COLUMN

介護と住まいのコラム

介護の基礎知識 2026.09.06

親の介護をしたくないと思ったら|その気持ちと、選べる距離の取り方

「親の介護をしたくない」。この言葉で検索される方は、月に1,000人以上いらっしゃいます。介護の情報は、そのほとんどが「引き受けた人が、次にどうするか」を前提に書かれていて、引き受けるかどうかで迷っている段階の話はほとんど出てきません。この記事は、その手前を扱います。介護は「する」か「しない」かの二択ではない、ということを具体的にご説明します。

道しるべの前に立つ娘さんと、遠くの実家のお母様のイラスト

この記事の要点

  • 関わり方には4つの段階があります。情報を持つ/手配する/お金を出す/手を動かす。
  • 世間で「介護をする」と言われているのは、たいてい4つ目だけです。1〜3を担う形も成り立ちます。
  • 手配は離れていてもできます。申請、ケアマネジャーとのやりとりは電話とインターネットでほぼ完結します。
  • ケアマネジャーには「自分は手を動かせない」と先に伝えてください。できないことが分かっているほうが、計画を組み立てやすくなります。
  • 親御さんとの関係がよくない場合は、あいだに第三者を入れる方法があります。

「したくない」と思うのは、特別なことではありません

この言葉で検索される方は、月に1,000人以上いらっしゃいます。同じことを考えながら、誰にも言えずにいる方が、それだけおられるということです。

介護の情報は、そのほとんどが「引き受けた人が、次にどうするか」を前提に書かれています。どう申請するか、どのサービスを使うか、どこの施設を選ぶか。引き受けるかどうかで迷っている段階の話は、ほとんど出てきません。

この記事は、その手前を扱います。「する」か「しない」かの二択で考えなくてよいということを、具体的にご説明します。

この記事で扱わないこと

扶養義務が法律上どうなっているのか、果たさなかった場合にどうなるのかについては、グループの親の介護の義務はどこまで|しないとどうなる?兄弟とお金の分担にまとめています。この記事では法律の話ではなく、現実にどう距離をとるかを扱います。

「したくない」の中身は、4つに分かれます

ひとくちに「したくない」と言っても、理由はさまざまです。ご相談をうかがっていると、おおむね4つに分かれます。

図1「したくない」と思う理由

  • 親との関係がよくない

    これまでのいきさつがあって、近づきたくない。会うと責められる。いちばん多く、いちばん言いにくい理由です。

  • 自分の生活が壊れる

    仕事、子育て、自分の健康。引き受けたら、いま成り立っているものが崩れると分かっている場合です。

  • お金が続かない

    親の年金では足りず、自分が出すことになりそうだが、その余力がない。現実的な理由です。

  • ひとりで抱えることになる

    きょうだいが動かない、配偶者に頼めない。引き受けた瞬間に全部が来ると分かっている場合です。

※4つのうち、2つ目から4つ目はやり方を変えれば動くものです。1つ目だけは別の扱いが要ります(後半でご説明します)。

どれに当てはまるかで、打てる手が変わります。まず、ご自身がどれなのかを見ていただくところからです。

介護のやることリスト|8つの段階

いま何をすべきかが、8つの段階で分かります

やることを見る

「する」か「しない」かの二択ではありません

多くの方が、「引き受ける=同居して身の回りの世話をする」という前提で考えておられます。だから「したくない」と「しないわけにいかない」のあいだで身動きが取れなくなります。

実際には、あいだに段階があります。

図2関わり方には段階があります

  1. 1 情報だけ持つ かかりつけ医、服薬、担当ケアマネジャーの連絡先を把握しておく。会わなくてもできます。
  2. 2 手配だけする 申請や連絡、サービスの手配を担う。電話とインターネットでほぼ完結します。
  3. 3 お金を出す 費用の一部を負担する。距離も時間も要りません。
  4. 4 手を動かす 通院の付き添い、身の回りの世話。ここだけが、近くにいることを必要とします。

