お問い合わせ 受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)
「親の認知症が進んで、銀行で手続きができなくなった」「老人ホームの入居の契約を、誰がすればよいのか」「施設から後見人を、と言われた」。こうした場面で出てくるのが成年後見制度です。この記事では、制度のしくみ、法定後見と任意後見の違い、家族は後見人になれるか、手続きと費用、デメリット、そして2026年6月に成立した法改正で変わることを、裁判所や国の資料をもとにまとめました。

この記事の要点
目次
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった方が、財産の管理や契約で不利益を受けないよう、家庭裁判所が選んだ人(成年後見人など)が本人を支える制度です※1※2。本人に代わって預貯金を管理したり、介護サービスや施設の契約を結んだりします。
2025年12月末に制度を使っている方は259,901人で、2025年の1年間に43,159件の申立てがありました。開始のきっかけになった原因は、認知症が約61%を占めています※3。
預金は本人の財産なので、銀行は本人の意思を確かめられないと、家族であっても払い出しに応じないのが原則です。判断能力が落ちた方には、成年後見制度の利用をすすめるのが一般的とされています※15。実際の申立てのきっかけ(動機)は、次のとおりです。
図1成年後見の申立ての主なきっかけ(2025年・複数回答)
※最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)」の、終わった事件42,674件に対する割合です※3。棒の右端は100%です。
預貯金の管理や解約がほとんどの事件で挙がっていて、介護保険の契約や、自宅などの不動産の処分、相続の手続きも、きっかけになっています。
成年後見制度には、判断能力が落ちてから使う「法定後見」と、元気なうちに契約しておく「任意後見」の2つがあります※1。
図2法定後見と任意後見の違い(2026年11月時点)
法定後見
任意後見
※民法と任意後見契約に関する法律、法務省・日本公証人連合会の資料によります※1※4※5※8。任意後見の始まり方は、2026年の改正法の施行後に変わります(9章)。
任意後見の契約は、すぐには効力が生じず、判断能力が落ちたときに家庭裁判所に申し立てて、任意後見監督人が選ばれてから始まります※5。元気なうちは別の契約でお金の管理などを頼んでおき、判断能力が落ちたら任意後見に切り替える形(移行型)が多く使われています※8。任意後見と、家族信託や銀行の代理人の届出などのほかの備えとの違いは、親のお金の管理でもまとめています。
法定後見は、本人の判断能力の程度によって、後見・保佐・補助の3つに分かれます※1※4。
※表は横にスクロールできます
| 後見 | 保佐 | 補助 | |
|---|---|---|---|
| 対象になる方 | 判断能力が欠けているのが通常の状態 | 判断能力が著しく不十分 | 判断能力が不十分 |
| 支える人 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
| 代わりに契約できる範囲 | 財産に関するすべての法律行為 | 家庭裁判所が認めた特定の行為 | 家庭裁判所が認めた特定の行為 |
| 同意が要る・取り消せる行為 | 日用品の買い物などを除く行為を取り消せる | 借金・保証、不動産の売買、相続など、法律で決まった重要な行為 | 家庭裁判所が認めた特定の行為 |
| 本人の同意 | 要らない | 代わりに契約する権限を付けるときに必要 | 申立てそのものに必要 |
| 利用者(2025年末) | 180,828人 | 58,162人 | 18,078人 |
※民法第7条〜第17条・第859条ほか、法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※1※3※4。任意後見の利用者は2,833人です。
どの類型になるかは、医師が書く診断書(成年後見制度用)などをもとに、家庭裁判所が判断します※6。利用者の約7割は後見で、日用品の買い物などを除き、本人のした契約を後から取り消すこともできます※3※4。
後見人などの仕事は、大きく「財産の管理」と「身上保護(暮らしや介護の手配)」の2つです。本人の意思を尊重し、心身の状態や暮らしの状況に配慮しながら行うことが、法律で定められています※1※4。

図3後見人ができること・仕事に含まれないこと
できること
仕事に含まれないこと
※法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、民法、国の研究班のガイドライン、東京家庭裁判所の手引によります※1※4※6※10。保佐人・補助人は、家庭裁判所が認めた範囲で仕事をします。
