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「最近、親が疲れやすそう」「歩くのが遅くなって、外出も減った」。こうした変化は、介護が必要になる手前の「フレイル」のサインかもしれません。フレイルは、早めに気づいて取り組めば、健康な状態に戻ることもできるとされています。この記事では、フレイルとはどんな状態か、家族が気づきやすいサイン、チェックの方法、予防の3つの柱、相談先と使える支援をまとめました。

この記事の要点
目次
フレイルは、年をとって体や心のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態のことです※3。厚生労働省は、フレイルを「要介護状態に至る前段階」と位置づけ、体の衰えだけでなく、心や社会とのつながりの問題も抱えやすい状態だと説明しています※2。
「フレイル」は、英語の frailty(フレイルティ)の日本語訳として、2014年に日本老年医学会が提唱した言葉です。それまでの「虚弱」という訳では、年をとって元に戻らなくなった印象を与えるため、適切な取り組みや支援で、健康な状態に戻りうるという意味を込めて、この言葉が選ばれました※1。75歳以上の方の多くは、このフレイルという中間の段階を経て、少しずつ介護が必要な状態になると考えられています※1※2。
図1健康から要介護までの段階と、フレイルの位置
※日本老年医学会と厚生労働省の資料による整理です※1※2※4。脳卒中などで、急に介護が必要になる場合もあります。
フレイルは、体のことだけではありません。身体的・精神心理的・社会的の3つの側面があり、互いに影響しあうとされています※1※2。
図2フレイルの3つの側面
身体的フレイル
筋力が落ちて転びやすくなる、食べる量が減って体重が落ちる、口のはたらきが衰えるなど。
精神・心理的フレイル
物忘れなど認知機能の衰えや、気分の落ち込み(うつ)など。
社会的フレイル
外出が減る、閉じこもりがちになる、ひとり暮らしで人とのつながりが少なくなるなど。
※日本老年医学会のステートメントと、厚生労働省のガイドラインによる整理です※1※2。
たとえば、外出が減ると体を動かす機会も減り、食欲が落ちて体重が減り、さらに疲れやすくなる、というように、ひとつの衰えがほかの衰えを呼び込みます。食べる量が減ることと筋肉の衰えがぐるぐると回る流れは「フレイル・サイクル」と呼ばれています※10。

フレイルは、ゆっくり進むので、本人は気づきにくいことがあります。離れて暮らしていると、久しぶりに会ったときに変化に気づくご家族も少なくありません。厚生労働省のパンフレットや質問票では、次のような変化を気づくきっかけとして挙げています※3※7。
図3家族が気づきやすい症状(サイン)
※厚生労働省「後期高齢者の質問票」とパンフレット「食べて元気にフレイル予防」の項目をもとにした、気づくきっかけの例です※3※7。当てはまるからといって、フレイルと決まるわけではありません。
当てはまるものがあっても、まずは慌てずに、本人の話を聞いてみるところから始められます。体重の減少や歩く速さの低下に、病気が関わっていることもあるため、気になるときはかかりつけ医にも相談してみてください※2。
全国の高齢者を調べた調査(2012年・地域で暮らす65歳以上)を分析した研究では、フレイルにあたる人は8.7%、その手前のプレフレイルは40.8%でした※5。65歳以上のおよそ2人に1人は、フレイルかその手前にあたることになります。
図4年齢別のフレイルの割合(地域で暮らす高齢者)
※日本で行われた5つの研究をまとめた分析(2017年)の、年齢別の割合です※6。調べ方や基準によって割合は変わります。
フレイルは、とくに75歳以上で進みやすいとされています※2。国の調査では、要支援の方が介護を必要とするようになった主な原因の1位は「高齢による衰弱」(17.7%)でした※14。転倒や病気だけでなく、少しずつの衰えが、介護の入口になりやすいことがうかがえます。
フレイルを確かめる道具は、使う人と場所によっていくつかあります。ご家族が知っておきたいのは、次の3つです。
75歳以上の方の後期高齢者医療制度の健診では、2020年度から「後期高齢者の質問票」が使われています※7。健康状態、心の健康、食習慣、口の機能、体重の変化、運動・転倒、物忘れ、喫煙、社会参加、相談できる人の有無の10の分野・15問に「はい・いいえ」などで答えるものです※2。厚生労働省のパンフレットでも、自分の状態を確かめる質問として紹介されています※3。
市区町村や地域包括支援センターに相談すると、65歳以上の方は「基本チェックリスト」で今の状態を一緒に確かめることがあります。25問で、暮らしぶりから気分まで、7つの分野を見ます※8。
※基本チェックリストの分野と問いの数です※8。基準に当てはまると「事業対象者」として、要支援の認定を受けていなくても、訪問型・通所型のサービスなどを使えることがあります(8章)。