※世間で「介護をする」と言われているのは、たいてい4のことです。1〜3だけを担うという形も、成り立ちます。

ご自身がどこまでなら持てるかを決めて、そこから先は人に渡す。これが現実的な落としどころになります。全部を引き受けるか、まったく関わらないか、ではありません。

離れて暮らす娘さんとお母様が電話でつながっているイラスト
距離の取り方は、ご家庭ごとに違っていて構いません

手を出さずに関わる方法

図2の1〜3を、もう少し具体的に書きます。

  • 情報だけ持つ:親御さんの主治医、飲んでいる薬、入院歴、加入している保険。1枚にまとめておくだけで、いざというとき動けます。会いに行かなくても、電話で聞き取れます。
  • 手配だけする:地域包括支援センターへの連絡、要介護認定の申請、ケアマネジャーとのやりとり。これらは離れていてもできます。実際に、遠方から手配だけを担っておられる方は少なくありません。
  • お金を出す:介護保険の自己負担、おむつ代、配食。金額を決めて振り込む形にすれば、それ以上は関わらずに済みます。

この3つを担ったうえで、実務は介護保険のサービスに任せる。これは「介護をしていない」ことにはなりません。むしろ、手を動かす人と手配する人が分かれているほうが、長く続きます。

ケアマネジャーに伝えておくこと

「自分は手を動かせない」と、はじめに伝えておいてください。言いにくく感じられるかもしれませんが、できないことが分かっているほうが、サービスを組み立てやすくなります。できるつもりで組んだ計画が途中で崩れるほうが、ご本人にとっての影響は大きくなります。

親と物理的に距離をとる

顔を合わせる回数そのものを減らすことも、選択肢のひとつです。介護保険のサービスは、そのためにも使えます。

  • 在宅サービスを入れる:訪問介護や通所を使えば、ご自身が行かない日をつくれます。
  • 泊まりを使う:数日単位で預かってもらう仕組みがあります。距離を置く時間を、制度としてつくれます。
  • 住まいを移す:同居をやめる、施設に移る。関係が近すぎることが負担の原因になっている場合、これがいちばん確実な方法になることがあります。

3つ目については、老人ホームの探し方|どこに相談し、何から始めるかと老人ホームの費用相場と内訳|入居一時金・月額費用と軽減制度をご覧ください。費用の見通しが立たないまま考え続けるより、いくらかかるのかを先に知るほうが、判断は進みます。

「手を動かせないのですが、相談していいですか」

構いません。手配とお金だけを担う形でも、介護は成り立ちます。相談員は、ご自身がどこまでなら持てるかをうかがったうえで、そこから先を誰に渡せるかをご提案します。関係が難しい場合の間の取り方もご相談ください。ご相談は何度でも無料です。

実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。

無料でご相談する

親との関係がよくない場合

ここがいちばん難しい理由です。そして、いちばん相談されにくい理由でもあります。

過去に何があったかは、ご家庭ごとに違います。私たちがうかがってきたなかにも、会うだけで体調を崩されるという方がおられました。それは気持ちの問題ではなく、実際に起きていることです。

この場合、無理に距離を縮めることをおすすめしていません。有効なのは、あいだに第三者を入れることです。

  • ケアマネジャーを窓口にする:親御さんとのやりとりを、直接ではなくケアマネジャー経由にします。
  • 地域包括支援センターに事情を伝えておく:関係が難しいことを共有しておくと、連絡の取り方を配慮してもらえます。
  • 手配とお金だけを担う:図2の1〜3にとどめて、会う場面をつくらない形です。

「親子なのだから」という言葉に、縛られなくて大丈夫です。関わり方の形は、関係の質によって変えてよいものです。

それでも動けないときに、まず連絡する先

何をすればよいか分かっていても、動けないことがあります。そういうときは、ご自身が動かなくても進む仕組みに預けてください。

  • 地域包括支援センター:親御さんがお住まいの地域にあります。ご家族からの電話で構いません。「離れていて、あまり関われないのですが」と最初に伝えていただいて大丈夫です。無料です。
  • すでにケアマネジャーがついている場合は、その方へ:状況が変わったことを伝えるだけで、計画を組み直してもらえます。
  • 私たちの無料相談:住まいを移すかどうかが決まっていない段階でも、お話をうかがっています。何から手をつければよいかを一緒に整理するところからで構いません。