後見人は、就任すると本人の財産を調べて1か月以内に財産目録を作り、その後も原則として年1回、家庭裁判所に財産や暮らしの状況を報告します※4※6。本人が住んでいた家(入院や施設への入所中で、戻って住むはずの家も含みます)を売ったり、貸したり、取り壊したりするには、家庭裁判所の許可が要ります※4※6。
国の研究班のガイドラインは、成年後見人などが手術などの医療行為に同意することは仕事に含まれているとは言えないとし、専門職などの第三者の後見人が本人の保証人になることは一般的に適切でないとしています※10。そのため、施設によっては、後見人とは別に身元引受人を求められることがあります。身元保証人がいないときの備え方は、老人ホームの身元保証人がいないときでまとめています。
家族も後見人になれます。特別な資格は要らず、なれないのは未成年者や破産した人、本人に対して裁判をしたことがある人とその配偶者・直系の血族などに限られます※4。ただし、後見人を選ぶのは家庭裁判所で、申立てのときに家族を候補者に書いても、必ず選ばれるとは限りません。誰が選ばれたかについて、不服を申し立てることもできません※2※6。
図4選ばれた成年後見人などと、本人との関係(2025年)
※最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※3。全体(42,732件)に対する割合は、件数から住まいるが計算しました。このほか、法人などが選ばれています。棒の右端は司法書士の件数です。
2025年に親族が選ばれたのは16.4%で、親族以外の司法書士・弁護士・社会福祉士などが多くを占めています。申立書に親族が候補者として書かれていたのは19.7%でした※3。制度が始まった2000年度には、親族が選ばれたものが9割以上でした※17。2019年には、最高裁判所と専門職の団体が、後見人にふさわしい親族などの身近な支援者がいるときは、その人を選ぶことが望ましいという考え方を共有しています※9。
※東京家庭裁判所の手引によります※6。
法定後見は、本人の住所地を受け持つ家庭裁判所に申し立てて始まります。申し立てられるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長などです※1※4。2025年の申立人は、本人(24.8%)、市区町村長(23.7%)、本人の子(18.5%)の順に多く、身寄りがない方などは市区町村長が申し立てています※3。
図5申立てから後見が始まるまでの流れ
※東京家庭裁判所の手引と、法務省・裁判所の資料によります※2※6。
2025年の統計では、申立てから2か月以内に終わった事件が71.1%、4か月以内が93.8%でした。判断能力の鑑定をしたのは全体の約3.4%です※3。このほか、診断書や戸籍などの書類をそろえる期間もかかります。急いでお金の支払いが必要なときは、審判の前に財産の管理者を選んでもらう手続き(保全処分)もあります※6。
成年後見制度にかかる費用は、申し立てるときの費用と、後見が始まってから後見人などに払う報酬の2つです。
| 申し立てるときの費用 | 額(2026年11月時点) |
|---|---|
| 申立ての費用 (収入印紙) | 800円 (保佐・補助で権限を付けるときは加算) |
| 登記の費用 (収入印紙) | 2,600円 |
| 郵便切手 | 後見 4,000円 保佐・補助 5,000円 (東京家庭裁判所の場合) |
| 鑑定の費用 | 必要なときだけ。 多くは10万円以下 |
| そのほかの実費 | 診断書、戸籍・住民票、 登記されていないことの証明書など |
※法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、東京家庭裁判所の手引(2025年4月版)、最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和7年)」によります※1※3※6。郵便切手の額は家庭裁判所ごとに違います。鑑定の費用は、最高裁判所の統計では85.8%の事件で10万円以下でしたが、東京家庭裁判所は一般的に10万〜20万円程度と案内しています。
後見人などへの報酬は、後見人が申し立てて家庭裁判所が額を決め、本人の財産から払います。最高裁判所の調査(2025年7〜12月)では、親族以外の成年後見人への報酬は、本人の預貯金などが1,000万円未満なら、報酬の対象期間(多くは1年)で20万円台が7〜8割、1,000万〜5,000万円未満では30万円台が54.0%でした※7。以前は東京家庭裁判所が「月額2万円」を基本とする目安を示していましたが、いまはこの調査の結果を見るよう案内しています。家族の後見人は、報酬を受け取らないこともできます。
任意後見の契約は公証役場で公正証書にします。2025年10月1日から、公正証書の作成費用は1契約13,000円になり、このほかに法務局に納める収入印紙2,600円、登記を頼む費用1,600円、正本・謄本の代金などがかかります※8。任意後見人への報酬は契約で決め、任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決めます※13。
