COLUMN

介護と住まいのコラム

施設の選び方 2026.08.20

老人ホームの身元保証人がいないとき|身元引受人との違いと3つの方法

お部屋も費用も決まって、いよいよ申し込みという場面で「身元引受人はどなたになりますか」と聞かれ、手が止まる。ご相談のなかで、費用の次に多いのがこのお困りごとです。おひとりで暮らしてこられた方、子どもに負担をかけたくない方、頼れる親族がすでに高齢の方。いずれの場合にも道はあります。この記事では、ホームが何を求めているのかを分解したうえで、引き受け手がいないときの選択肢を整理します。

この記事の要点

  • 「身元引受人」と「連帯保証人」は本来は別の役割です。契約書ではひとつにまとめられていることが多いため、まず何を頼まれているのかを分けて考えます。
  • 国は、身元保証人等がいないことのみを理由に入所を断るのは適切ではないと通知で示しています。ただし民間のホームでは、実務上ほとんどの場合に求められます。
  • 引き受け手がいないときは、保証会社・成年後見制度・親族以外の第三者という3つの道があります。ただし成年後見人が身元保証人を兼ねることはできません
  • 2020年4月以降の契約では、個人が連帯保証人になる場合に「極度額」(負担する上限額)の記載が必要です。いくらまで背負うのかは、契約書で確かめられます。

身元引受人と連帯保証人は、何が違うのか

老人ホームの入居契約では、ご本人のほかにもうひとり、署名を求められるのが一般的です。このとき使われる呼び名は「身元引受人」「身元保証人」「連帯保証人」「緊急連絡先」とホームによってまちまちで、同じ言葉でも中身が違うことがあります。

整理すると、求められている責任は大きく2つに分かれます。

図1ふたつの役割は、本来べつのもの

身元引受人
(身元保証人)

お金以外を担う立場です。急な体調の変化のときに連絡がつくこと、治療方針を医師と相談する場に立ち会うこと、退去やご逝去のあとの手続きを引き受けることなどが含まれます。

連帯保証人

お金を担う立場です。利用料の支払いが滞ったときに、ご本人と同じ責任で支払う義務を負います。「保証人」より重い立場で、ホームは本人より先に連帯保証人へ請求することもできます。

契約書ではこの2つがひとつの条文にまとめられ、同じ方の署名を求める形が多く見られます。けれどもご相談のうえで分けられるホームもあります。「連絡役なら引き受けられるが、お金の保証までは難しい」というご事情は珍しくありませんので、まずは契約書の条文で何を頼まれているのかを読み解くところから始めます。

ホームが求めている4つの役割

呼び名の違いをいったん脇に置くと、ホームが求めているのは次の4つに整理できます。

図2契約書に書かれている役割を分解すると

  • 1. 緊急時の連絡と、判断の相談

    夜中の急変や救急搬送のときに連絡がつくこと。入院や治療の方針を、医師とともに考える相手になることも含まれます。

  • 2. 利用料の支払いの保証

    年金や預金で足りなくなったとき、代わりに支払う責任を負います。ホームにとっては、経営に直結する部分です。

  • 3. 退去のときの対応

    医療の必要度が上がるなどしてお住み替えになるとき、次の行き先を一緒に探し、お荷物を引き取る役割です。

  • 4. ご逝去のあとの手続き

    ご遺体とお荷物の引き取り、居室の明け渡し、費用の精算。ここまで書かれている契約書がほとんどです。

ホームがここまで求めるのは、24時間ご本人の暮らしを預かる立場だからです。裏を返せば、この4つに答えが用意できていれば、ご親族がいない場合でも入居の道は開けます。「身元保証人がいない」という一言で考えるより、4つに分けて手当てを考えるほうが、話は前に進みます。

