お問い合わせ 受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)
「最近、親がやせて、ペットボトルのふたが開けにくそう」「つまずくことが増えた」。そんな変化の背景にあるかもしれないのが、サルコペニア(年をとって筋肉の量が減り、筋力や体の機能が落ちた状態)です。この記事では、家でできる指輪っかテスト、2025年に示された新しい診断の基準、フレイル・ロコモとの違い、原因と起きやすいこと、予防の運動と食事、相談先を、国や学会の資料をもとにまとめました。

この記事の要点
目次
サルコペニアは、高齢になるにともなって筋肉(骨格筋)の量が減り、筋力や体の機能が落ちた状態のことです※1。ギリシャ語で筋肉を表す「sarx(サルクス)」と、喪失を表す「penia(ペニア)」を組み合わせた言葉で、1989年に提唱されました※2。2016年には、米国の疾病分類(ICD-10-CM)にサルコペニアの病名のコードができ、病気のひとつとして扱われるようになっています※18。
2025年11月には、日本を含むアジアの専門家による新しい診断の基準(AWGS 2025)が示され、日本サルコペニア・フレイル学会も、これからの診断にはこの基準を使うよう呼びかけています。新しい基準では、診断は「筋肉の量」と「筋力(握力)」の2つで行い、歩く速さなどの体の機能は、結果としてみる扱いになりました※3。くわしくは医療機関での診断でご説明します。
サルコペニアと似た言葉に、フレイルとロコモ(ロコモティブシンドローム)があります。どれも、年をとって体が弱っていくことに関わる言葉ですが、見ているところが違います。
図1サルコペニア・ロコモ・フレイルの違い
サルコペニア
筋肉の量が減り、筋力や体の機能が落ちた状態。筋肉という体の一部に焦点を当てた言葉です。
ロコモ
骨・関節・筋肉などの運動器の障害で、立つ・歩くといった移動の機能が落ちた状態。サルコペニアも原因のひとつです。
フレイル
体だけでなく心や社会とのつながりも含めて、心身が弱った状態。いちばん広い考え方です。
※日本人の食事摂取基準(2025年版)、日本医学会連合の宣言の解説、日本整形外科学会の資料によります※7※13。
国の食事摂取基準では、サルコペニアは「フレイルを招く代表的な病気」と位置づけられていて、2つはお互いに影響し合うとされています※7。筋肉が減ると疲れやすくなって動く量が減り、お腹がすかずに食べる量も減って、さらに筋肉が減る、という悪い循環が起こりやすくなります。フレイルの3つの側面やチェックの方法は、フレイルとはでまとめています。
いちばん大きな原因は年をとることですが、診療ガイドラインは、活動不足、病気、栄養不良も危険な要因に挙げています※2。原因によって、次の2つに分けて考えます。
「何が不足するとなるのか」でいえば、何か1つの栄養素ではなく、主に「動かないこと」と「食べる量、とくにたんぱく質やエネルギーが足りないこと」が重なって進みます。国の食事摂取基準は、たんぱく質の不足がフレイルやサルコペニアの危険を高めると考えられること、ビタミンDの不足も筋肉や骨のはたらきに悪い影響があると考えられることを示しています※7。筋肉の量は、25〜30歳ごろから少しずつ減り始め、生涯を通して減っていくとされています※1。
サルコペニアは、ゆっくり進むため、本人も家族も気づきにくいものです。久しぶりに会ったときなどに、次のような変化がないか見てみてください。
図2家族が気づきやすいサイン
※サルコペニアの質問票(SARC-F)と、国の基本チェックリストの運動の項目をもとに、家族が気づきやすい形にまとめました※2※15。当てはまっても、サルコペニアと決まるわけではありません。
見た目がやせていなくても、安心とは限りません。体の脂肪が多く筋肉が少ない「サルコペニア肥満」もあり、肥満だけの場合より、死亡やフレイルにつながりやすいとされています※7。
家で手軽にできるのが指輪っかテストです。東京大学高齢社会総合研究機構の研究グループが考えた方法で、ふくらはぎのいちばん太い所が、自分の指でつくった輪より太いか細いかを見ます※5。
図3指輪っかテストのやり方と、結果の見方
囲めない
ふくらはぎのほうが太い。筋肉の量は保たれていると考えられます。
ちょうど囲める
サルコペニアの危険は、囲めない人の約2.4倍と報告されています。
隙間ができる
サルコペニアの危険は約6.6倍。早めにかかりつけ医などに相談を。
※倍率は、地域に住む高齢者1,904人を調べた研究で、「囲めない」人と比べたものです(オッズ比)※5。姿勢は、厚生労働省のサイトに載っている研究班の資料によります※6。指輪っかテストは目安で、診断ではありません。
この研究では、隙間ができた人は、囲めない人に比べて、のちに介護保険のサービスが必要になる危険が2.0倍、亡くなる危険が3.2倍でした※5。日本の診療ガイドラインも、指輪っかテストを「スクリーニング(危険の高い人に気づくための方法)として有用」としていて※2、2025年の新しい診断の基準でも、評価に進むきっかけのひとつに挙げられています※3。
サルコペニアかどうかは、医療機関で握力と筋肉の量を測って判断します。2025年の新しい基準(AWGS 2025)の主な数字は、次のとおりです※3。

※表は横にスクロールできます
| 65歳以上 | 50〜64歳 (2025年に新設) | |
|---|---|---|
| 握力が低い | 男性28kg未満 女性18kg未満 | 男性34kg未満 女性20kg未満 |
| 筋肉の量が少ない (DXA法) | 男性7.0kg/㎡未満 女性5.4kg/㎡未満 | 男性7.2kg/㎡未満 女性5.5kg/㎡未満 |
