お問い合わせ 受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)
「入院先で、医師から胃ろうをすすめられた」「胃ろうになった親が、退院後にどこで暮らせるか知りたい」。そんなときに知っておきたいのが、胃ろう(おなかから胃に小さな通り道をつくり、管で栄養を入れる方法)のことです。この記事では、胃ろうのしくみと、鼻からの経管栄養などとの違い、カテーテルの種類と交換、入浴や口から食べる練習、費用、受け入れる施設の割合と探し方を、2026年の公的な資料をもとにまとめました。

この記事の要点
目次
胃ろう(胃瘻)は、口から十分に食事をとれない方のために、おなかの皮膚から胃まで小さな通り道(瘻孔)をつくり、そこに入れた管(カテーテル)から栄養を入れる方法です。内視鏡を使ってつくる方法が一般的で、正式には「経皮内視鏡的胃瘻造設術」、英語の頭文字から「PEG(ペグ)」とも呼ばれます※1。
つくる手術は内視鏡で行い、入院の期間は病院や体の状態によって違います。国立病院機構 四国がんセンターの患者向けの案内では、入院は約1週間の予定とされています※13。
2026年度の診療報酬のルールでは、胃ろうをつくる病院は、本人や家族に、胃ろうが必要な理由や管理の方法に加えて、閉じるときに求められる体の状態なども説明することになっています※5。胃ろうは、つくったら一生続けるものとは限らず、口から食べる力が戻れば、やめることもできる方法です。
管を使って胃や腸に栄養を入れることを「経管栄養」といいます。胃ろうのほかに、鼻から管を通す方法や、腸に入れる方法があります。点滴で太い静脈に栄養を入れる中心静脈栄養は、胃や腸を使わない別の方法です※17。

※表は横にスクロールできます
| 方法 | 栄養を入れる通り道 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 鼻からの経管栄養(経鼻経管栄養) | 鼻から胃(または腸)まで管を通す | 手術がいらない一方、のどに管があるため、口から食べる練習がしにくい |
| 胃ろう | おなかから胃へ通り道をつくる | 鼻の管に比べて苦痛や介護の負担が少なく、口から食べる練習もしやすい※1 |
| 腸ろう | おなかから腸へ通り道をつくる | 胃ではなく、腸に直接栄養を入れる |
| 中心静脈栄養 | 太い静脈に入れたカテーテルから点滴で入れる | 胃や腸を使わない。点滴の管理が必要 |
どの方法かによって、受け入れられる施設の数も大きく変わります。国の調査では、胃ろう・腸ろうの栄養管理に対応できる特別養護老人ホーム(特養)は84.1%でしたが、鼻からの経管栄養は26.9%、中心静脈栄養は4.9%でした※9。くわしくは施設の種類ごとの受け入れでご説明します。
胃ろうのカテーテルは、胃の中で抜けないように止める部分の形と、体の外に出ている部分の形で、組み合わせて4つのタイプに分かれます※1。
図1胃ろうのカテーテルの形
バルーン型(胃の中)
風船のような形で止めます。水を抜いて出し入れするので交換がしやすい一方、風船が破れて早めの交換になることがあります。
バンパー型(胃の中)
かたい形で止めます。抜けにくく、交換までの期間が長い一方、交換のときに痛みや圧迫感があることがあります。
ボタン型(体の外)
体の外の部分が小さく、目立たず、引っぱって抜いてしまうことが少ない形です。指先で開け閉めしにくいことがあります。
チューブ型(体の外)
体の外に管が出ていて、栄養の管とつなぎやすい形です。引っぱって抜けやすく、管の中が汚れやすい面があります。
※NPO法人PDNの説明をもとにまとめました※1。どの形にするかは、体の状態や暮らし方に合わせて医師が決めます。
カテーテルは、定期的に交換します。保険のルールでは、バンパー型の交換用カテーテルは4か月に1回まで算定できると決められています※6。実際には、バンパー型は6か月ごと、バルーン型は1〜2か月ごとに交換している医療機関が多いとされています※3。
交換は麻酔をせずに行え、外来でも在宅でもできることが多い処置で、交換したその日から食事も入浴もできます※2。新しいカテーテルが胃の中に正しく入ったかを確かめることが、交換でいちばん大切な点です※3。
