お問い合わせ 受付時間 10:00〜17:30( 無休 ※年末年始除く)
認知症の親を、いつ施設に移すか。多くのご家族が迷うのは、「まだ早い気がする」と「もう限界かもしれない」のあいだです。この記事では、ご本人の暮らしとご家族の暮らしに出る変化から目安を整理し、認知症の場合に早めに動いたほうがよい理由と、迷ったときの進め方をご説明します。

この記事の要点
目次
認知症は、介護が必要になるきっかけとして最も多い病気です。国の調査では、ご自宅で介護を受けている方の「介護が必要になった主な原因」のうち、いちばん多いのが認知症で16.7%でした。要介護の方に限ると23.6%にのぼります※1。認知症の親の施設入居で迷っているご家族は、決して少なくありません。
それでも、「いつ」を決めるのは簡単ではありません。認知症は進み方が人によって違い、同じ方でも調子のよい日と悪い日があります。ご本人は「まだ大丈夫」と言い、ご家族には「施設に入れるのは申し訳ない」という気持ちもあります。迷うのは、真剣に考えているからこそです。
決まった正解の日はありませんが、考えるときの軸はあります。住まいるの相談員がご相談のたびにお聞きしているのは、次の3つです。
図1タイミングを考える3つの軸
ご本人の安全
火や薬、外出、食事。ご自宅で安全に暮らせているか。
ご家族の暮らし
睡眠、仕事、体調。介護する側の生活が保てているか。
選べる施設の幅
症状が進むと、対応できる施設は限られていきます。
3つ目は見落とされがちですが、認知症の場合はとくに大切です。理由は4章でご説明します。

次のような変化が一度だけでなく、続くようになったら、施設を考えはじめる目安です。とくに一人暮らしの場合は、気づいたときには危ない場面が重なっていることがあります。
図2ご本人の暮らしに出る変化
※病気を見分けるためのものではありません。ご家族が「様子を見る」から「動きはじめる」に切り替える目安として整理したものです。
1つ当てはまったからといって、すぐに施設が必要というわけではありません。デイサービスや訪問介護など、在宅のサービスを足すことで、もうしばらくご自宅で暮らせることもあります。大切なのは、いくつかが重なり、見守りの手が足りなくなってきたときに、そのままにしないことです。
物忘れが気になりはじめたばかりで、まだ診断を受けていない段階なら、かかりつけ医か地域包括支援センターに相談してみてください。診断や要介護認定は、施設を選ぶときにも必要になります。
施設を考えるきっかけは、ご本人の変化だけではありません。介護するご家族の暮らしが崩れはじめたことも、十分な理由です。
認知症の介護は、ご本人が穏やかな日でも、見守りの手を離せない時間が長く続きます。「まだ頑張れる」と思っているうちに、ご家族のほうが先に倒れてしまうこともあります。疲れの度合いは介護疲れの限界サインの記事で確かめられます。気持ちがつらいときは、親の介護で心がつらいときの記事もあわせてご覧ください。
施設に移ることは、介護をやめることではありません
施設に入ったあとも、面会や外出、施設とのやりとりなど、ご家族にしかできない役割は続きます。毎日の身の回りの介護を職員に任せることで、ご本人と穏やかに向き合える時間が戻ってきた、とおっしゃるご家族は少なくありません。
ご家族が施設を考えはじめるのは、多くの場合「限界が来てから」です。けれども認知症の場合は、少し早めに動いたほうが、ご本人にとってもご家族にとっても選べる道が多くなります。理由は4つあります。
図3早めに動くほど、選択肢が広い4つの理由
対応できる施設が多い
症状が軽いうちは、候補になる施設の種類も数も多くあります。夜中の外出や大きな声などが続くようになると、対応できる施設は限られていきます。
新しい暮らしに慣れやすい
新しい場所や人に慣れる力は、症状が軽いうちのほうが残っています。進んでからの住み替えは、戸惑いが大きくなりやすいものです。
ご本人の希望を聞ける
判断ができるうちなら、どこで暮らしたいかを一緒に決められます。契約やお金の手続きも、ご本人の意思で進められます※4。
待つ時間を見込める
特養は地域によって待つことがあり、グループホームも空きが出にくい施設です。民間施設では、早ければ1か月程度、一般的には2〜3か月程度が目安です。
症状が進んでから探しはじめると、「受け入れられる施設が見つからない」「急いで決めた施設が合わなかった」ということが起こりやすくなります。どのような症状のときに施設が慎重になるのかは、認知症でも入れる老人ホームの選び方の記事で詳しくご説明しています。
早めに動くといっても、すぐに入居を決める必要はありません。情報を集め、いくつか見学しておくだけでも、いざというときの選択肢を守ることにつながります。