医療機関や研究の場では、国立長寿医療研究センターが2020年に改定した「日本版CHS基準」が使われます。次の5つの項目のうち、3つ以上に当てはまるとフレイル、1〜2つでプレフレイルとされます※4。
| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 体重の減少 | 6か月で、2kg以上の意図しない体重の減少 |
| 筋力の低下 | 握力が男性28kg未満、女性18kg未満 |
| 疲れやすさ | ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする |
| 歩く速さ | ふだんの歩く速さが秒速1.0m未満 |
| 体を動かす習慣 | 軽い運動・体操も、定期的な運動・スポーツも、週に1回もしていない |
※国立長寿医療研究センター「2020年改定 日本版CHS基準(J-CHS基準)」による、医療機関や研究で使う基準です※4。握力や歩く速さは測って確かめます。
厚生労働省は、フレイルの予防のポイントとして栄養・身体活動・社会参加の3つを挙げています。早めに気づいて取り組めば、フレイルが進むのを防ぎ、健康な状態に戻ることもできるとされています※3。
図5フレイル予防の3つの柱
栄養
バランスのとれた食事を3食しっかり。噛みごたえのある食品や、口の健康(歯みがき・入れ歯の手入れ)にも気を配ります。
身体活動
今より10分多く体を動かすことから。散歩やストレッチなど、続けられることを選びます。
社会参加
趣味やボランティア、仕事、家族や友人との食事。外に出て人と話すことが、予防につながります。
※厚生労働省のパンフレット「食べて元気にフレイル予防」による整理です※3。持病のある方は、食事や運動の内容をかかりつけ医に相談してから始めると安心です。
歯が減ったり、食べる・話すといった口のはたらきが少しずつ衰えたりして、口の機能が落ちる危険が高まっている状態を「オーラルフレイル」と呼びます。改善もできる状態で、全身のフレイルや低栄養を招くと考えられています。2024年に関係する3つの学会が、次の5項目のうち2つ以上に当てはまる場合をオーラルフレイルとする目安を示しました※9。
地域で暮らす高齢者の約4割が当てはまるとされています※9。気になるときは、かかりつけの歯科で相談してみてください。
フレイルと似た言葉に、サルコペニアとロコモ(ロコモティブシンドローム)があります。
| 言葉 | どんな状態か |
|---|---|
| フレイル | 体・心・社会とのつながりの衰えを含む、健康と要介護のあいだの状態※1※2 |
| サルコペニア | 年をとって筋肉の量が減り、筋力や歩く速さなどの体の機能が落ちた状態。フレイルを招く代表的な原因のひとつ※10 |
| ロコモ | 骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害で、立つ・歩くといった移動の機能が落ちた状態。年齢を限らない考え方で、身体的フレイルの中に含まれる※2※11 |
サルコペニアは筋肉、ロコモは運動器に焦点を当てた言葉で、フレイルは心や社会とのつながりまで含むいちばん広い考え方です。どれも、健康で自立して暮らせる期間(健康寿命)を延ばすことをめざしている点は共通しています※11。
フレイルが気になるときの相談先は、主に次の3つです※2。
市区町村は、介護保険法にもとづいて「介護予防・日常生活支援総合事業」を行っています※12。使えるサービスは、状態によって次のように分かれます※8。
図6状態ごとに使える支援
65歳以上の方ならだれでも
地域の通いの場や、介護予防の教室など(一般介護予防事業)。
基本チェックリストに当てはまった方
「事業対象者」として、訪問型・通所型のサービスや、配食・見守りなどの生活支援。要支援の認定は要りません。
要支援1・2の認定を受けた方
上のサービスに加えて、介護予防のサービス(介護予防の訪問看護や、福祉用具のレンタルなど)。
※介護保険法第115条の45と、厚生労働省の総合事業のガイドラインによる整理です※8※12。サービスの中身や費用は、市区町村によって違います。
要支援の状態や使えるサービスは、要支援1とはでもくわしく説明しています。介護保険の認定の受け方は、要介護認定とはをご覧ください。

ひとり暮らしの方は、食事が簡単になりやすく、人と話す機会も減りがちで、フレイルが進みやすい面があります。まずは、配食や見守り、通いの場などで、家での暮らしを支える方法から考えられます。
それでも、転ぶことが増えた、食事の準備が難しくなった、離れて暮らす家族が様子を見に行けない、といった場合は、住まいを見直すのもひとつの方法です。安否確認や食事のあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、介護が必要になる前から入れる住まいもあります。