2026年度の診療報酬のルールでは、胃ろうをつくった病院がほかの病院や施設に紹介するときは、飲み込みの評価の結果や、飲み込みの訓練の内容、合った食事の形などを伝えることになっています※5。施設に移ったあとも、口から食べる練習を続けられるかは、施設を選ぶときに確かめたい点のひとつです。介護保険施設には、経管栄養の方が口から食べることに移るための取り組みを評価する「経口移行加算」がありますが、算定している特養は0.9%にとどまります※9。
胃ろうをつくる手術は、医療保険が使えます。2026年度の診療報酬では、胃瘻造設術は6,570点(1点10円で65,700円)で、つくる前に飲み込みの検査をした場合は2,500点が加わります。決められた届出をしていない病院では、それぞれ80%の点数になります※4。これに入院や検査、薬などの費用が加わり、窓口では年齢や所得に応じて1〜3割を払います。
※表は横にスクロールできます
| かかる費用 | 使える保険 | 目安・決まり |
|---|---|---|
| 胃ろうをつくる | 医療保険(高額療養費も使える) | 胃瘻造設術 6,570点+入院・検査など |
| カテーテルの交換 | 医療保険 | 交換の手技 200点+カテーテルの材料の費用 |
| 栄養剤(医薬品) | 医療保険(医師の処方が必要) | 窓口の負担の割合で払う |
| 栄養剤(食品) | 保険は使えない | 入院中は食事として出る。外来・在宅では全額自己負担 |
| 施設での流動食 | ― | 食費に含まれるか、別にかかるかは施設に確かめる |
ひと月の医療費が高くなったときは、高額療養費制度で自己負担に上限があります。たとえば70歳以上で年収が約370万円までの方は、2026年8月からの外来と入院を合わせた世帯の上限がひと月61,500円です※12。くわしくは、高額療養費制度とはをご覧ください。
胃ろうから入れる栄養剤には、医薬品と食品があり、成分に大きな違いはありません。医薬品は医師の処方が必要で保険が使え、食品は入院中は食事として出されますが、外来や在宅では全額自己負担になります※14。2026年度の改定では、外来や在宅での栄養を目的とした医薬品の処方が原則として保険の対象外になりましたが、経管栄養の方は、その旨を処方箋に書くことで、引き続き保険で処方を受けられます※4。
2026年11月の国の審議会の資料(2025年度の調査)によると、胃ろう・腸ろうの栄養管理に対応できる施設の割合は、特養で84.1%、介護老人保健施設(老健)で81.2〜92.2%、介護医療院で93.5〜98.1%でした(外部の医療機関の支援を受けて対応する場合を含む)※9。
図2経管栄養に対応できる施設の割合(2025年度の調査)
※社会保障審議会 介護給付費分科会(2026年11月2日)の資料によります※9。外部の医療機関の支援を受けて対応するものを含みます。老健は5つの型のうち、胃ろう・腸ろうの割合がいちばん低い基本型といちばん高い超強化型を並べました(5つの型で81.2〜92.2%)。棒の右端は100%です。

鼻からの経管栄養に対応できる特養は26.9%で、胃ろうよりも受け入れられる施設がずっと少なくなります。また、対応できる施設で暮らす方のうち、実際に胃ろう・腸ろうの栄養管理を受けている方は、特養で4.1%、老健で4.4%、介護医療院で12.2〜13.9%でした※9。
※表は横にスクロールできます
| 施設の種類 | 看護職員の配置 | 胃ろうの方の受け入れ |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 入所者の数に応じて配置(30人以下で1人以上など)。夜間は介護職員か看護職員を置けばよく、看護職員の夜勤は決まりではない※9 | 84.1%が対応できる |
| 介護老人保健施設 | 医師と看護職員がいて、在宅への復帰をめざしてリハビリを行う | 81.2〜92.2%が対応できる |
| 介護医療院 | 長く療養が必要な方のための施設で、医療の体制が手厚い | 93.5〜98.1%が対応できる |