「いないと入れない」のか

制度のうえでは、いないことだけを理由に断るのは適切ではない、とされています。厚生労働省は2018年8月に、特別養護老人ホームなどの介護保険施設等に向けて「身元保証人等がいないことのみを理由に、入所を拒むことは適切ではない」という趣旨の通知を出しています。病院についても同じ年に、身元保証人がいないことだけを理由に必要な医療を断ることは医師法の応召義務に照らして問題がある、という通知が出されました。

一方で、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は民間どうしの契約です。実際には、ほとんどのホームで身元引受人か、それに代わる手立てを求められます。ここは建前と実務が食い違っている部分で、ご家族が戸惑いやすいところでもあります。

ただ、現場の感覚としては「いないから即お断り」というホームは多くありません。代わりの手立てが示せるかどうかで、返事が変わります。

断られたときに、聞いてみたい3つのこと

「身元引受人がいないので難しい」と言われても、そこで話を終えないほうが道が残ります。「保証会社のご利用は可能ですか」「成年後見人が付いた場合はいかがですか」「連絡役と支払いの保証を分けてお考えいただけませんか」——この3つを尋ねると、同じホームでも条件を整えれば受け入れられる、という返事に変わることがあります。ご自身で尋ねにくいときは、私たち相談員が代わってお聞きします。

引き受け手がいないときの3つの方法

図3代わりになる3つの手立て

  • 身元保証会社を使う

    民間の事業者が、有償で身元引受人の役割を担います。ホームが提携先を持っていることも多く、その場合は紹介してもらえます。

  • 成年後見制度を使う

    家庭裁判所が選んだ後見人が、契約と財産の管理を担います。支払いの確実さという点でホームの安心につながります。

  • 親族以外の第三者に頼む

    甥ごさん姪ごさん、いとこ、長年のご友人でも引き受けられるホームがあります。「三親等以内」と決めているホームもあるため、範囲の確認から始めます。

成年後見人は、身元保証人の代わりにはなりません

よくある思い違いです。後見人の役割は契約の代理と財産の管理で、ご本人の身柄を引き取ることや、医療行為に同意することは法律上の権限に含まれていません。ホームによっては「後見人が付いていても、別に身元引受人が必要」とされます。
とはいえ、後見人が管理する口座から利用料が確実に支払われるという点は、ホームにとって大きな安心材料です。実際に、後見人が付いていることを前提に保証人なしで受け入れられた例は少なくありません。後見人と保証会社を組み合わせて備える方もいらっしゃいます。

保証人の当てがない、という段階でもご相談ください

相談員は、保証会社を使える施設、条件をご相談できる施設を日ごろから把握しています。ご事情をうかがったうえで、受け入れの可能性があるホームだけをお出しします。ご相談は何度でも無料です。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

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身元保証サービスを選ぶときに見ておきたいこと

身元保証会社は、高齢のご本人に代わって緊急時の対応や支払いの保証、亡くなられたあとの手続きまでを引き受ける民間の事業者です。近年は利用が広がる一方で、費用や契約の中身が事業者によって大きく異なります。入会金・保証料・預託金を合わせると数十万円から、100万円を超えることもあります。

国も2024年6月に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表し、契約や財産の管理について事業者が守るべき考え方を示しました。過去には預けたお金を返せなくなった事業者もあり、選ぶときには次の点を書面で確かめておくと安心です。

図4契約の前に、書面で確かめておきたいこと

  • 費用の全体像 入会金・年会費・預託金・実費の別。あとから追加で発生する費用があるか
  • 預託金の管理方法 事業者のお金と分けて管理されているか。誰が確認しているか
  • どこまでやってもらえるか 身元保証・日常生活の支援・死後の事務は、別々の契約になっていることがあります
  • 途中でやめるときの扱い 解約したときに、預けたお金がいくら返るのか
  • 事業者が続けられなくなったとき 解散・倒産したときに、預けたお金と契約がどうなるのか

