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「たんの吸引が必要で、ふつうの老人ホームでは難しいと言われた」「末期のがんで、病院を出たあとの居場所を探している」。そんなときに名前が挙がるのがナーシングホームです。ただ、ナーシングホームは法律上の施設の名前ではなく、中身は施設によって違います。この記事では、どんな住まいなのか、看護の体制、3つに分かれる費用のしくみ、ほかの施設との違い、2026年の制度の見直し、選ぶときに確かめたいことを、表と図で整理しました。
この記事の要点
目次

「ナーシングホーム」は、看護(ナーシング)に力を入れた高齢者の住まいを指す呼び名です。法律に「ナーシングホーム」という施設の種類はなく、老人福祉法が定める老人福祉施設にも含まれていません※1。
多くは、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に、訪問看護や訪問介護の事業所が併設・隣接した形です。看取りまでを大切にする住まいは「ホスピス型住宅」「医療特化型」と呼ばれることもあります。
図1ナーシングホームによくある組み立て
住まい
住宅型有料老人ホームやサ高住など。家賃・管理費・食費を払って暮らします。
訪問看護
建物に併設・隣接した事業所の看護師が、居室を訪ねて医療的ケアをします。
訪問介護・訪問診療
介護はヘルパーが、診察は訪問診療の医師が受け持ちます。
※施設によって組み立ては違います。「ナーシングホーム」を名乗る介護付き有料老人ホームなどもあります。
国の調査では、住宅型有料老人ホームのうち、訪問看護の事業所を併設・隣接しているのは17.7%でした。そのうち87.6%は、ホームと関係のある法人が事業所を運営しています。また、入居者の7割以上が併設の訪問看護を使っているホームが57.1%ありました※4。
同じ「ナーシングホーム」という名前でも、中身は施設ごとに違います。名前ではなく、重要事項説明書に書かれた届出の種類と、看護の体制で確かめるのが確実です。
ナーシングホームには、ほかの老人ホームでは住まいが見つかりにくい、医療の必要度が高い方が多く暮らしています。
図2ナーシングホームで暮らしている方の例
※対応できる医療的ケアの範囲と人数は、施設と訪問看護の体制によって違います。
年齢の条件は施設ごとですが、40〜64歳の方でも、末期のがんなど国が定める16の病気(特定疾病)で要介護認定を受けていれば、介護保険のサービスを使えます※3。「65歳未満は介護保険の対象外」とする解説もありますが、特定疾病にあたれば対象です。
医療的ケアに対応できるほかの施設は、医療的ケアが必要でも入れる老人ホームの記事でご説明しています。

住宅型有料老人ホームやサ高住を土台にしたナーシングホームでは、医療的ケアをするのは施設の職員ではなく、訪問看護の看護師です。医師は、施設に常駐しているわけではなく、訪問診療で定期的に診察に来るのが一般的です。
| 住宅型+訪問看護 (よくある形) | 介護付き 有料老人ホーム | 介護医療院 | |
|---|---|---|---|
| 看護をする人 | 併設・外部の訪問看護 | 施設の看護職員 | 施設の看護職員 |
| 国の配置基準 | 住まいには看護の配置の決まりがない | 看護・介護の職員で要介護者3人に1人以上(看護は30人まで1人以上) | 看護職員は入所者6人に1人以上 |
| 夜間の看護 | 施設による | 基準では求められていない | 体制あり(医師の宿直が原則) |
| 医師 | 訪問診療 | 協力医療機関の医師が訪問 | 施設の医師 |
※国の基準による整理です※2。実際の配置は、基準より手厚い施設もあります。介護医療院のくわしい体制は介護医療院とはでご説明しています。
「看護師が24時間常駐」と案内する施設もありますが、法律で決められた条件ではありません。介護付き有料老人ホームでも、国の基準では夜間の看護職員の配置は求められていません※2。夜も建物の中に看護師がいるのか、夜は呼べば来る体制なのかは、施設ごとに違います。
要介護認定を受けている方の訪問看護は、原則として介護保険を使います。ただし、末期のがん、パーキンソン病の一部、人工呼吸器を使っている状態など、国が定める病気や状態にあたる方は、医療保険から訪問看護を受けます※5。ナーシングホームに暮らす方には、医療保険の訪問看護を使う方が多くいます。訪問看護の料金のしくみは、訪問看護の料金の記事でご説明しています。
ナーシングホームの費用には、公的な相場の数字はありません。インターネットで見かける月額の目安も、根拠が示されていないものが多くあります。費用は、次の3つを足した額として考えると分かりやすくなります。
図3ナーシングホームの月の費用の組み立て
住まいの費用
家賃・管理費・食費など。施設ごとに決まり、入居時に前払い金や敷金がかかることもあります。
介護保険の自己負担
訪問介護などの介護サービスの1〜3割。要介護度ごとの上限(支給限度額)の範囲で使います。