| 介護付き有料老人ホーム | 看護職員は要介護者30人までは1人、それを超えると50人ごとに1人。夜間の看護体制は加算で評価される※10 | 施設ごとに違う |
| 住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅 | 訪問看護などの外部のサービスを使う | 施設ごとの差が大きい |
| グループホーム | 看護職員の配置の決まりがない※11 | 医療機関との連携の体制を確かめる |
胃ろうからの栄養の注入は、研修を受けて都道府県に登録した事業所の介護職員も、医師の指示のもとで行えます(2012年4月から)※7。ただし、胃ろうの状態に問題がないかの確認は、医師か看護職員が行うことになっています※8。特養や介護付き有料老人ホームでは、夜間に看護職員を置くことは決まりではないため、夜の体制や、研修を受けた介護職員の人数によって、受け入れられる人数に限りがある施設もあります。
医療的ケアが必要な方の施設の選び方は、医療的ケアが必要でも入れる老人ホームでもまとめています。
同じ種類の施設でも、胃ろうの方への体制は施設ごとに違います。見学や相談のときに、次の点を確かめておくと安心です。
図3胃ろうの方が施設を探すときに確かめたいこと
看取りまで住み続けられるかの見分け方は、看取りまで住み続けられる施設の見分け方でご説明しています。
胃ろうの方を受け入れる住まいを、一緒にお探しします
「退院までに、胃ろうでも入れる施設を見つけたい」「夜間の看護体制が整ったところを知りたい」——住まいるの相談員は、医療的ケアの内容や体の状態をうかがいながら、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、受け入れの体制が合う住まいを一緒にお探しします。ご相談は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
自宅で胃ろうを続けるときは、訪問看護が大きな支えになります。要介護認定を受けている方の訪問看護は、原則として介護保険で使います(末期のがんや一部の難病などは医療保険)※15。胃ろうなどの経管栄養の方は、訪問看護の「特別管理加算(Ⅰ)」の対象になります※16。料金の目安は、訪問看護の料金でまとめています。
研修を受けて登録した事業所のホームヘルパーも、胃ろうからの注入を行えます※7。介護する家族が休むために、ショートステイやレスパイト入院を使う方法もあります(レスパイトとは)。受け入れの体制は事業所ごとに違うので、担当のケアマネジャーに確かめてもらいましょう。
胃ろうをつくるかどうかは、本人の思いを中心に、家族と医療・ケアのチームが話し合って決めることです。日本老年医学会のガイドラインは、経管栄養などを始めるかどうかについて、まず口から食べられる可能性をきちんと評価し、始めないことも含めた選択肢を、本人の人生にとっての益と害という観点から考えることをすすめています※17。始めたあとも、口から食べられるようになったときなどには、減らしたりやめたりすることも話し合いの対象になります※17。
本人の意思が確かめられないときは、家族が本人の意思を推し量り、それを尊重して、本人にとっていちばんよい方針を話し合います※18。もしものときに望む医療やケアを、前もって家族や医療・ケアチームと話し合っておく「人生会議(ACP)」も役に立ちます※19。
同じガイドラインは、家族の事情や、入居先の介護施設の方針によって、選択が左右されることがよくあるとも指摘しています※17。胃ろうの方を受け入れる施設がどのくらいあるかも、話し合いの材料のひとつになります。
口から十分に食事をとれない方のために、おなかの皮膚から胃まで小さな通り道をつくり、そこに入れた管(カテーテル)から栄養を入れる方法です。内視鏡を使ってつくる方法が一般的で、「PEG(ペグ)」とも呼ばれます。
鼻からの経管栄養は、手術をせずに鼻から胃まで管を通します。胃ろうは、おなかに通り道をつくって胃に直接栄養を入れます。胃ろうは、鼻の管に比べて本人の苦痛や介護の負担が少なく、のどに管がないので口から食べる練習もしやすいとされています。受け入れる施設も、胃ろうのほうが多くなっています。