| 筋肉の量が少ない (BIA法) | 男性7.0kg/㎡未満 女性5.7kg/㎡未満 | 男性7.6kg/㎡未満 女性5.7kg/㎡未満 |
| 診断 | 筋肉の量が少なく、かつ握力が低い=サルコペニア | |
※日本サルコペニア・フレイル学会「新しいサルコペニアの診断基準(AWGS 2025)のお知らせ」(2025年12月5日の修正版)によります※3。筋肉の量は、手足の筋肉の量を身長の2乗で割った値です(体格を考えた別の測り方もあります)。医療機関で使う基準で、家庭の体組成計の数値で判断するためのものではありません。
2019年の基準(AWGS 2019)では、歩く速さ(秒速1.0m未満)や、椅子からの5回の立ち上がり(12秒以上)も診断に使い、筋肉の量・筋力・体の機能のすべてが落ちた状態を「重症サルコペニア」と呼んでいました※4。2025年の基準では、歩く速さなどは診断には使わず、見通しや運動の効果を見るために測る扱いになり、重症の区分はなくなりました※3。かかりつけ医や地域では、握力が低いと分かった段階で「サルコペニアの可能性あり」として、生活習慣の見直しをすすめることもあります※3※4。
日本の地域に住む65歳以上の方を調べた研究をまとめた解析では、サルコペニアの方は約1割(9.9%)でした※10。2019年の基準を使った日本の研究では、男性11.5%・女性16.7%で、年齢とともにはっきり増え、80歳以上では男性の約3人に1人、女性の約半数でした※9。
図4年齢別のサルコペニアの割合(2019年の基準)
※群馬県草津町と埼玉県鳩山町の健診に参加した65歳以上の1,851人を、2019年の基準(AWGS 2019)で調べた研究によります※9。地域や調べ方によって割合は変わります。棒の右端は50%です。
診療ガイドラインは、サルコペニアのある方は転倒、骨折、フレイルになる危険が高いとしています※2。世界の研究をまとめた解析では、サルコペニアのある方は、ない方に比べて、転ぶ危険が約1.9倍、骨折する危険が約1.7倍でした(追跡した研究)※11。日本の研究では、平均で約6年追った結果、サルコペニアの方は、介護保険の認定を受ける危険が男性で約1.6倍・女性で約1.7倍、亡くなる危険が男性で約2.0倍・女性で約2.3倍でした※9。
国の調査では、介護が必要になった主な原因のうち「骨折・転倒」が14.6%を占め、3番目に多くなっています(2025年)※12。筋肉が減ると、のみこむ力が落ちて食事がとりにくくなる「サルコペニアの摂食嚥下障害」が起きることもあります※2。むせることが増えたときも、かかりつけ医に相談してみてください。
サルコペニアの予防と改善の柱は、運動(とくに筋力トレーニング)と、たんぱく質をとる食事です。どちらか一方より、組み合わせたほうが効果的とされています※1※2。
図5サルコペニアの予防と改善の3つの柱
筋力トレーニング
週2〜3日。椅子を使ったスクワットなど、自分の体重を使う運動から。
たんぱく質をとる食事
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、毎食に少しずつ。食べる量そのものを減らさない。
外に出て、体を動かす
歩くなどの活動を1日40分以上。通いの場や体操の教室に参加するのも一案です。
※健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023と、日本人の食事摂取基準(2025年版)によります※7※8。持病のある方や、腰やひざに痛みのある方は、かかりつけ医に相談してから始めると安心です。
国の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、高齢の方に、筋力トレーニングを週2〜3日、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上、歩くなどの活動を1日40分以上(約6,000歩)すすめています。自分の体重を使う腕立て伏せやスクワットも筋力トレーニングに入ります※8。2025年に出た研究班の指針も、サルコペニアの予防に、筋力トレーニング(を含む運動)を強くすすめています※17。ガイドは、筋肉は年齢にかかわらず鍛えることができるとしています。

国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上のたんぱく質の推奨量は1日に男性60g・女性50gです。そのうえで、高齢の方では、推奨量より多め(体重1kgあたり1.2g以上)にとるほうが、フレイルやサルコペニアの予防につながる可能性があるとしています※7。診療ガイドラインは、適正な体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質をすすめています※2。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、1日3回の食事に分けてとるのがコツです。食が細くなった方は、朝食に卵や納豆、牛乳を足すなど、無理のない形から始めてみてください。ただし、腎臓の病気などで、たんぱく質を控えるよう言われている方は、量を自己判断で増やさず、医師や管理栄養士に相談してください※7。
「治る」と言い切れる段階ではありませんが、診療ガイドラインは、サルコペニアの方への運動に筋肉の量や筋力、歩く速さを改善する効果があるとして、運動と栄養の組み合わせをすすめています。一方で、長い目で見た効果はまだはっきりしていないとしています※2。続けられる運動と食事を、早めに暮らしに取り入れることが大切です。