医療保険の自己負担
訪問看護・訪問診療・薬などの1〜3割。所得に応じた1か月の上限があります。
※このほかに、おむつ代などの実費がかかります。
医療保険の自己負担は、高額療養費のしくみで1か月の上限が決まっていて、上限を超えた分は払い戻されます。医療と介護の自己負担がどちらも多い年は、1年分を合わせて払い戻しを受けられる高額介護合算療養費や、確定申告の医療費控除も使えます。
施設を比べるときは、3つの財布を合わせた月の見積もりを出してもらうと、比べやすくなります。とくに、医療保険の訪問看護が何回・何分くらいになる見込みかは、施設によって差が出やすいところです。
医療の必要度が高い方の行き先は、ナーシングホームだけではありません。主な行き先を並べると、次のようになります。
※表は横にスクロールできます
| ナーシングホーム (住宅型+訪問看護) | 介護付き 有料老人ホーム | 介護医療院 | 緩和ケア病棟 (ホスピス) | 特養 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 種類 | 住まい(有料老人ホームなど) | 住まい(有料老人ホーム) | 介護保険の施設 | 病院の病棟 | 介護保険の施設 |
| 使う保険 | 介護保険と医療保険(住まいは自費) | 介護保険(住まいは自費) | 介護保険 | 医療保険 | 介護保険 |
| 主な対象 | 医療的ケアが必要な方、末期のがん・難病の方など | 施設による | 要介護1以上で、医療的な管理が必要な方 | がんなどの病気の方 | 原則として要介護3以上 |
| 看取り | 多くが対応 | 施設による | 対応 | 対応 | 施設による |
| 入居一時金 | 施設による | 0円〜1億円超 | なし | なし | なし |
※緩和ケア病棟の対象は悪性腫瘍と後天性免疫不全症候群で、2026年6月から、透析をしないことを選んだ終末期の末期腎不全の方も加わりました※7。
介護付き有料老人ホームは、施設の職員が介護をする住まいで、看護職員の配置も国の基準で決められています。医療的ケアへの対応は施設ごとに大きく違い、夜間に看護師がいる施設なら、たんの吸引などに対応できる場合もあります。ナーシングホームは、訪問看護を組み合わせることで、より医療の必要度が高い方が暮らしていることが多い住まいです。
介護医療院は、医師や看護職員の配置が国の基準で決められた介護保険の施設です。入居一時金はなく、所得に応じて食費・居住費が下がる仕組みも使えます。数が少ないため、介護医療院の空きを待つあいだの住まいとして、ナーシングホームを選ぶ方もいます。
いわゆるホスピスは、医療保険で入院する病院の病棟です※7。ナーシングホームは、家賃などを払って契約する住まいで、医療は訪問看護と訪問診療が担います。看取りまでを大切にする住まいを「ホスピス型住宅」と呼ぶこともありますが、病院のホスピスとは制度が違います。看取りについては、看取りまで住み続けられる施設の見分け方もあわせてご覧ください。
ナーシングホームのような住まいについては、2026年に、国の制度が2つ見直されました。
図42026年の2つの見直し
訪問看護の料金のしくみ(2026年6月)
高齢者の住まいの同じ建物に住む方への訪問看護の料金を、人数や日数で細かく分け、20分に満たない訪問は料金の対象外になりました。
有料老人ホームの登録制(2026年6月公布)
中重度の要介護の方が入る有料老人ホームは、都道府県への登録制になります。実施の日は今後、政令で決まります。
2026年6月の診療報酬の改定で、高齢者の住まいに併設・隣接した訪問看護が、同じ建物に住む方を訪ねる場合の料金のしくみが見直されました※6。
国は見直しの理由として、住まいに併設された訪問看護が、短い時間で頻回の訪問をしやすいことを挙げています※6。ご家族としては、訪問の回数と時間がどう決まっているかを、契約の前に説明してもらうと安心です。
2026年6月25日に公布された改正法で、中重度の要介護の方を入居させる有料老人ホームは、都道府県の登録を受け、5年ごとに更新する仕組みになります。職員の配置などの基準は都道府県が条例で定め、登録したホームだと誤解させる表示も禁じられます※8。
対象になる要介護度や実施の日は、今後、政令で決まります(公布から2〜3年以内)※8。始まれば、ホームを選ぶときに、登録を受けているかがひとつの目安になります。

図5見学と契約の前に確かめたい7つのこと
見学のときに聞くことは、老人ホーム見学のチェックリストにもまとめています。
ナーシングホームに入る方の多くは、入院先の病院から移ってこられます。退院の時期が見えてきたら、早めに動きはじめると慌てずに済みます。
図6入院中から入居までの流れ
まだ要介護認定を受けていない場合は、先に申請が必要です(要介護認定の申請方法と流れ)。退院を急かされて困っているときは、退院を迫られたらの記事もあわせてご覧ください。
