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きょうだいが何人いても、介護の負担は等分になりません。近くにいる人、時間の融通がきく人、最初に動いた人に、すべてが寄っていきます。「もっと手伝ってほしい」と伝えても動かないのは、何を頼まれているのかが分からないからです。この記事では、介護の負担を4つに分けたうえで、遠くにいるきょうだいへの切り出し方を、そのまま使える言い方とあわせてご説明します。
この記事の要点
目次
きょうだいが何人いても、介護の負担は等分になりません。近くにいる人、時間の融通がきく人、そして最初に動いた人に、すべてが寄っていきます。
これは、ほかのきょうだいが冷たいから起きているとはかぎりません。実際には、次のようなことが重なって起こります。
とくに3つ目が大きく効きます。離れているきょうだいは、悪気なく「まだ大丈夫そうだ」と思っています。実際に起きていることを見ていないからです。ここを埋めないまま「察してほしい」と待っていると、状況は変わらないまま時間だけが過ぎます。
この記事で扱わないこと
扶養義務が法律上どうなっているか(民法の定め、しなかった場合どうなるか)については、グループの親の介護は義務なのか|民法877条と、しないとどうなるかにまとめています。この記事では、法律ではなく、実際にどう分けるかを扱います。
「もっと手伝ってほしい」と伝えても、たいてい動きません。何を頼まれているのかが分からないからです。
介護の負担は、ひとかたまりに見えて、実は4種類あります。ここを分けると、遠くにいる人にも渡せるものが見つかります。
図1分けられるものは、4つあります
実務
通院の付き添い、買い物、施設への訪問。近くにいないとできないものです。ここだけを見ていると「分けられない」という結論になります。
お金
介護保険の自己負担、おむつ代、施設費用。距離に関係なく分担できます。いちばん渡しやすい部分です。
意思決定
施設に移るか、手術を受けるか。ひとりで背負うと重すぎるものです。決めるところに加わってもらうだけでも変わります。
情報の管理
薬の内容、次の受診日、ケアマネジャーとのやりとり。離れていても引き受けられます。共有の記録をつくるところから頼めます。
※「実務」以外の3つは、遠くにいても担えます。まずここを渡すところから始まります。
紙に書き出して、いま誰が何をしているかを埋めてみてください。多くの場合、4つとも同じ人の名前が入ります。それを見せることが、次の話の出発点になります。
感情から入ると、たいてい話がこじれます。「私ばかり大変」「そっちは何もしてくれない」は事実であっても、受け取る側は責められたと感じ、防御に回ります。
起きていることを、数字で伝えるところから始めてください。
図2切り出しの順番
※2の「具体的に頼む」で止まってしまう方が多くいらっしゃいます。中身を決めるのは、お願いする側の仕事だとお考えください。
そのまま使える言い方
「お願いできませんか」という形にすると、断られたときに関係が壊れにくくなります。断られた場合も、その時点で「頼んだ/断られた」という事実が残ります。あとで話し合うときの材料になります。
お金の話は切り出しにくいのですが、いちばん分けやすく、いちばん不公平が減る部分です。
ここで「相場はいくらですか」と聞かれることがよくあります。ただ、相場から入ると話がまとまりません。ご家庭によって、かかっている金額も、それぞれの収入も違うためです。
相場ではなく、実際にかかっている金額を見せてください。
1か月分を書き出すと、たいていご本人の年金で足りているか足りていないかが分かります。足りていない分をどう埋めるか、という話にすると、感情の話になりにくくなります。
親御さんのお金から出すという考え方
介護の費用は、まずご本人の年金と預貯金から出すのが基本です。ご家族が持ち出す前に、ご本人の資産で足りるかどうかを確かめるところから始めてください。足りない場合の負担割合の軽減制度もあります。介護保険の負担割合|1割・2割・3割になる年収の基準と負担割合証と高額介護サービス費とは|対象・上限額・申請方法をわかりやすく解説をご覧ください。
きょうだいで話すと、どうしても過去の話になりがちです。「昔から親はあなたに甘かった」「私は進学のとき援助してもらっていない」。介護の話をしているつもりが、家族の歴史の話に変わってしまいます。
そうなったときは、第三者に入ってもらうのが早道です。
「身内の問題を外に出すのは」とためらわれる方もいらっしゃいますが、専門職にとっては日常的にある相談です。珍しいことではありません。
「きょうだいに、どう切り出せばいいですか」
負担の偏りは、切り出し方でこじれることがあります。相談員は、実務・お金・意思決定・情報のどれを渡せそうかを一緒に整理し、伝え方までご一緒します。第三者から話したほうが進む場面もあります。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
そもそも分ける相手がいないというご相談も、少なくありません。この場合、考え方が変わります。