認知症が進むにつれて、ご家族ができる準備も変わります。段階ごとに、今のうちにしておきたいことを整理しました。
図4段階ごとに、今のうちにしておきたいこと
※医学的な重症度の分け方ではなく、「どれだけ見守りや手助けが要るか」で整理したものです。それぞれの段階で候補になる施設は、認知症でも入れる老人ホームの選び方の図にまとめています。
どの段階でも、症状を軽く伝えるほど、あとでご本人の負担になります。入居してから「聞いていた様子と違う」となると、退去や住み替えにつながることがあるためです。見学や相談では、困っている場面をそのままお伝えください。

認知症の方が暮らせる施設は、1種類ではありません。施設ごとに、入るための条件が違います。
図5認知症の方が入れる主な施設と、入るための条件
認知症の方が少人数で暮らす住まいです。要支援2以上・認知症の診断・その市区町村に住民票があることが条件です※3。費用は首都圏で月13万〜20万円ほどが目安です。
原則として要介護3以上の方が対象です。要介護1・2でも、認知症の症状によっては「特例入所」の対象になることがあります※2。
職員が24時間いて、介護まで任せられます。どの症状まで対応できるかは、施設ごとに異なります。
住宅型有料老人ホーム・サ高住
介護は外部の事業所のサービスを使います。見守りの体制や夜間の人手を確かめておきます。
要介護1・2の方の「特例入所」は、国の指針で、考慮する事情の1つ目に「認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること」が挙げられています※2。ほかに、ご家族の支援が期待できず地域のサービスも足りない場合などがあります。実際の判断は、施設と市区町村がそれぞれの指針にもとづいて行います。申し込むときは、夜中の外出や火の不始末など、困っている場面を具体的に書いておくと伝わりやすくなります。
施設の種類ごとの違いは、老人ホーム・高齢者向け住宅の種類の記事にまとめています。
「施設には行かない」「この家で最期まで暮らしたい」。そう言われて、話が進まなくなるご家族は少なくありません。住み慣れた家を離れたくない気持ちは、自然なものです。
認知症の場合、説明を聞いたことを覚えていられず、話すたびに不安が強まることがあります。何度も説得を重ねるより、家の外で過ごす時間を少しずつ増やしていく方法が、うまくいくことが多いです。
伝え方の工夫は、親が施設入居を拒否したらの記事で詳しくご紹介しています。
入居の契約は、ご本人が結ぶのが基本です。判断が難しくなっている場合でも、ご家族が手続きを手伝う形で入居できる施設は多くあります。ただ、ご本人の預金から費用を払う、自宅を売るといった手続きでは、成年後見制度(後見・保佐・補助)が主な選択肢になることがあります※4。お金のことは、親のお金の管理の記事にまとめています。
入居したあとしばらくは、「家に帰りたい」と言われることもあります。新しい暮らしに慣れるまでの時間は、人によって異なります。面会の回数や時間帯は、施設の職員と相談しながら決めていくと安心です。
「まだ早いかもしれない」と思う段階でも、相談はできます。動きはじめるときは、次の順番で進めるとスムーズです。
図6迷ったときの進め方
「いつ動けばいいか」から、ご相談を承ります
認知症の症状は一人ひとり違い、受け入れ可能な施設もそれぞれ違います。東急線沿線で介護の現場を経験してきた相談員が、ご様子を伺ったうえで、いまの段階で選べる施設と、動きはじめる時期を一緒に考えます。ご相談・見学同行は何度でも無料です。
実際にご相談いただいた方のお話はお客様の声でご覧いただけます。
探せます。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、診断がなくても相談や入居の申し込みができます。グループホームだけは、認知症の診断を受けていることが入居の条件です。物忘れが気になってきた段階なら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみてください。