連絡した時点で、ひとりで抱えている状態ではなくなります。そこから先は、専門職が動かせる部分のほうが大きいと考えていただいて差し支えありません。

よくあるご質問

親の介護をしたくないと思うのは、おかしいことでしょうか

この言葉で検索される方は月に1,000人以上いらっしゃいます。理由もさまざまで、親御さんとの関係、ご自身の仕事や生活、費用、ひとりで抱えることになるという見通し。どれも現実的な理由です。介護の情報のほとんどが「引き受けた人が次にどうするか」を前提に書かれているため、迷っている段階の話に出会いにくいというだけのことです。

手を動かさずに関わるというのは、具体的にどういうことですか

情報を持つ、手配する、お金を出すの3つです。親御さんの主治医や服薬を把握しておく、地域包括支援センターへの連絡や要介護認定の申請をする、費用の一部を負担する。いずれも離れていてもできます。実務は介護保険のサービスに任せる形です。手を動かす人と手配する人が分かれているほうが、結果として長く続きます。

親との関係がよくありません。それでも関わらないといけませんか

無理に距離を縮めることはおすすめしていません。会うだけで体調を崩されるという方も、実際にいらっしゃいます。有効なのは、あいだに第三者を入れることです。ケアマネジャーを窓口にして直接のやりとりを減らす、地域包括支援センターに事情を伝えて連絡の取り方を配慮してもらう、手配とお金だけを担って会う場面をつくらない。関わり方の形は、関係の質によって変えていただいて構いません。

ケアマネジャーに「手伝えない」と言ってもいいのでしょうか

はじめに伝えていただくほうが助かります。できないことが分かっているほうが、サービスを組み立てやすくなるためです。できるつもりで組んだ計画が途中で崩れると、ご本人の生活に影響が出ます。言いにくく感じられるかもしれませんが、ケアマネジャーにとっては前提を確かめる大切な情報です。

何をすればいいか分かっていても、動けません

ご自身が動かなくても進む仕組みに預けてください。親御さんがお住まいの地域の地域包括支援センターに、ご家族から電話していただけます。「離れていて、あまり関われないのですが」と最初にお伝えいただいて構いません。無料です。すでにケアマネジャーがついている場合は、状況が変わったことを伝えるだけで計画を組み直してもらえます。

まとめ

介護は「全部を引き受ける」か「まったく関わらない」かの二択ではありません。情報を持つ・手配する・お金を出す・手を動かすの4段階があり、ご自身が持てるところまでを決めて、そこから先は人に渡すという形が成り立ちます。

手配は離れていてもできます。実務は介護保険のサービスが担えます。手を動かす人と手配する人が分かれているほうが、長く続きます。

親御さんとの関係がよくない場合は、あいだに第三者を入れてください。「親子なのだから」という言葉で、ご自身を追い込む必要はありません。

何から手をつければよいか分からないときは、私たちの無料相談もお使いいただけます。老人ホームの探し方のように住まいを移す話に限らず、いまの状況をどう整理するかからご相談いただけます。

この記事の監修者

相談員 K.C

東急ウェルネス株式会社

老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事
  • 児童福祉司
  • ホームヘルパー2級

福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。

本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら

出典・参考

  • 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」(介護・看護を理由とする離職者数)
  • 厚生労働省「2022年(令和4年)国民生活基礎調査」(同居の主な介護者の介護時間と悩み・ストレスの状況)
  • 厚生労働省「介護保険制度における居宅サービスの区分支給限度基準額」
  • 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html)

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。ご利用いただけるサービスの種類や量は、要介護度・お住まいの地域・ケアプランの内容によって異なります。実際のご利用にあたっては、ご担当のケアマネジャーまたはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。入居までの期間は施設の空室状況によって変わります。

ご相談無料

お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。

電話でのお問い合わせは

フリーダイヤル 0120-658-109

受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)

1分でカンタン!

無料相談フォーム

ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ

担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。

ページの先頭へ