれたものが9割以上でした※17。2019年には、最高裁判所と専門職の団体が、後見人にふさわしい親族などの身近な支援者がいるときは、その人を選ぶことが望ましいという考え方を共有しています※9。

家族が後見人になったときの負担

  • 家庭裁判所への報告:最初に財産目録と収支予定表を出し、その後も原則として年1回、報告します。
  • お金を分けて管理する:本人のお金を家族の名義で管理したり、親族に贈与したり貸したりすることはできません。家族でも「他人の財産を預かって管理している」立場になります。
  • 専門職の監督人が付くことがある:親族の間で意見が分かれている、財産が多い、不動産の売買を予定しているなどの場合は、家庭裁判所が専門職の後見監督人を選んだり、専門職を後見人に選んだりすることがあります。

※東京家庭裁判所の手引によります※6。

申立ての手続きと期間

法定後見は、本人の住所地を受け持つ家庭裁判所に申し立てて始まります。申し立てられるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長などです※1※4。2025年の申立人は、本人(24.8%)、市区町村長(23.7%)、本人の子(18.5%)の順に多く、身寄りがない方などは市区町村長が申し立てています※3。

図5申立てから後見が始まるまでの流れ

  1. 相談する 地域包括支援センターや成年後見の相談窓口(中核機関)、家庭裁判所の手続案内で相談します。
  2. 書類をそろえる 申立書、診断書(成年後見制度用)、本人情報シート、戸籍・住民票、登記されていないことの証明書、財産目録、収支予定表など。
  3. 家庭裁判所に申し立てる 申し立てたあとは、家庭裁判所の許可がないと取り下げられません。
  4. 家庭裁判所の審理 申立人や候補者の面接、親族への意向の確認、本人の調査など。必要なときは判断能力の鑑定をします。
  5. 審判(後見人などが選ばれる) 後見の開始と、後見人などの選任が決まります。監督人が選ばれることもあります。
  6. 確定と登記 審判書が届いて2週間以内に不服の申立てがなければ確定し、法務局に登記されます。戸籍には載りません。
  7. 後見人の仕事が始まる 財産目録などを出し、その後は原則として年1回、家庭裁判所に報告します。

※東京家庭裁判所の手引と、法務省・裁判所の資料によります※2※6。

2025年の統計では、申立てから2か月以内に終わった事件が71.1%、4か月以内が93.8%でした。判断能力の鑑定をしたのは全体の約3.4%です※3。このほか、診断書や戸籍などの書類をそろえる期間もかかります。急いでお金の支払いが必要なときは、審判の前に財産の管理者を選んでもらう手続き(保全処分)もあります※6。

費用|申立ての費用と、後見人への報酬

成年後見制度にかかる費用は、申し立てるときの費用と、後見が始まってから後見人などに払う報酬の2つです。

申し立てるときの費用額(2026年11月時点)
申立ての費用
(収入印紙)
800円
(保佐・補助で権限を付けるときは加算)
登記の費用
(収入印紙)
2,600円
郵便切手後見 4,000円
保佐・補助 5,000円
(東京家庭裁判所の場合)
鑑定の費用必要なときだけ。
多くは10万円以下
そのほかの実費診断書、戸籍・住民票、
登記されていないことの証明書など

※法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、東京家庭裁判所の手引(2025年4月版)、最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※1※3※6。郵便切手の額は家庭裁判所ごとに違います。鑑定の費用は、最高裁判所の統計では85.8%の事件で10万円以下でしたが、東京家庭裁判所は一般的に10万〜20万円程度と案内しています。

後見人などへの報酬

後見人などへの報酬は、後見人が申し立てて家庭裁判所が額を決め、本人の財産から払います。最高裁判所の調査(2025年7〜12月)では、親族以外の成年後見人への報酬は、本人の預貯金などが1,000万円未満なら、報酬の対象期間(多くは1年)で20万円台が7〜8割、1,000万〜5,000万円未満では30万円台が54.0%でした※7。以前は東京家庭裁判所が「月額2万円」を基本とする目安を示していましたが、いまはこの調査の結果を見るよう案内しています。家族の後見人は、報酬を受け取らないこともできます。

任意後見の費用

任意後見の契約は公証役場で公正証書にします。2025年10月1日から、公正証書の作成費用は1契約13,000円になり、このほかに法務局に納める収入印紙2,600円、登記を頼む費用1,600円、正本・謄本の代金などがかかります※8。任意後見人への報酬は契約で決め、任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決めます※13。

費用の助成|成年後見制度利用支援事業

費用を払うのが難しい方のために、市区町村が申立ての費用や後見人への報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」があります。対象になる方や助成の上限は、市区町村によって違います※13。申立てを弁護士などに頼む費用は、収入が少ない方なら法テラスの立替えを使えることもあります※1。