医療的ケアのある方の住まい探しも、ご相談ください
「たんの吸引があって、行き先が見つからない」「退院までに住まいを決めたい」——住まいるの相談員は、医療の必要度が高い方や、住まいが見つかりにくい方の住まい探しにも対応しています。1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で、看護の体制と費用を比べながら、ご本人に合う住まいを一緒に探します。ご相談・見学同行は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
看護に力を入れた高齢者の住まいの呼び名で、法律上の施設の名前ではありません。多くは、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に、訪問看護や訪問介護の事業所が併設・隣接した形です。たんの吸引や在宅酸素などの医療的ケアが必要な方や、末期のがんの方などが多く暮らしています。
多くのナーシングホームは、有料老人ホーム(住宅型)の一種です。違いは、看護の体制に力を入れていることです。ただし、「ナーシングホーム」と名乗る施設には、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などもあり、名前だけでは種類は分かりません。重要事項説明書で、届け出ている施設の種類を確かめると確実です。
公的な相場の数字はありません。費用は、家賃・管理費・食費などの住まいの費用に、介護保険の自己負担(1〜3割)と、訪問看護や訪問診療などの医療保険の自己負担が加わる形です。医療保険の自己負担には、所得に応じた1か月の上限があります。見学のときに、3つを合わせた月の見積もりを出してもらうと比べやすくなります。
いわゆるホスピス(緩和ケア病棟)は、医療保険で入院する病院の病棟で、対象はがんなどの病気に限られています。ナーシングホームは、医療的なケアを受けながら暮らす住まいで、家賃などを払って契約して入居します。看取りまで対応する住まいを「ホスピス型住宅」と呼ぶこともありますが、病院のホスピスとは別のものです。
介護医療院は、介護保険法にもとづく介護保険の施設で、医師や看護職員の配置が国の基準で決められています。入居一時金はなく、所得に応じて食費・居住費が下がる仕組みも使えます。ナーシングホームの多くは有料老人ホームなどの住まいで、医療は訪問看護や訪問診療が担い、費用の決まり方も施設ごとです。
入れる施設が多くあります。難病の方や、たんの吸引・胃ろう・在宅酸素などの医療的ケアが必要な方も暮らしています。ただし、どの医療的ケアに対応できるかは、施設や訪問看護の体制によって違うため、必要なケアを具体的に伝えて確かめてみてください。
施設の入居条件によりますが、40〜64歳の方でも、末期のがんなど国が定める16の病気(特定疾病)で要介護認定を受けていれば、介護保険のサービスを使えます。「65歳未満は介護保険の対象外」と書かれた解説もありますが、特定疾病にあたれば対象です。
施設によって違います。看護師が24時間いることは、法律で決められた条件ではありません。夜も建物の中に看護師がいるのか、夜は呼べば来てくれる体制なのかを、見学のときに確かめておくと安心です。
2026年に2つの見直しがありました。6月の診療報酬改定では、高齢者の住まいの同じ建物に住む方への訪問看護の料金のしくみが見直され、併設の訪問看護による新しい料金も設けられました。また、6月に公布された改正法で、中重度の要介護の方が入る有料老人ホームは、都道府県への登録制になります(実施の日は今後、政令で決まります)。
施設によって扱いが違います。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、併設の訪問看護を使う方が多いのが実情です。契約の前に、ほかの事業所を選べるのか、訪問の回数や時間をどう決めるのかを、確かめておくと安心です。
ナーシングホームは、看護に力を入れた高齢者の住まいの呼び名で、法律上の施設の名前ではありません。多くは住宅型有料老人ホームなどに訪問看護が併設された形で、医療的ケアが必要な方や、末期のがん・難病の方が多く暮らしています。
費用は、住まいの費用・介護保険の自己負担・医療保険の自己負担の3つを合わせて考えます。名前だけでは中身が分からないため、届出の種類、夜間の看護の体制、訪問看護の回数と時間の決め方、3つを合わせた月の費用を確かめて選ぶと安心です。2026年には訪問看護の料金のしくみが見直され、有料老人ホームの登録制も決まりました。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事の内容は、2026年10月時点の情報にもとづいています。対応できる医療的ケア、看護の体制、費用は施設によって異なります。病気や治療については、主治医にご相談ください。
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