親の暮らしと、これからの住まいを一緒に考えます
「ひとり暮らしの親が心配。まだ介護は要らないけれど、このままで大丈夫か」——住まいるの相談員は、今の暮らしぶりやご家族の状況をうかがいながら、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、元気なうちから入れる住まいや、見守りのある住まいをお探しします。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
年をとって体や心のはたらき、社会とのつながりが弱くなった状態のことです。健康な状態と、介護が必要な状態のあいだにあたります。早めに気づいて、食事や体を動かすこと、人との交流を見直せば、健康な状態に戻ることもできるとされています。
「おいしく食べられなくなった」「疲れやすく、何をするのもおっくう」「体重が減ってきた」「歩くのが遅くなった」「外出が減った」などが、気づくきっかけになります。筋力の衰えだけでなく、物忘れや気分の落ち込み、人とのつながりが減ることも含まれます。
年齢が上がるほど多くなります。日本の研究をまとめた分析では、65〜69歳では1.9%でしたが、80〜84歳で20.4%、85歳以上では35.1%でした。特に75歳以上で進みやすいとされています。
フレイルには、適切な取り組みや支援で健康な状態に戻りうるという意味が含まれています。早めに気づいて、栄養・身体活動・社会参加を見直すことで、進むのを防いだり、戻ったりすることができるとされています。ただ、体の状態によって違うので、気になるときはかかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみてください。
サルコペニアは、年をとって筋肉の量が減り、筋力や歩く速さなどの体の機能が落ちた状態です。フレイルは、体だけでなく心や社会とのつながりの衰えも含む、もっと広い考え方です。サルコペニアは、フレイルを招く代表的な原因のひとつとされています。
フレイルの手前の段階のことです。研究や医療で使われる基準では、5つの項目のうち1〜2つに当てはまるとプレフレイル、3つ以上でフレイルとされます。プレフレイルの段階から取り組むことが大切とされています。
英語の「frailty(フレイルティ)」の日本語訳です。それまでは「虚弱」などと訳されていましたが、戻りうる状態であることなどを伝えるため、2014年に日本老年医学会が「フレイル」という言葉を使うことを提唱しました。
フレイルの3つの側面のうちの2つです。精神的(精神・心理的)フレイルは、物忘れなど認知機能の衰えや、気分の落ち込みのことです。社会的フレイルは、外出が減ったり、ひとりで暮らすなかで人とのつながりが少なくなったりすることです。
75歳以上の方の後期高齢者医療制度の健診では、2020年度から「後期高齢者の質問票」(15問)が使われています。市区町村や地域包括支援センターで相談すると、「基本チェックリスト」(25問)で今の状態を一緒に確かめられます。歩く速さの低下や体重の減少が気になるときは、かかりつけ医にも相談できます。
栄養(バランスのよい食事を3食とること・口の健康)、身体活動(今より少し多く体を動かすこと)、社会参加(趣味やボランティア、外出)の3つが柱です。持病のある方は、食事や運動の内容をかかりつけ医に相談してから始めると安心です。
歯が減ったり、食べる・話すといった口のはたらきが少しずつ衰えたりして、口の機能が落ちる危険が高まっている状態です。改善もできる状態とされています。「固いものが食べにくくなった」「お茶や汁物でむせる」などが気づくきっかけです。
要支援の認定を受けると、介護予防のサービスが使えます。認定を受けていなくても、地域包括支援センターなどで基本チェックリストに当てはまれば「事業対象者」として、訪問型・通所型のサービスを使えることがあります。65歳以上の方は、住んでいる地域の「通いの場」や介護予防の教室にも参加できます。
フレイルは、年をとって体や心のはたらき、社会とのつながりが弱くなった、健康と要介護のあいだの状態です。体重の減少や疲れやすさ、歩くのが遅くなる、外出が減るといった変化が、気づくきっかけになります。
早めに気づいて、栄養・身体活動・社会参加の3つを見直せば、健康な状態に戻ることもできるとされています。気になるときは、地域包括支援センターに相談すると、基本チェックリストで今の状態を確かめ、通いの場や介護予防のサービスにつないでもらえます。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は、2026年10月時点の公的な資料と学会の資料にもとづいて、介護の相談の立場からまとめたものです。体の状態の判断や治療については、かかりつけ医にご相談ください。
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