費用を払うのが難しい方のために、市区町村が申立ての費用や後見人への報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」があります。対象になる方や助成の上限は、市区町村によって違います※13。申立てを弁護士などに頼む費用は、収入が少ない方なら法テラスの立替えを使えることもあります※1。
成年後見制度は、本人の財産と暮らしを守るための制度ですが、使い始める前に知っておきたい点もあります。
本人の預貯金が多い場合は、日常で使わないお金を信託銀行などに預け、引き出すには家庭裁判所の指示が要る「後見制度支援信託」や「後見制度支援預貯金」を使うよう求められることもあります※6。

2026年6月17日、成年後見制度を大きく見直す「民法等の一部を改正する法律」が成立し、6月24日に公布されました※11。成年後見の部分の施行は「公布から2年6か月以内の政令で定める日」で、2028年12月までに始まります(国の会議の資料は2028年度の施行を見込んでいます)※11※12。2026年11月時点は、いまの制度のままです。
※表は横にスクロールできます
| いまの制度 (2026年11月) | 改正後 (施行日から) | |
|---|---|---|
| 種類 | 後見・保佐・補助の3つ | 「補助」にまとめる。判断能力を欠くのが通常の方は「特定補助」も選べる |
| 権限の付け方 | 後見は財産に関するすべての行為を代わりにできる | 必要な行為ごとに、代わりに契約する権限などを付ける |
| 終わり方 | 判断能力が回復しない限り、原則として本人が亡くなるまで続く | 必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終えられる |
| 選ぶとき | 本人の意見も考えて家庭裁判所が選ぶ | 本人の意見をいちばん先に考えて選ぶ |
| 交代 | 不正な行為などがあるときに限られる | 本人の利益のため特に必要なときも交代できる |
| 任意後見 | 任意後見監督人が選ばれて始まる | 家庭裁判所の「任意後見開始の審判」で始まる。監督人を置かずに家庭裁判所が直接見ることもある |
※法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」と法律の概要によります※11。
改正法の施行後も、いま後見・保佐を使っている方は、基本的にはいまの内容のまま続けられます。新しい補助の制度に移りたいときや、やめたいときは、家庭裁判所に申し立てることができます。施行と同時に自動で終わるわけではなく、家庭裁判所の判断が要ります※11。いま補助を使っている方は、施行後は新しい補助の制度として続きます。施行日が決まったら、この記事も更新します。
判断能力が不十分な方の入居の契約は、本来、本人に代わって契約する権限を持つ人(後見人など)が結ぶものです。施設や事業者は、後見人などと契約するときに「登記事項証明書」で、代わりに契約する権限があるかを確かめます※13。後見人が付いていると、施設の利用料が本人の財産から確実に払われるという安心につながり、ホームが受け入れを考えやすくなることもあります。
いっぽうで、後見の手続きには時間がかかるため、入居を急ぐ場面では間に合わないことがあります。手続きの途中でも受け入れているホームや、支払い方を相談できるホームもあるので、施設探しと手続きを並行して進めることが大切です。また、介護保険施設が、身元保証人がいないことだけを理由に入所を断ることは適切ではないと、国が示しています※18。
成年後見の手続き中でも、入れるホームを一緒にお探しします
「後見人をつける手続きと、施設探しを同時に進めたい」「身元保証人がいなくて困っている」——住まいるの相談員は、成年後見の手続き中でも受け入れているホームや、支払い方を相談できるホームを把握しています。1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、制度の窓口へのつなぎ方も含めて、順番から一緒に整理します。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
判断能力に不安が出てきたものの、まだ契約の内容が分かる段階なら、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業で、福祉サービスの利用の手伝いや日常のお金の出し入れを頼む方法もあります(利用料は実施する社会福祉協議会が決め、訪問1回あたり平均1,200円が参考)※14。
認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった方が、預貯金の管理や介護サービス・施設の契約などで不利益を受けないよう、家庭裁判所が選んだ後見人などが本人に代わって契約をしたり、財産を管理したりする制度です。