病院や体の状態によって違います。入院は約1週間の予定とする病院の案内もあります。くわしくは、手術をする病院で確かめてください。
カテーテルの型によって違います。保険のルールでは、バンパー型の交換用カテーテルは4か月に1回まで算定できます。実際には、バンパー型は6か月ごと、バルーン型は1〜2か月ごとに交換していることが多いとされています。交換は麻酔なしで、外来でも在宅でもできることが多い処置です。
入れます。胃ろうの通り道ができたあとは、シャワーも湯船につかるのも問題なく、絆創膏で覆う必要もないとされています。つくった直後の入浴は、病院の指示に従ってください。
飲み込む力があれば、口から食べることができます。胃ろうはのどに管がないため、鼻からの管より口から食べる練習に向いているとされています。どのくらい食べられるかは、飲み込みの検査や医師の判断によります。
口から十分に栄養をとれるようになれば、胃ろうのカテーテルを抜くことができます。抜いたあとの通り道は自然にふさがっていき、抜いたその日から食事ができることもあります。
2026年度の診療報酬では、胃瘻造設術は6,570点(1点10円で65,700円)で、つくる前に飲み込みの検査をした場合は2,500点が加わります。これに入院や検査などの費用が加わり、窓口では1〜3割を払います。ひと月の医療費が高くなったときは、高額療養費制度で自己負担に上限があります。
胃ろう・腸ろうの栄養管理に対応できる特養は84.1%です(2025年度の国の調査・外部の医療機関の支援を受けて対応する場合を含む)。多くの特養で対応できますが、対応できないところもあり、夜間の体制などによって受け入れの人数に限りがあることもあるので、施設ごとに確かめる必要があります。
医療の体制が手厚い介護医療院は、胃ろう・腸ろうの栄養管理に対応できる割合が93.5〜98.1%と高くなっています。特養や老健も8〜9割が対応できます。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、看護の体制が施設ごとに大きく違うので、一つずつ確かめることが大切です。
研修を受けて都道府県に登録した事業所の介護職員は、医師の指示のもとで、胃ろうからの栄養の注入を行えます(2012年4月から)。ただし、胃ろうの状態に問題がないかの確認は、医師か看護職員が行うことになっています。
本人の思いを中心に、家族と医療・ケアのチームが話し合って決めることです。日本老年医学会のガイドラインは、口から食べられる可能性をきちんと評価したうえで、始めないことも含めた選択肢を、本人の人生にとっての益と害から考えることをすすめています。本人の意思が確かめられないときは、家族が本人の意思を推し量り、本人にとっていちばんよい方針を話し合います。
胃ろうは、おなかから胃に小さな通り道をつくり、管で栄養を入れる方法です。鼻からの管に比べて苦痛が少なく、入浴もでき、飲み込む力があれば口から食べる練習も続けられます。口から十分に食べられるようになれば、やめることもできます。
胃ろう・腸ろうの栄養管理に対応できる施設は、特養で84.1%、介護医療院で9割台と多い一方、夜間の看護体制などによって受け入れは施設ごとに違います。退院の前から、夜間の体制や注入をする人、カテーテルの交換、急な体調の変化への対応を確かめながら、住まいを探していきましょう。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事は、2026年11月時点の公的な資料と学会・団体の資料にもとづいて、介護の相談の立場からまとめたものです。胃ろうをつくるかどうかや、栄養の内容、カテーテルの管理については、主治医にご相談ください。
お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。
ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ
担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。