ホームから特定の事業者を紹介された場合も、同じ観点で見ておくと安心です。ご不安があれば、契約の前に地域包括支援センターや消費生活センターに相談する手もあります。

契約前に確認したい5つのこと

ホームとの入居契約そのものについては、次の5点を読み合わせておくと、あとから「そんなつもりではなかった」となりにくくなります。

図5入居契約で読み合わせたい5項目

  • 誰が、どの役割を担うのか 連絡役(身元引受人)と支払いの保証(連帯保証人)を、別の方に分けられるか
  • 連帯保証の極度額 2020年4月以降の契約では、個人が保証人になる場合に上限額の記載が必要です
  • 保証人が続けられなくなったとき 保証人が先に亡くなった、高齢になったときに、交代を求められるのか
  • 医療への同意の考え方 誰に、どこまで求めるのか。ご家族であっても法律上の同意権はありません
  • ご逝去のあとの取り決め お荷物の引き取り、居室の明け渡し、費用の精算を、どなたが行うのか

「極度額」は、引き受けやすさを変えます

2020年4月の民法改正により、個人が連帯保証人になる契約では、負担する上限額(極度額)を定めなければ保証そのものが無効となりました。裏を返せば、いまの契約書には「いくらまで背負うのか」が必ず書かれているということです。
ごきょうだいやお子さまに頼むとき、「際限なく責任を負わされるのでは」という不安が壁になることがあります。契約書の金額を一緒に確かめると、引き受けていただけた——というお話は、実際によくうかがいます。

よくあるご質問

身元保証人と緊急連絡先は、同じものですか

別のものです。緊急連絡先は「何かあったときに連絡がつく方」で、支払いの責任は伴いません。責任の重さがまるで違うため、緊急連絡先だけであれば引き受けていただけることも多くあります。ホームによっては、保証会社と緊急連絡先の組み合わせで足りる場合もあります。

子どもはいますが、遠方に住んでいます

距離だけを理由にお断りになるホームは多くありません。ただし「急なときにどれくらいで駆けつけられるか」はうかがわれます。遠方のお子さまが連帯保証人となり、近隣のご親族や保証会社が緊急時の対応を担う、という組み合わせもできます。

きょうだいに頼みたいのですが、迷惑をかけたくありません

お気持ちはよく分かります。まずは契約書の極度額を確かめてみてください。負う可能性のある金額がはっきりすると、話を切り出しやすくなります。あわせて、月々の費用がご本人の年金と預貯金でどこまで賄えるのかを見ておくと、ご相談がより具体的になります。
>>費用シミュレーションで確かめる

おひとりで、頼れる方がまったくいません

そうした方のご相談も日常的にお受けしています。保証会社を使う、成年後見制度を利用する、その両方を組み合わせる——ご本人の判断能力と資産の状況によって、どれが合うかは変わります。まずは地域包括支援センター、または私たちのような紹介サービスにご相談ください。ご事情に合わせて、受け入れの可能性があるホームからお探しします。

生活保護を受けていても、入居できますか

受給中でもご入居いただけるホームはあります。ただし保証会社の費用は生活保護の対象外となるため、担当のケースワーカーとご相談のうえで進めることになります。地域によって扱いが異なりますので、まずはお住まいの福祉事務所にご確認ください。

この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

  • 厚生労働省「介護保険施設等における身元保証人等がいないことのみを理由とした入所等の拒否について」(2018年8月30日)
  • 厚生労働省「身元保証人等がいないことのみを理由に必要な医療の提供を拒むことがないよう周知徹底について」(2018年4月27日)
  • 法務省「民法(債権関係)の改正」(2020年4月1日施行。個人根保証契約における極度額の定め)
  • 内閣官房・消費者庁・厚生労働省ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年6月)
  • 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。身元引受人・連帯保証人に関する取り扱いは施設ごとの契約によって異なります。実際のご契約にあたっては、各施設の契約書と重要事項説明書をご確認ください。

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