なれます。特別な資格は要りません。ただし、後見人を選ぶのは家庭裁判所で、申立てのときに家族を候補者に書いても、必ず選ばれるとは限りません。2025年に親族が選ばれたのは全体の16.4%で、家庭裁判所が司法書士や弁護士などの専門職を選ぶことが多くなっています。
2025年に選ばれた成年後見人などのうち、いちばん多いのは司法書士(11,966件)で、次いで弁護士(8,903件)、社会福祉士(7,280件)でした。親族は7,014件で、そのうち約半数が本人の子でした。
後見人への報酬は家庭裁判所が決めて、本人の財産から払います。最高裁判所の調査では、親族以外の成年後見人の報酬は、本人の預貯金などが1,000万円未満なら、1年分などの対象期間で20万円台が7〜8割でした。財産が多いほど高くなる傾向があります。家族の後見人は、報酬を受け取らないこともできます。
東京家庭裁判所で後見を申し立てる場合、収入印紙800円と2,600円、郵便切手4,000円が必要です(2026年11月時点)。このほか診断書や戸籍などの実費がかかり、判断能力の鑑定が必要になったときは鑑定の費用もかかります。弁護士や司法書士に申立てを頼む場合は、その費用も必要です。
2025年の統計では、申立てから2か月以内に終わった事件が71.1%、4か月以内が93.8%でした。このほか、診断書や戸籍などの書類をそろえる期間もかかります。
いまの制度では、本人の判断能力が回復しない限り、原則として本人が亡くなるまで続きます。家族の意思や本人の希望でやめることはできません。2026年6月に成立した改正法が施行されると、必要がなくなったときに家庭裁判所が終えられるようになります。
2026年6月に民法などの改正法が成立し、後見・保佐・補助の3つを「補助」にまとめ、必要な手続きごとに権限を付けること、必要がなくなったら終えられることなどが決まりました。施行は2028年12月までの政令で決める日で、2026年11月時点は、いまの制度のままです。
入院や施設への入所のときの身元保証や身元引受は、成年後見人の仕事には含まれません。国の研究班のガイドラインは、専門職などの第三者の後見人が保証人になることは一般的に適切でないとしています。施設によっては、後見人とは別に身元引受人を求められることがあります。
任意後見は、本人が元気なうちに、判断能力が落ちたときに支えてもらう人と内容を、公正証書の契約で決めておく制度です。法定後見は、判断能力が落ちたあとに、家庭裁判所が後見人などを選ぶ制度です。任意後見では、支える人を本人が選べますが、本人のした契約を取り消す権限はありません。
最初に財産目録などを家庭裁判所に出し、その後も原則として年1回、財産の状況などを報告します。本人のお金は家族のお金と分けて管理し、親族への贈与や貸し付けはできません。財産の額などによっては、専門職の後見監督人が付くこともあります。
できます。家族が自分で申立書や財産目録などを作って、本人の住所地の家庭裁判所に出せます。書式や手引きは各地の家庭裁判所のサイトで見られます。書類の準備が難しいときは、地域包括支援センターや成年後見の相談窓口(中核機関)、弁護士・司法書士に相談できます。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった方のお金の管理や契約を、家庭裁判所が選んだ後見人などが支える制度です。判断能力が落ちてから使う法定後見(後見・保佐・補助)と、元気なうちに契約しておく任意後見があり、家族も後見人になれますが、選ぶのは家庭裁判所です。
申立ての費用は収入印紙と切手で1万円ほど(東京家庭裁判所の場合)ですが、専門職が後見人になると報酬が毎年かかり、いまの制度では原則として途中でやめられません。2026年6月に成立した改正法で、必要がなくなったら終えられる形に変わる予定です(施行は2028年12月まで)。親の判断能力に不安が出てきたら、早めに地域包括支援センターや成年後見の相談窓口に相談してみてください。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は、2026年11月時点の法令と、裁判所・国の資料にもとづいて、介護の相談の立場からまとめた一般的な説明です。個別のお手続きは、家庭裁判所や弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。改正法の施行日が決まったら更新します。
お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。
ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ
担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。