成年後見制度のデメリットと注意点

成年後見制度は、本人の財産と暮らしを守るための制度ですが、使い始める前に知っておきたい点もあります。

  • 原則として、途中でやめられない(いまの制度):銀行の手続きなど、申立てのきっかけになった用事が済んでも、本人の判断能力が回復するか、本人が亡くなるまで続きます。家族の意思や本人の希望でやめることはできません※2。
  • 専門職が選ばれると、報酬が続く:司法書士や弁護士などが後見人になると、本人の財産から報酬を払い続けることになります。
  • 家族でも、本人のお金を自由には使えない:本人のための支出が基本で、家族への贈与や、相続税の対策、投資などは難しくなります。
  • 希望する人が選ばれるとは限らない:選ぶのは家庭裁判所で、選ばれた人について不服を申し立てることはできません※2。
  • 始まるまでに時間がかかる:書類の準備に加えて、申立てから審判まで1〜2か月ほどかかることが多く、急ぎの支払いに間に合わないことがあります。

本人の預貯金が多い場合は、日常で使わないお金を信託銀行などに預け、引き出すには家庭裁判所の指示が要る「後見制度支援信託」や「後見制度支援預貯金」を使うよう求められることもあります※6。

預金通帳とお札、電卓、眼鏡が並ぶお金の管理のイメージ

2026年の法改正で何が変わる?

2026年6月17日、成年後見制度を大きく見直す「民法等の一部を改正する法律」が成立し、6月24日に公布されました※11。成年後見の部分の施行は「公布から2年6か月以内の政令で定める日」で、2028年12月までに始まります(国の会議の資料は2028年度の施行を見込んでいます)※11※12。2026年11月時点は、いまの制度のままです。

※表は横にスクロールできます

いまの制度
(2026年11月)
改正後
(施行日から)
種類後見・保佐・補助の3つ「補助」にまとめる。判断能力を欠くのが通常の方は「特定補助」も選べる
権限の付け方後見は財産に関するすべての行為を代わりにできる必要な行為ごとに、代わりに契約する権限などを付ける
終わり方判断能力が回復しない限り、原則として本人が亡くなるまで続く必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終えられる
選ぶとき本人の意見も考えて家庭裁判所が選ぶ本人の意見をいちばん先に考えて選ぶ
交代不正な行為などがあるときに限られる本人の利益のため特に必要なときも交代できる
任意後見任意後見監督人が選ばれて始まる家庭裁判所の「任意後見開始の審判」で始まる。監督人を置かずに家庭裁判所が直接見ることもある

※法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」と法律の概要によります※11。

いま後見・保佐を使っている方は?

改正法の施行後も、いま後見・保佐を使っている方は、基本的にはいまの内容のまま続けられます。新しい補助の制度に移りたいときや、やめたいときは、家庭裁判所に申し立てることができます。施行と同時に自動で終わるわけではなく、家庭裁判所の判断が要ります※11。いま補助を使っている方は、施行後は新しい補助の制度として続きます。施行日が決まったら、この記事も更新します。

老人ホームの入居と成年後見

判断能力が不十分な方の入居の契約は、本来、本人に代わって契約する権限を持つ人(後見人など)が結ぶものです。施設や事業者は、後見人などと契約するときに「登記事項証明書」で、代わりに契約する権限があるかを確かめます※13。後見人が付いていると、施設の利用料が本人の財産から確実に払われるという安心につながり、ホームが受け入れを考えやすくなることもあります。

いっぽうで、後見の手続きには時間がかかるため、入居を急ぐ場面では間に合わないことがあります。手続きの途中でも受け入れているホームや、支払い方を相談できるホームもあるので、施設探しと手続きを並行して進めることが大切です。また、介護保険施設が、身元保証人がいないことだけを理由に入所を断ることは適切ではないと、国が示しています※18。

成年後見の手続き中でも、入れるホームを一緒にお探しします

「後見人をつける手続きと、施設探しを同時に進めたい」「身元保証人がいなくて困っている」——住まいるの相談員は、成年後見の手続き中でも受け入れているホームや、支払い方を相談できるホームを把握しています。1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、制度の窓口へのつなぎ方も含めて、順番から一緒に整理します。ご相談は何度でも無料です。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

無料でご相談する

相談先

  • 地域包括支援センター:高齢の方の総合的な相談窓口で、権利を守るための支援も役割のひとつです。どこに相談すればよいか分からないときの入口になります(地域包括支援センター(包括)とは)。
  • 成年後見の相談窓口(中核機関):成年後見センターや権利擁護センターなどの名前で、市区町村や社会福祉協議会が担っています。2025年4月時点で、全国の市区町村の77%が整えています※16。
  • 家庭裁判所:申立ての手続きや書類、費用について、手続案内で相談できます。
  • 弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職:申立ての書類づくりや、後見人の候補者について相談できます。費用を払うのが難しい方は、法テラスに相談できます。
  • 公証役場:任意後見の契約は、公証役場で公正証書にします。

判断能力に不安が出てきたものの、まだ契約の内容が分かる段階なら、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業で、福祉サービスの利用の手伝いや日常のお金の出し入れを頼む方法もあります(利用料は実施する社会福祉協議会が決め、訪問1回あたり平均1,200円が参考)※14。