特養は原則として要介護3以上の方が対象ですが、認知症で日常生活に支障を来すような症状や行動が頻繁に見られる場合などには、要介護1・2でも「特例入所」の対象になることがあります。判断は、施設と市区町村がそれぞれの指針にもとづいて行います。申し込むときは、困っている場面を具体的に書いておくと伝わりやすくなります。
人によって大きく異なります。原因になっている病気や、体の状態、暮らし方によっても変わるため、一概には言えません。見通しは主治医に聞いてみてください。施設を選ぶときは、今の状態だけでなく、1〜2年後の状態も考えておくと、住み替えが少なくて済みます。
環境が変わった直後は、戸惑いや混乱が強まることがあります。いっぽうで、生活のリズムが整い、人と関わる時間が増えて、落ち着いて過ごせるようになる方もいます。どちらになるかは、ご本人の状態と施設のケアによって異なります。見学のときに、入居したばかりの方をどう支えているかを聞いておくと安心です。
住み慣れた家を離れたくない気持ちは、自然なものです。認知症の場合、説明を聞いたことを覚えていられず、話すたびに不安が強まることもあります。何度も説得するより、デイサービス、ショートステイと、家の外で過ごす時間を少しずつ増やしていく方法があります。
入居してしばらくのあいだ、帰りたいと言われることは珍しくありません。新しい暮らしに慣れるまでの時間は、人によって異なります。面会の回数や時間帯は、施設の職員と相談して決めると安心です。家での好きな過ごし方や習慣を職員に伝えておくと、施設での声かけに生かしてもらえます。
施設によって異なります。入居の契約書には、退去になる条件が書かれています。医療的な処置が必要になったときや、ほかの入居者との関係で共同生活が難しくなったときの扱いを、契約の前に確かめておくことをおすすめします。見学では「どの状態の方まで暮らしていますか」と聞いてみてください。
認知症であること自体で料金が変わるわけではありません。費用は、施設の種類や立地、居室の広さ、職員の人数などで決まります。グループホームの費用は、首都圏で月13万〜20万円ほどが目安です。
認知症の親を施設に入れるタイミングに、決まった正解の日はありません。考えるときの軸は、ご本人が安全に暮らせているか、介護するご家族の暮らしが保てているか、そして選べる施設がまだ十分にあるかの3つです。
火の不始末や薬の管理、道に迷う、夜中の外出といった変化が続くようになったら、施設を考えはじめる目安です。認知症の場合は、早めに動くほど選べる施設が多く、ご本人も新しい暮らしに慣れやすくなります。すぐに入居を決めなくても、情報を集めて見学しておくだけで、いざというときの選択肢を守ることにつながります。
迷ったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに今の様子を伝えるところから始めてみてください。施設探しに手が足りないと感じたら、住まいるにもご相談いただけます。
この記事の監修者

東急ウェルネス株式会社
老人ホーム紹介サービス「住まいる」 マネージャー
福祉の現場に25年。特別養護老人ホームや有料老人ホームで介護職、生活相談員、ケアマネジャーを務めたのち、施設長、エリアマネージャーとして施設運営に携わってきました。2019年に東急ウェルネスへ入社。現在は老人ホーム紹介サービス「住まいる」のマネージャーとして、ご本人とご家族それぞれのお気持ちをうかがいながら、地域の医療・介護・福祉機関と連携し、納得のいく住まい選びをお手伝いしています。
本記事は、上記監修者が内容を確認したうえで公開しています。相談員のご紹介はこちら
出典・参考
※本記事の内容は、2026年10月時点の情報にもとづいています。特例入所の運用や、施設ごとの受け入れの範囲は、市区町村や施設によって異なります。
お一人おひとりの様々なニーズに合った
老人ホームをご紹介します。
お気軽にご相談ください。
ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー(MSW)・金融機関の皆さまへ
担当されている方・お客様の住まいのご相談、退院先の調整を承ります。ご相談は無料・1件からお受けしています。