図3分ける相手がいるかどうかで、やることが変わります
きょうだいがいる
実務以外の3つ(お金・意思決定・情報)を渡すところから始めます。渡す相手を探す必要がありません。
一人っ子
家族の外に渡します。サービスと専門職が、きょうだいの代わりです。費用はかかりますが、そのために介護保険があります。
一人っ子の方にとって重いのは、実務の量より意思決定をひとりで背負うことだと、私たちは感じています。施設に移すかどうか、手術を受けるかどうか。相談する相手がいないまま決め、あとで「あれでよかったのか」と抱え続けることになります。
ここは、ケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに「決めるところに立ち会ってほしい」と頼んでよい部分です。決めるのはご家族でも、判断材料をそろえるのは専門職の仕事です。ひとりで調べてひとりで決める必要はありません。
配偶者の親の介護を、当然のように任されているというご相談もあります。
まず事実として、子の配偶者に法律上の扶養義務は原則としてありません。義務を負うのは実子のほうです。この点は親の介護は義務なのかで詳しくご説明しています。
そのうえで、実務的にはこう考えてみてください。担っているのが自分でも、話し合いの当事者は配偶者です。実子であるご主人・奥様に、きょうだいと話してもらう形にするほうが、話は動きます。担っている側が直接交渉すると、「よその家の人が口を出す」という受け取られ方をされることがあるためです。
実際にやっていることを、まず配偶者に数字で伝えるところからになります。図2の順番は、そのまま使えます。
「手伝って」という頼み方になっていないか、一度確かめてみてください。受け取る側は、何をどれだけ求められているのかが分からないと動けません。「おむつ代を月1万円お願いしたい」「月に1回、日曜の付き添いをお願いしたい」というように、金額・頻度・期限まで決めて頼むと、返事が変わることがあります。それでも動かない場合は、ケアマネジャーに同席してもらう形で話す方法があります。
相場から入ると話がまとまりにくくなります。ご家庭によって、かかっている金額もそれぞれの収入も違うためです。まず1か月にいくらかかっているかを書き出し、ご本人の年金と預貯金で足りるかどうかを確かめてください。介護の費用は、ご家族が持ち出す前にご本人の資産から出すのが基本です。足りない分をどう埋めるか、という話にすると感情の話になりにくくなります。
家族の外に渡すことになります。実務は介護保険のサービスで、意思決定はケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーと一緒に、という形です。一人っ子の方にとって重いのは実務の量より、施設に移すかどうかといった判断をひとりで背負うことだと感じています。決めるところに立ち会ってほしい、と専門職に頼んでいただいて構いません。
子の配偶者に法律上の扶養義務は原則としてありません。義務を負うのは実子のほうです。そのうえで実務的には、担っているのがご自身でも、きょうだいとの話し合いの当事者は配偶者だとお考えください。実子であるご主人・奥様から話してもらうほうが、話は動きます。まずは実際にやっていることを、配偶者に数字で伝えるところからになります。
よくあることです。介護の話をしているつもりが、家族の歴史の話に変わってしまいます。そうなったときは、当事者だけで話すのをいったんやめて、第三者に入ってもらうのが早道です。ケアマネジャーの担当者会議にきょうだいも呼ぶ、地域包括支援センターに相談する、私たちのような相談窓口を使う。外の人間が事実を説明すると、感情が入りにくくなります。
「私ばかり」は、きょうだいが冷たいから起きているとはかぎりません。離れている側には、何がどれだけ大変なのかが見えていないという事情が、たいてい重なっています。
ですから、まず見えるようにするところからです。介護の負担を実務・お金・意思決定・情報の4つに分け、いま誰が何をしているかを書き出す。そのうえで、実務以外の3つを数字で頼みます。
断られることもあります。それでも、頼んだという事実は残ります。ひとりで抱えたまま我慢を続けるより、次の手が打ちやすくなります。
話し合いが動かないときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに入ってもらう方法があります。身内の問題を外に出すことは、専門職にとっては日常的にある相談です。私たちの無料相談でも、ご家族間の分担のご相談をうかがっています。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。ご利用いただけるサービスの種類や量は、要介護度・お住まいの地域・ケアプランの内容によって異なります。実際のご利用にあたっては、ご担当のケアマネジャーまたはお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。入居までの期間は施設の空室状況によって変わります。
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