よくあるご質問

成年後見制度とは、簡単に言うと何ですか

認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった方が、預貯金の管理や介護サービス・施設の契約などで不利益を受けないよう、家庭裁判所が選んだ後見人などが本人に代わって契約をしたり、財産を管理したりする制度です。

成年後見人は、家族でもなれますか

なれます。特別な資格は要りません。ただし、後見人を選ぶのは家庭裁判所で、申立てのときに家族を候補者に書いても、必ず選ばれるとは限りません。2025年に親族が選ばれたのは全体の16.4%で、家庭裁判所が司法書士や弁護士などの専門職を選ぶことが多くなっています。

成年後見人でいちばん多いのは誰ですか

2025年に選ばれた成年後見人などのうち、いちばん多いのは司法書士(11,966件)で、次いで弁護士(8,903件)、社会福祉士(7,280件)でした。親族は7,014件で、そのうち約半数が本人の子でした。

成年後見人の費用は、毎月いくらくらいですか

後見人への報酬は家庭裁判所が決めて、本人の財産から払います。最高裁判所の調査では、親族以外の成年後見人の報酬は、本人の預貯金などが1,000万円未満なら、1年分などの対象期間で20万円台が7〜8割でした。財産が多いほど高くなる傾向があります。家族の後見人は、報酬を受け取らないこともできます。

申立てには、いくら費用がかかりますか

東京家庭裁判所で後見を申し立てる場合、収入印紙800円と2,600円、郵便切手4,000円が必要です(2026年11月時点)。このほか診断書や戸籍などの実費がかかり、判断能力の鑑定が必要になったときは鑑定の費用もかかります。弁護士や司法書士に申立てを頼む場合は、その費用も必要です。

手続きには、どのくらいの期間がかかりますか

2025年の統計では、申立てから2か月以内に終わった事件が71.1%、4か月以内が93.8%でした。このほか、診断書や戸籍などの書類をそろえる期間もかかります。

成年後見人がつくと、途中でやめられますか

いまの制度では、本人の判断能力が回復しない限り、原則として本人が亡くなるまで続きます。家族の意思や本人の希望でやめることはできません。2026年6月に成立した改正法が施行されると、必要がなくなったときに家庭裁判所が終えられるようになります。

2026年に、成年後見制度はどう変わりますか

2026年6月に民法などの改正法が成立し、後見・保佐・補助の3つを「補助」にまとめ、必要な手続きごとに権限を付けること、必要がなくなったら終えられることなどが決まりました。施行は2028年12月までの政令で決める日で、2026年11月時点は、いまの制度のままです。

成年後見人は、施設に入るときの身元保証人になれますか

入院や施設への入所のときの身元保証や身元引受は、成年後見人の仕事には含まれません。国の研究班のガイドラインは、専門職などの第三者の後見人が保証人になることは一般的に適切でないとしています。施設によっては、後見人とは別に身元引受人を求められることがあります。

任意後見と法定後見の違いは何ですか

任意後見は、本人が元気なうちに、判断能力が落ちたときに支えてもらう人と内容を、公正証書の契約で決めておく制度です。法定後見は、判断能力が落ちたあとに、家庭裁判所が後見人などを選ぶ制度です。任意後見では、支える人を本人が選べますが、本人のした契約を取り消す権限はありません。

家族が成年後見人になると、どんな負担がありますか

最初に財産目録などを家庭裁判所に出し、その後も原則として年1回、財産の状況などを報告します。本人のお金は家族のお金と分けて管理し、親族への贈与や貸し付けはできません。財産の額などによっては、専門職の後見監督人が付くこともあります。

成年後見の申立ては、自分でできますか

できます。家族が自分で申立書や財産目録などを作って、本人の住所地の家庭裁判所に出せます。書式や手引きは各地の家庭裁判所のサイトで見られます。書類の準備が難しいときは、地域包括支援センターや成年後見の相談窓口(中核機関)、弁護士・司法書士に相談できます。

まとめ

成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった方のお金の管理や契約を、家庭裁判所が選んだ後見人などが支える制度です。判断能力が落ちてから使う法定後見(後見・保佐・補助)と、元気なうちに契約しておく任意後見があり、家族も後見人になれますが、選ぶのは家庭裁判所です。

申立ての費用は収入印紙と切手で1万円ほど(東京家庭裁判所の場合)ですが、専門職が後見人になると報酬が毎年かかり、いまの制度では原則として途中でやめられません。2026年6月に成立した改正法で、必要がなくなったら終えられる形に変わる予定です(施行は2028年12月まで)。親の判断能力に不安が出てきたら、早めに地域包括支援センターや成年後見の相談窓口に相談してみてください。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

※本記事は、2026年11月時点の法令と、裁判所・国の資料にもとづいて、介護の相談の立場からまとめた一般的な説明です。個別のお手続きは、家庭裁判所や弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。改正法の施行日が決まったら更新します。

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