親の筋肉の衰えが気になったら、まずかかりつけ医に相談します。握力や筋肉の量を測って診断できる医療機関を紹介してもらえることがあります。介護予防の支えを探すなら、地域包括支援センターが窓口です。
地域包括支援センターの役割と相談の仕方は、地域包括支援センター(包括)とはをご覧ください。
体が弱ってきた親の、これからの住まいを一緒に考えます
「ひとり暮らしの親が転ばないか心配」「機能訓練に力を入れている老人ホームを知りたい」——住まいるの相談員は、親御さんの体の状態や暮らしぶりをうかがいながら、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、ご本人に合う住まいを一緒にお探しします。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
年をとって筋肉の量が減り、筋力や体の機能が落ちた状態のことです。ギリシャ語で筋肉を表す「sarx(サルクス)」と、喪失を表す「penia(ペニア)」を組み合わせた言葉で、1989年に提唱されました。
サルコペニアは、筋肉という体の一部に焦点を当てた言葉です。フレイルは、体だけでなく心や社会とのつながりの衰えも含む、もっと広い考え方です。サルコペニアは、フレイルを招く代表的な原因のひとつとされています。
いちばん大きな原因は年をとることですが、体を動かさないこと(活動不足)と、食べる量、とくにたんぱく質やエネルギーの不足が重なると進みやすくなります。ビタミンDの不足も、筋肉や骨のはたらきに悪い影響があると考えられています。病気が原因になることもあります。
手足、とくにふくらはぎが細くなることが多く、指輪っかテストの目安にもなっています。ただし、太っていても筋肉が少ない「サルコペニア肥満」もあり、見た目がやせていないから大丈夫とは言えません。
椅子に座り、両手の親指と人差し指で輪をつくって、利き足でない方のふくらはぎのいちばん太い所を軽く囲みます。「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」の3つで見ます。ちょうど囲める・隙間ができる方は、サルコペニアの危険が高いと報告されています。
サルコペニアと決まるわけではありません。指輪っかテストは、危険が高い人に気づくための目安(ふるい分け)です。診断は、医療機関で握力や筋肉の量を測って行います。隙間ができた方は、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみると安心です。
年齢とともに増えます。日本の研究では、65〜69歳では男性3.7%・女性6.6%でしたが、80歳以上では男性32.4%・女性47.7%でした。筋肉の量は若いうちから少しずつ減り始めるとされています。
「治る」と言い切れる段階ではありませんが、運動(とくに筋力トレーニング)と食事の見直しで、筋肉の量や筋力の改善が期待できます。診療ガイドラインも運動と栄養の組み合わせをすすめています。筋肉は、年齢にかかわらず鍛えることができます。
国の指針では、高齢の方に、筋力トレーニングを週2〜3日、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上、歩くなどの活動を1日40分以上(約6,000歩)すすめています。椅子を使ったスクワットなど、自分の体重を使う運動も筋力トレーニングになります。
国の食事摂取基準では、65歳以上の推奨量は1日に男性60g・女性50gです。高齢の方では、推奨量より多め(体重1kgあたり1.2g以上)にとるほうが、サルコペニアの予防につながる可能性があるとされています。腎臓の病気などでたんぱく質を控えるよう言われている方は、医師に相談してください。
まずは、かかりつけ医に相談します。握力や筋肉の量を測って診断できる医療機関を紹介してもらえることがあります。介護予防の教室や体操の場を探したいときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談できます。
サルコペニアという病名だけでは決まりませんが、日常生活に支えが必要になれば、要介護認定を受けて介護保険のサービスを使えます。要支援の方や、基本チェックリストで対象になった方は、市区町村の短期集中予防サービスなどを使えることがあります。要介護の方は、デイサービスやデイケアの機能訓練も選択肢になります。
サルコペニアは、年をとって筋肉の量が減り、筋力や体の機能が落ちた状態です。年齢とともに増え、転倒や骨折、介護が必要になることにつながります。家では指輪っかテストやふくらはぎの太さで目安がわかり、診断は医療機関で握力と筋肉の量を測って行います(2025年の新しい基準)。
予防と改善には、筋力トレーニングと、たんぱく質をとる食事の組み合わせが大切です。フレイルを招く代表的な原因でもあるので、気になる変化があれば、かかりつけ医や地域包括支援センターに早めに相談してみてください。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は、2026年11月時点の公的な資料と学会の資料、研究の報告にもとづいて、介護の相談の立場からまとめたものです。診断や治療、運動や食事の内容については、かかりつけ医にご相談ください。
お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。
ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ
担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。